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設定が古めなので想像しにくいのが難点。
憧れの夫婦に自分も関わりを持っていたい、そう思うこともありそう。だが、関わりの程度というものがあるんじゃないか。他人との距離のとりかたは難しいやね。
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一言で言うならは、すさまじい本です。
これほど力のある作品と出会えることは、一生のうちにそうたくさんはないだろうと思うほどです。
作品に描かれることになるテーマもさることながら、最初から最後まで、ことごとく予想を裏切る展開が続き、特に後半は息をするのを忘れそうになります。
情景・心理描写の生々しさも、自分がその世界に飲み込まれたような感覚になります。
最初にどんな事件であったか、表面的な事実は語られている、いわゆる「サスペンス」でありながら、これほど最後の最後まで真相が分からず先へ進まずにいられない作品には出会ったことがありません。
直木賞受賞という事実が霞んで見えるほどのとてつもない傑作です。
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再読です。
著者が配偶者を亡くし、それを綴ったエッセイが話題になっていたころから著者のことがなんとなく心配で、でも、そんな辛いエッセイを読む気にはなれず、本棚に合った直木賞作品を再読することで折り合いをつけました。意味ないけどね。
著者のことを初めて知ったのはまさにこの小説で、当時はかなりインパクトがありました。
その後も著者の本は何冊か読みましたが、本書を超えるものはありません。
再読でも、軽井沢の風景描写が美しければ美しいほど不穏な気持ちに拍車がかかってゆくという読者の誘導は絶妙だと感じたし、70年代の学生闘争の象徴である浅間山荘事件の終結が奇しくも主人公の官能的な世界の終焉と同時にやってくるというウマさにも唸りました。
そしてなにより、思春期の少女のような主人公の無垢な心が、退廃的な夫婦に惹かれ囚われていく様は圧巻です。
だからこそこの崩壊の結末も哀しくはあるけれど納得感もありました。
そんな中、マルメロの樹が最後に残してくれたメッセージには胸が熱くなりました。
余韻が残る作品。
藤田宜永さん、ご冥福をお祈りいたします。
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大久保勝也
どんな男
ベンさんと重なる
そんな誠実な男ではなさそうだ
これは恋なのか
恋とは別次元の、別世界の、
話。
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全体的に色っぽくて背徳的だけどいかがわしい感じはしないという不思議な小説でした。
主人公がただ肉欲に溺れるわけではなく、片瀬夫妻を神聖視しているのではと思えるほど深く愛してしまったが故に起きた悲劇といった感じです。
どう考えてもピュアな恋愛とは程遠いはずなのですが、下手な恋愛小説よりよほど真剣さというか、鬼気迫るほどの純粋さを感じました。
雛子が大久保に恋をした時に、布美子が肉体ではなく精神での繋がりを求めるなんて汚いといった表現をしたのが印象的でした。
布美子に感情移入しすぎて大久保を撃ち殺すシーンで自分までスッキリしてしまいました(^_^;)