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予知能力者を狩るべく月面に集結した不活性者を待ち受けていたのは彼らによる罠であった。月面での小規模の爆発から始まった時間逆行現象。コーヒーは腐り、タバコは萎れ、家具はどんどん古い型番になって行く。彼らの持っていた通貨もやがて古いものへと退化していく中、それに効く唯一の特効薬である”ユービック”を探し求めて不活性者達は時間が逆行する世界を歩き回る!
まず、時間逆行の不安感、焦燥感、恐怖感がすごく巧みに描かれてますね。そして、テーマは生と死と半生命といったところに行きつく。彼ら不活性者達の世界は本当に現実の世界なのか?それとも一種の夢なのか?そもそもこの時間逆行現象の原因は何なのか?そしてその力に抗うもう一つの力とは?
『アンドロイドは電機羊の夢をみるか?』もそうですが、僕はディックの世界観がとても好きです。あの独特のどこまでも重苦しい感じが。
物語が本題に入るまでが長いですが、ディック作品には珍しく話が破綻せず後半は特に面白いので是非読んでみて!!
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早川から今出ている土井宏明のモノクロ装丁は格好良くて好きだけど、裏面の作品紹介でネタバレしすぎ。
登場人物の現実の立脚点をガンガンぶちこわして突き進む、これぞディックな作品。時間退行現象のグロテスクさが読者をさらなる不安へ誘います。
死に行く定めにある「半生者」と、その生命を延長するユービックの存在にはいろんなメタファーを読み込むことが出来る。何度でも何度でも読み返して、メタファーの森から何かを発見したくなる小説。
2013年の映画版はどうなるんだろう。
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時は、1992年。
読心能力者(テレパス)や予知能力者(プレコグ)といった超能力者がはびこる世界。不穏な動きをみせる超能力者を阻止すべく月面へ向かったランシター率いる不活性者らは逆に超能力者の反撃にあってしまう!
辛くも超能力者の攻撃を逃れた技師ジョー・チップは他の不活性者らとともになんとか地球へ帰還するが…更なる異変が彼らを待ち受ける。
ミルクは腐敗し、タバコはひからびる。
退行していく時間によって、次々に倒されていく不活性者たち。
死んだはずのランシターから贈られる謎のメッセージ。
敵は誰で、何が起こっているのか。生き延びるためにはどうすれば…!
そして、ユービックとは何なのか…!
これはやられた。ディックおもしろすぎ。
スリル溢れる展開と複雑に絡み合ったミステリアスな物語は、最上のエンターテインメントといっても過言ではない。
超能力が産業スパイ目的で悪用されていたり、それを阻止する不活性者がビジネス化されていたり、自宅のドアを開くためにわざわざ5セント支払う必要があったりと、この独自の進化を遂げた世界観だけでも十分な面白みがあるのに…それらはあくまで背景でしかない。もう全ッ然関係ない。
序盤にパットの能力を見せ付けられた瞬間から、どこまでが真実か解らなくなってしまった。ディックって人は、にくいことをしますね。
物語も終盤に入り、複雑に絡み合ったいくつかの事象は整頓されて、やれやれ一安心したのも束の間、ラストで再び頭を抱え込むことになった。
ディックって人は、ホントにくいことをする。
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寝なきゃいけないのに止まらなくなった。
今のところPKDはこれが一番好きかな。
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のっけからぶっ飛んでる。
装丁変わってるんだからAmazonちゃんとアップデートしなよ。
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「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」「高い城の男」「まだ人間じゃない」「アジャストメント」も面白かったけど、今のところいちばんインパクトの強かったのがこれ。
ディック作品は、美文じゃないけどぐいぐい読ませるぶっ飛び具合が良い。
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もう本当に面白い!
ミスリードの応酬
この世界や人生そのものの不確かさを描いた作品か 程よい適当さも良い
ハッキリ言って、この作品から得られる人生の教訓的なものは僕にはなかった笑
その代わり生きる上で必要も無い疑問が一つ増えただけ
でも娯楽に教訓なんていらない!面白ければいいんだ!
ランシターの前でパットが自分の能力を見せるシーンのあの崩壊感!たまらない!
オチも最高
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いつものディック節炸裂の作品。
本そのものが古いから当たり前なんだが、訳が古く、字が小さいため、非常に読みづらい。よって飛ばし飛ばしで読んでしまった。ディック・ワールドに入っていないとわからない用語がたくさん出てくるので、初心者には難しいかもしれない。逆にいえば、いつもの世界って訳。
再読する必要があると思う。可能なら新訳がほしいなぁ。いい作品だもの。
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登場人物たちと一緒に超能力の世界にがんがん巻き込まれて行く。
裏表紙のあらすじを読まなくて本当によかった…
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初ディック也。すべてが退行していく世界で足掻く主人公。それに加えての伏線と数々のミスリードがたまらん
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読むもののエネルギーを吸収するような、異様な読書体験。本作が内在するエネルギーと、読者のそれとが秤にかけられるよう。傑作。
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PKディックを久しぶりに読んで、この作者の特徴がこの現実なのか仮想なのかどっちつかずな何とも言えない読後感だと思い出した。
ストーリーは反超能力者11人が超能力者に立ち向かうために月に向かっていくというところまでが序盤。そこからのストーリーは破綻しているとしか思えないが、実は全部伏線でした。
面白かった。そして不安になった。
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前半は伏線を匂わせ設定を張りめぐらせ、後半はこれでもか!というぐらいにその伏線・設定をフル活用して混線・混乱を仕掛けてきます。プロットの破綻がさらに破綻を巻き込んでの最後の1ページには唖然とさせられること間違いなし。あと単純に新装版の表紙がかっくいいので、部屋に飾るだけでもオシャレで好きです。
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世界の退行とともに展開がめまぐるしく、何が正しいのか分からないまま引きこまれた感じ。ランシターの実体化現象の気味悪さ(特にコインの)が印象的だった。
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ディック好きなはずが、これまだ読んでなかったという。
超能力者対反能力者。Ingress(と言うスマホゲーム)とちょっと構図が似てるな、なんてチラッと思いました。異論は認める。
テレパス(思考を読む)やプレコグ(予知)を雇うスパイ会社と、それらの能力を中和させる反能力者を雇う会社。
読み始めてあっという間にディックの世界に浸かって楽しめました。
章の区切りに出てくるユービックの宣伝コピーも面白い。ユービックって何よ?ってね。
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引きずり込まれるようにして読んでしまったけど、一体なんだったんだろう。
反超能力者たちが月に集結し、地球に戻ると起きている時間退行現象の謎を追っていく話。主題が解決しているような、していないような、不思議な読後感。読んでいる間はぐるぐるとジェットコースターに乗っているような疾走感を味わっていたのだけど。そういえば電気羊のときもそんなことを思ったような。笑