投稿元:
レビューを見る
"クロク、ヌレ!"真梨幸子著 講談社文庫(2012/10/16発売)
(2008年9月発売 講談社単行本の文庫版)
・・・自宅のプールで謎の死を遂げた流行作家、ジョー・コモリ。彼の人生を”黒く塗りつぶした”無名作家岩代彰夫の生涯とは?
彰夫の生前、常に対立してきた彰夫の弟の妻、久仁枝。が、久仁枝は何かに取り憑かれたように彰夫の遺作を追い始める。その書簡の中にはジョー・コモリが彰夫の死に関係するかのような記述も存在した。
新製品の広告企画のため、ジョー・コモリを追っていた広告代理店社員の喜代美とプランナー・ミチルは彰夫の存在を知り、新製品・ジョー・彰夫の三点を結びつけた一大プランニングを構想する。
その鍵はジョー・コモリが彰夫を殺害したとする物だった。
果たして、ジョー・コモリは彰夫を殺害したのか。また、ジョー・コモリの死の真相は?
そして一大プランを描いた真のプランナーとその目的は?
・・・ラスト、三ページでヤラレました。注意して当たりをつけていたつもりだったんですが、私の考えは早々と否定されてしまいましたわ。(笑)
あと、真梨幸子はやはり女の妄執の書き方がえげつない感じがしますね。中心人物を語った訳ではないわずか数行の記述からもえぐい感じがしました。(久仁枝を叱り飛ばした知人や久仁枝と彰夫の弟を繋げたY子等。)
びっくりしたというなら、読後感が比較的爽やかになるラストだったでしょうか。
女性やどんでん返し系の話が好きな方におすすめかと。
(文庫版ということで読了済の方には最新作の”四○一二号室”がおすすめ。”最新作”だけあって本作より洗練されているように感じました。)
・・・(以下、作品とはまったく関係のない記述です。)
作中に”「だって、お姉ちゃん、最近、綺麗になった」というか、化粧が濃くなって、着る服が派手になっただけだが、それは言わなかった。”とあるのですが、女性のファッション程すごいトリックはないわなぁ。
綾辻行人の”十角館”よりびっくりしますわ。(笑)
”目を大きく見せるカラーコンタクト”や”胸を小さく見せるブラ”とか。
最近、知ったのは”ナチュラルメイク”。
”薄いメイク”と考えてたんですが、その真髄は”メイクをしていないように見せるメイク”だそうです。
すごいトリックだ・・・。
投稿元:
レビューを見る
ものの見事に真梨幸子中毒となり、最近いちばん好きなジャンルがイヤミスな気が
するオレ(^^;)。この「クロク、ヌレ!」は、ようやく文庫化された女史の初期作品
の一つ。既に絶版の単行本に5,000円以上の高値が付いていた、ある種幻の作品。
コレ、今まで読んだどの真梨幸子作品よりもインパクト強いかも。
フジコの時もそりゃあびっくりしたのだけど、この作品のジワジワ来る悪意の塊も
背筋が凍る。物語の展開だけでもかなりスリリングなのに、男の嫉妬や女同士の
ドロドロが絶妙に絡んで来るから、とにかくもう目が離せない。
ここにブライアン・ジョーンズとかゴッホとかいう稀代の実在芸術家がサラッと
登場してきちゃうのだから、面白くならないワケが無い。
そしてこの本、珍しく読むのに時間がかかった。
理由はいつの間にか語り部が変わっている三人称表現で、途中で何度か読み返しが
必要になるほど。ただこれは印象が悪いのでは無く、良い意味でのもどかしさを生
み出してくれる気が。いやぁ、どっぷりハマりました。お見事です!
あとは同じく幻の作品、「えんじ色心中」を残すのみ。一刻も早く文庫化を!
投稿元:
レビューを見る
〈あらすじ〉
母は売れない無名画家だった伯父の作品を収集していた
その訳は、昔伯父が弟である父の金食い虫だったから
そのことで母が怒って仕送りを断ったら
伯父は猟銃で自殺して、父も後を追って自殺した
だから母は自分のせいだと思って贖罪として作品を集め
さらにはHPを立ち上げて伯父を世間に広める活動を行っている。
ある日、有名作家が事故死した
その作家の大ファンだった広告プランナーの女性が
次回の広告企画アイデアで悩んでるときに
その有名作家と無名画家が知り合いだったことを知り
さらにその無名画家は猟銃自殺ではなく有名画家が殺したのでは?
