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印象派の巨匠、マティス、ドガ、セザンヌ、モネをそれぞれで取り上げ、実際の作品を絡めつつ描いたフィクション4編。
著者のキュレーターとしての経験が存分に発揮され、どのお話も、ある程度の事実を混ぜながら書かれているのでリアリティがある。歴史上の人物としての印象ばかりだった巨匠たちに生身の人間を感じ、人物も作品もより身近に感じられる。
そしてどれもがすこぶる美しい。
中でも、マティスとピカソの交流を描いた一編めの「うつくしい墓」がとにかく秀逸。決してそんなつくりにはなっていないのだけれど、なぜだか涙する私がいました。
この作品だけなら文句なしの星5つなんだけど。
ドガの「エトワール」も、セザンヌの「タンギー爺さん」も、モネの「ジヴェルニーの食卓」もどれも素敵なのだけれど、あと一歩迫ってくるものがほしかったかなあ。
でも、実在の絵を眺めながら読んだらより楽しいと思うので、まだの人はぜひ、画集を手元におくか、タブレットなどで検索しながら読むべし。
そしてどうやら本作も直木賞候補になっているらしい。
だけど個人的には前作『楽園のカンヴァス』で獲ってほしかったし、断然好きだったな。
ということで、本作で受賞してもしなくても、残念な気持ちには変わりなし。
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マティス、ドガ、セザンヌ、モネにまつわる短編集。それぞれの挿絵があったらもっと良かったのになあ。ドガの「十四歳の小さな踊り子」像ぐぐってみたけどすごいインパクト。実物を見てみたい。話自体もなかなかに衝撃的だった。マティスのヴァンスの礼拝堂はニースからバスで見に行ったけど、絵というより空間すべてが作品。セザンヌは「タンギー爺さん」の絵を先に見ておくと、物語を楽しめるかも。トリはモネ、一番楽しみにしてたんだけどちょっと退屈だった。
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カテゴリをミステリにしちゃったけど、どうなのかなぁ。
『楽園のカンヴァス』と対になっているようで、視点は異質なのかな。
こっちのスタイルの方が、通常のマハさんのスタイルに近いような気がする。
取り敢えず思ったのは『楽園のカンヴァス』を読了しておいてよかったということ。
この2冊はセットで読んだ方が絶対面白い。
マティス、ドガ、セザンヌ、モネと、今となっては高名な画家たちを描いた連作短編集。
それぞれの画家の晩年、しかも関わりのある人たちの視点で語られることで
マハさんが持っているこの画家たちへの愛情、
そして作品たちへの愛情がよりくっきりと描き出されていると思った。
『楽園のカンヴァス』に出てくるルソーとも時代が被っている。
この時代の、特にフランスの画壇がお好みなのかな。
この感想を書き終えたら、
まず最初にここに出てくる画家たちをWikiってみようと思う。
印象派は個人的にあまり詳しくないので(ルノアールくらいしか知らない)
逆に興味をそそられた部分もあるのだが
どこかに寄稿されてたフェルメールの話も面白かったので
19世紀末よりもっと前の画家の話もマハさんの筆で読んでみたいと思った。
中世の宗教画とか、フランスやスペインの宮廷画家の話とか。
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キュレーターでもある原田さんらしい作品。絵画を見に行きたくなりますね~w 昔、お兄さんの宗典さんの作品が面白くてよく読んでたんだけど・・・マハさんの方が、断然有名になってしまったなぁ・・・。
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マティス、ドガ、セザンヌ、モネを描いた4編。
美術に詳しくなくても楽しめる。
美術部だったのを今思い出した。く、詳しくない。
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どのお話もとても素敵。
いつしかこの時代に迷いこんでしまったような錯覚さえ覚える。もっと、ずっと、浸っていたい、そんな感じ。
絵画でしか知らない、マティス(うつくしい墓)、ドガ(エトワール)、セザンヌ(タンギー爺さん)、モネ(ジヴエルニーの食卓)の内面を垣間見たようで、ちょっと身近に感じたりして、嬉しかった。
原田マハさんならではの作品。こんな画家たちの史実に基づいたフィクションをこれからもいっぱい書いて欲しい。
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読んでよかったと思える小説でした。
触れてよかったと思えるものでもありました。
何でしょうね…面白いかどうかと聞かれたら、
それはどうかなーと思ってしまうんですよ(笑)
忠実過ぎると言うか、静か過ぎるというか、
