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南の島を舞台にした不思議な連作短編。それぞれ主人公は違うけれど、呪術師ユナと日本人の少年タカシでゆるくつながっている。
魔法なのか、呪術なのか、はたまた夢か幻か。南の島の明るいイメージと一見似つかわしくない幻想的な世界が広がる。
どれも恒川さんらしい美しい文章で綴られているけれど、幼い日のユナを描いた「紫焔樹の島」と植物のように半分地中に埋まっている元海賊の男が過去を回想する「まどろみのティユルさん」が特に好み。
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時代や国を超えて、人々が繋がるところが好き。思いもよらない展開にぐんぐん惹き込まれました。何となくハロウィンの読書におすすめしたい本です。
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ホラーというほど怖くも無く、やはり恒川さんらしい幻想譚。
同じ島が舞台で登場人物も共通なので、明らかに連作短編なのですが、各編で世界観が異なります。勿論ミスなどでは無く意図したものでしょう。
旅をして様々な世界観の土地を訪れる物語はよくありますが、この本の場合は多少の時代差はあれ同じ島内の話なので戸惑ってしまいました。というか、そこに引っかかってしまい、恒川さんの奇想、南の島が舞台なのにどこかヒンヤリとして薄暗くノスタルジックで切ない恒川ワールドを十分に楽しめなかったような気がします。
ちょっと残念。
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連作短編であるが短編間に深い繋がりはなく、著者の「草祭」のような作品が好きな方にはおすすめである。とある島で起きた時空を超えた幻想的な物語が様々な人物の語り口で展開される。最初の短編を読んだ際、今作は微妙かもしれないと感じたがそれは杞憂だった。全ての短編を読み終えた時に最初の短編を読み返すと変な笑いが出た。「そんなこともあったな」、とまるでとある青年のように。
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再読。今回もひんやり涼しく、楽しく読みました。
小さな島なのかと思っていましたがかなり広いトロンバス島。コミュニティが小さくないからおおらかなのか、ユナを始めとして不思議な存在がたくさんあるから、今更変わった事があっても…みたいになるのか。いいな、南の島。
トロンバス島が舞台じゃないお話もあってそちらは時代が違うけれど、その他は「こう繋がるんだ…」というゾクッと感があって良かったです。
「まどろみのティユルさん」が今回も好き。ソノバのご先祖、「穏」の出身なのか。あの町から離れたら、一処に留まれずこの世界を巡り廻る定めなのかもしれない…と思ってしまう。それはそれとして、ティユルさんはこれからも大きな木陰を作って微睡んでるんだろうなと、聳え立つ菩提樹が目に浮かぶようです。
タカシも波乱万丈だけれど、父ケイタもなかなか…フルーツタウンで迷子になってる場合じゃない。タカシ、トロンバス島に来られて良かったね…一家心中で死ななくて、というより、この両親のもとで育ってたらひねくれてそう。
話数が多い連作短編集だと、恒川ワールドは時間にも広がりを見せてくるのが良かったです。滅びる場所もあるけど、何百年も続いてきて、また続いていく世界を感じられました。
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時間軸が行ったりきたり、1つ1つの話がまるで夢の中のようで断片的であったけれど、おもしろかった。個人的には漁師の話と果物頭の部分が奇怪で好き。
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3冊目の恒川光太郎作品に選んだ一冊。
今回もとっても素敵だった…!
まるで古くから語り継がれてきたおとぎ話を、大切にひっそりと読み聞かせてもらっているみたい。
とある南の島に来た東洋人の少年タカシと、彼を見守る不思議な女性のユナ。彼らを軸にして時代も空間もあっという間に飛び越えては縦横無尽につないでいってしまう、作者の筆はもうお見事。
その筆致の軽やかさに心底うっとりとしてきた頃に、まるで夢が引いていくかのようにあっけなく、けれども美しく物語たちは幕を下ろしていく…
まさに夢見心地な1冊だった。ファンタジー好きにはもちろん、いろんな小ネタが仕込まれてる連作とか、時代を超えて全部が緩やかに繫がっている系の仕掛けが好きなタイプにはぜったいにオススメできる。
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「南の子供が夜いくところ」南の島々を舞台にした7つの話。リアルで御伽噺で不思議な世界観、雰囲気。太陽の匂い、湿った夜の匂い、果物の熟れた甘い匂いがしてくるような錯覚。スッキリとはしないかもしれないけど、夢と現と過去と現実をたゆたう楽しさだった。
「蛸猟師」「夜の果樹園」が不気味で何か良かった。「夜の果樹園」は映像で見たいけど、なかなかにグロテスク。変に記憶に残ってしまいそうだけど、この話が不気味で奇妙で私は好きだったな。