と思い至り、無名画家を現代のゴッホのように祭り上げて
広告企画に連動させようと決める。
有名作家の家族は借金苦だから本が売りたいし、保険金が欲しい
広告プランナー女はこの企画で成功して不動の地位を築きたい
そして母は無名だった伯父が世間に知られることを望んでる。
三者三様Win-Winの関係で上記作戦は成功した
でもそこでそれぞれの秘密が明らかとなる。
母がコレクションしていた伯父の手紙の順番の真意
伯父はだれに殺されたのか
有名作家は事故死でなく殺人だった、その犯人とは?
<感想>
作内で主観視点がグルグル入れ替わるのが面白かった
中盤からの盛り上がりは良かった
女ドロドロ系はほとんど無く、オチではあまり驚かず
投稿元:
レビューを見る
今回の真梨幸子さんの作品は今までのストーリーとイヤミス感がたまらなかったのに。
なぜか今回はなんとなく納得いかなかった感じでした。
投稿元:
レビューを見る
私が死んだ時、代表作と呼ばれるのはこの作品であってほしい。という帯につられて読んでみたが、これが?!とがっかり。いや、わたしには合わなかっただけかもしれないが、フジコや弧中症、女ともだち、といった作品のほうがインパクトがあって面白かった。
真梨さんの作品のタッチはだいたい分かったけど、もういいかなっていう感じ。
投稿元:
レビューを見る
帯につられて購入。真梨幸子はファンでもあるので
期待を込めて読み始めたが、、、どうも今一つな内容にガッカリ。
「ページをめくる手が止まらない」いつもの作品とは違ってました。
ドロドロ感が足りないか?
投稿元:
レビューを見る
2012.11.17.sat
【経緯】
帯に、「私が死んだ時、『代表作』と呼ばれるのはこの小説であってほしい。」とあったので。
【感想】
メインキャラクターが複数人いて一人称と三人称が交錯するという珍しい文体でありながら、それが物語を形作るのにとても心地よくページをめくらせる真梨さんの手腕にまた驚かされた。ほんとうまいわこの人。
ただ、「イヤミス」がうりの真梨さんにそれを期待して読む人にとっては、いつもより毒気が薄いので物足りないのかもしれない。
わたしは「勢いのある物語力をもつ作家さん」として好きなので問題ないです。
真梨さんのだす本だす本のキャラクターたちって愛すべき要素よりも理解したくない生理的に嫌な要素がかってしまうから、そういうキャラクターが無残に殺されても同情できなかったり読後もやっとして終わることが多いんだけど、今回はキャラクターすべてに愛嬌と応援したくなるところがあって、終わり方も「肩の力が抜けた」で読者も肩の力が抜けて読み終えたんじゃないかと思う。
【真梨さんらしいって思う引用】
それでも、三十五にもなってこんな有様なのが時には憂鬱だ。だから、絵との悪縁がときどきいやになる。リシュパンがどこかでこんなことを言っていた。『芸術は真の愛情を失わせる』まったくその通りにちがいはないが、その反対に、ほんとの愛情は芸術をきらうのだ。(弟テオドルに宛てたゴッホの書簡より)_P4
いつの世もどんなときでも、恨まれるほうには自覚はないものだ。が、うらむほうには、確固たる理由があるのだ。それが、傍からみたらどんな些細なことであったとしても、一度生えてしまった恨みは、そう簡単には駆除できるものではない。それどころか、抜いても抜いても次の朝には青々と茂る夏の雑草のように、生命力絶倫なのだ。_P96
女性にとって、男性の肩書・経歴・職業・収入は最重要項目なのだ。これを無視して、”愛”という一時のまやかしの感情で相手を全肯定してしまう女性の方が要注意なのだ。誰かが言っていた。金のために結婚することはよくないが、金がないのに結婚するのは愚かなことだ…と。_P256