大きな流れの中、闘っていたのであれば、
もう少し起承転結のあるドラマは欲しかったですね。
起承で終わってしまったような感じがします。
もっと言ってしまうと本人たちの内なる声、
叫び、そんなものを聞きたかったです。
好みの問題ですけど。
彼らの絵を観るたびに、魂を鷲掴みされる感覚になるんですよ。
何か生き様や魂みたいのぶつけてるなぁーっていう鳥肌ものの
感覚。
つまり、何ですかね〜…
彼らを部屋の外からではなく、真っ正面から
対峙したかったってことなんですけどね。
でも、読んでよかったんですよ。いい小説です。
ミレーとかも読みたいですねー。
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小説を読みながら、美術館を歩いているような感じ
不遇だった画家たちと、力となる人たちの
狂おしいまでの絵に対する気持ちが心に痛い
1編1編が短編であることがもったいないような
もっともっと小説のなかにいたいような
そんな気持ちにさせてくれる小説でした
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画家を巡る4編の美しい物語。
マティス、ドガ、セザンヌ、モネ… 彼らの制作風景・人となり・情熱が、彼らの周辺で生きる第三者の目を通して書かれている。非常に透明感のある、美しい物語だと感じた。
私はフランス文化に憧れ、2年ほどをフランスで過ごした。読んでいて、物語の舞台となっているフランスの町や時代が、透けてみえてくるような感覚を持った。花の香り、風、草花のざわめき、そしてフランス独特の強くて白っぽい光線…そういったものがページから漂ってくるのを感じた。
美しいものを愛する人たち。響感した。
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モネ、セザンヌ、ゴッホ、など印象派絵画を代表する画家たちの姿を描いたお話。
史実をもとにしたフィクション、とのこと。
どこがフィクションでどこがノンフィクションなのかさっぱりわからない、知識なしの私でも、物語として楽しめた1冊です。
モネの睡蓮、全作品観たら圧巻なんだろうなぁ。
一度観てみたい気もします。
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大好きな画家たちが、今生きる人のように感じられる
いきいきとしたストーリー展開。
この作者ならではの、丁寧な時代背景、
そして、アーティストたちの暮らしの描かれ方。
読んでいて、一つひとつの絵画が、彫刻が、
生まれようとするようなワクワクとした想いが
胸いっぱいにひろがった。
大好きな画家たちが、読む前によりも好きなった。
素敵な作品をありがとう・・・
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「この花をこの花瓶に活ければ、先生が恋をなさるのではないかと」一度言われてみたい!
っていうのは冗談として、マティス、ドガ、セザンヌ、モネと4人の有名画家の、これまた有名なエピソードで、展覧会のパンフや解説には必ずといっていいほど載っているお話で、元キュレーターの作者にとってはおなじみのストーリーでしょう。まるで、主人公の元(^_^;)娘達が、思い出の場所で、巨匠達への憧れを懐かしく語っているかのようなすばらしい描写でした。ビジュアルでカラフルで、濃い水色の雲ひとつない地中海の夏空、白い平屋建ての開放的な別荘、色とりどり花でいっぱいの庭。まるで展覧会のオープニングビデオを見ているかのようでした。美術史のことは隠し味として、本筋はミステリーとライブストーリーとした楽園のカンバスがベストセラーとなったことで、彼女の本当に書きたかった、美術史に基づいた小説を書くことができたのだと思います。永遠の少女にとって、尊敬と憧れと恋心は一体なのかなぁ。
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史実・伝記をもとにした小説。マティスのエピソード(女性を花になぞらえる)がかっこよくてますます惚れる。
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画家の生きた時代に想いを馳せる。
新しい表現に飢えていた時代。
美術がより人びとに近づいたのは、
当時は無名だった巨匠たちの確かな感性と
枯れることなき情熱の軌跡あればこそ。
静かに文字を追うだけで、立ち上がってくる
情景は、静かな美術館に佇むような気持ちに
誘われます。
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楽園のカンヴァスのようなハラハラ、ドキドキはない。
いろいろな芸術家の傍にいた人の視点で
淡々と語られていく。
でも、傍にいた人はやはり、とてもその人を良く知る人で
その語りには愛があふれている。
じんわりとしたよさのある本。