恋愛モードから結婚モードに切り替わった途端、女性は障害飛越競技に出走している馬と化す。とにかく”結婚”というゴール目指して、華麗なる技で目の前にある障害物をはらりはらりとクリアしていくのである_P262
投稿元:
レビューを見る
他の作品よりもドロドロ感が少なかった。人間の嫌なところとかをもっと全面に出してたのを期待してたからちょっと物足りなかったかも。でも話は良くできてた。
投稿元:
レビューを見る
【内容】
自宅のプールで謎の死を遂げた、世界的流行作家のジョー・コモリ。広告代理店社員の深田貴代美とプランナーの嶋元ミチルは、広告企画のために彼の人生を追い始める。やがて浮かび上がる無名画家の非業の死。二人の男を巡る狂気と妄執のドラマとは! 渾身の筆で小説の常識を打ち破った、著者最高の到達点。
【感想】
微妙な作品だった。というかつまらなかった。
あらすじだけ見るとすごいドラマが待ち受けていそうなのに、実際には大した展開もなくダラダラとそのまま終了。
最後、どんでん返しのつもりか、実はお父さんがお兄さんを殺したやら、アシスタントがジョー小森を殺した犯人なんだと判明しましたが、とってつけたような感じです。
全体的に残念…
投稿元:
レビューを見る
帯に私が死んだ時、「代表作」と呼ばれるのはこの小説であってほしい。と書かれていたので、相当期待して読んだ。
真梨さんにしては、ドロドロ感が少なく感じるのは表面上だけで、出てくる女性陣の情念の深さがそれはそれは恐ろしく、珍しく読了後爽快感があった。
投稿元:
レビューを見る
ああ、オレ、ストーンズに思い入れなんかないんだ。ついでに言えば、ストーンズにかこつけてビートルズに言うべき何ものかすら持っていたりはしないんだ。
ということで、まあ、年寄りには色々ひっかかるところがあるかもしれない本作ですが、だまされないように。そこで引っかかった人たちは、この作品世界の中の女達に嘲笑されるためにこそ、この世に存在しているのです。
さて、その構成の巧みさで評価が高いらしい本作ですが、故に、「だから何?」みたいな展開を呼んでしまうのも特徴の一つ。まあ、いいじゃないですか、
著者が言いたかったことなんてことに拘泥するのも、野暮と言うことで。
投稿元:
レビューを見る
これまでの真梨作品が面白く、期待が大きかっただけに
厳しい評価になってしまった・・・。
解説を読むと、なるほど、そういう風に構成を楽しんだら
いいのかとも思ったが、何となく先が見えないまま
展開がぼやけていて、ぼやけたまま終わった感じがする。
しっかり結末があるのだが、何故なのか消化不良。
そんな感じ(^-^;
期待度が大きかった所為だろうな。。。
投稿元:
レビューを見る
いつもの真梨さんにしては毒が少ないかも。女のドロドロさが嫌な感じではなく、いい具合に感じられる話でした。
投稿元:
レビューを見る
エキセントリックな名も無き画家の作品を集め始めた母に翻弄される娘。
この画家と昔同居していた、プールで溺死した有名小説家。
最近パッとしない広告プランナーは画家と小説家に目をつけ、広告企画に連動させるために二人の死を劇的な物語に仕立て上げようと奔走する――。
様々な人の視点から捉えられた事実が輻輳し、やがて決壊の後に収束していく。
この先どうなっていくのか、お話の着地点が全く読めず、とまどいながら読み進めていきました。
また、一人称と三人称が混在しながら展開していくので視点がころころ変わり、落ち着かなかったのですが、あやういけれど限りなくパワーのある語り口に翻弄されました。
話の方向性が錯乱してるし、ミステリとしては最後の数ページで急に答え合わせが始まるし、欠点もたくさんあると思いますが、人の僻み嫉みや悪意をえげつなくえぐり出し、他人の不幸を覗き見しているような感じで面白かったです。
投稿元:
レビューを見る
真梨サンにしてはパンチが足りないし、、無駄にダラダラ長くて、、読んでて疲れちゃいました。
オチもいまひとつ。