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不思議な繋がりのある短編集。むわっとした南国の香りと温度と色彩が漂って来そうな語り口と、もし自分が迷い込んだら、と恐ろしくもなる他にはない素敵な作品。
まどろみのティユルさんと夜の果樹園が好きでした。例えて言うなら南国の千と千尋。
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時間と場所と現実を超越したダークファンタジー。架空の島にまつわる7編。どれも不思議な世界に浸れる。「まどろみのティユルさん」が好き。島の地図は距離感がよく分からなかった。イメージ程度の受け止め方で良いのかな。
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一家心中の運命から救われた少年が、彼を救った魔女(?)に連れられて南の島で暮らし始める……。こう聞かされても、今時の読者はそこまで甘いだけに話を想像することはないだろうが、それでも大方の予想を超えて、血なまぐさく、暴力に満ちた連作集。全体の雰囲気から少しズレているような「十字路のピンクの廟」や、スーパーナチュラルな出来事が起きない「蛸漁師」なんかが好み。
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ホラーというかファンタジーというか恒川ワールド❗️短編集ではあるけれど人物や出来事が所々リンクしている。
夜の果樹園が一番好きだった。なんか昔、こういう雰囲気というか絵面の絵画を観なかったっけ?(シュールな感じの。)
以前美術館で観た、顔が野菜や果物の集合体で描かれた絵を思い出した。
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今回も面白かった。
最初の短編が結論なく終わったから不完全燃焼と思っていたが、全ての話においてタカシが絡んでおり、彼の島での生活が垣間見れる。
オンも出てきて、他の作品と繋がった。
それぞれの短編で主人公となる人物が決まっており、読みやすかった。
情景描写も鮮やかで行ったことのない島の暮らしが目に浮かぶ。
・南の子供が夜いくところ
一家心中寸前のところユナに手助けされ、南の島にやってきたタカシ。
父親とも母親とも別々の島に暮らすことになる。
結論が出るわけではないけど、タカシは生き延び日本に戻ってきたのかな、と思われる描写が冒頭にある。
母親の勝手で振り回された子供が許さない気持ちわかる。南の子供が夜悪夢を見た時に行くところは、悪夢を取り除いてくれるおばさんの家。
・紫焔樹の島
ある島ではタイトルの樹が一本生えている。実を食べれるのは一年に一度のみ。樹の場所がわかるのは女性だけで、選ばれたものは果実の巫女と呼ばれる。果実の巫女は島の神様トイトイ様と話せる。
果実を食べると不老不死にはならないが、力が漲る程度の効果はある。白と赤の実のうち赤しか食べちゃダメ。主人公はユナ。最後は島全員伝染病で全滅し、ユナが白い実を食べてしまい、イギリスから来たスティーブンと島を離れておわる。
この不思議な設定がもう面白いし、作り込まれた世界観。トイトイ様みたいな神様と私も友達になりない。
・十字路のピンクの屏
タカシの友人のロブが主人公
ロブが会った魔神がロブに変装して女性とキスをする願望を叶えた話。
墓参り、私は全然行かないけど、死体を出して新しい布を巻き直して囲んで宴会する、ってなかなか子供には衝撃的だと思った。
・雲の眠る海
ある島から命からがら逃れた戦士の話。伝説の海龍蛇の民族を探し、島を助けてもらうために旅に出る。結果現代のユナとタカシがいる島に流れつく。
男のいた島は昔水没し遺跡の島となっている。雲が海面に着くほど下がってきて、雲の中を泳いだあと島に着いたこと先にユナたちがいた。タイムスリップもの。男は最後消えた。
・蛸漁師
岬で蛸漁師をしている男が主人公。
蛸漁師に至るまでの一連の事件を語る。この男の息子はユナとタカシに会ったことがある子供だった。彼が死に、検証をした父親が結果的に復讐を果たし、これまでの不思議な一連の顛末復讐した相手の父親に話しているというオチ。
・まどろみのティユルさん
海賊だった男が主人公。ティユルは目が覚めると石になっていた。石だけど話せるし、少しずつ体が土から出てくる。タカシと話すこともできる。子供の頃のユナとも知り合いで、再開は果たせず木になった。オンが出てきた!!
・夜の果樹園
タカシの父親が主人公。タカシに会うためにやってきた島のバスに乗って、終点で降りると犬になっていたところから始まる。犬になって、小鬼になって、アボカドになって、最後は人に戻ってタカシに会えただろう、流れ。何年間ものストーリーに感じるがたった1日だったという神隠し的なオチ。島の裏の野生のフルーツがたく���んなってる廃墟に行ったと考えられる
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文章は軽妙で読みやすくスルスル読めていく。悪霊やら不思議な存在が関わる話したちはなかなかに楽しい。短編集なものの、島々の今や過去を舞台にした話なので歴史やよく出てくる不思議なキャラの背景がわかり先に進むほど、不思議な世界に入り込める。
続きがあるならもっと読みたいところだ
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好きな作家の本、ですが。
120年生きる呪術師のユナ
すごい魅力的なキャラなので、この方をもっと前面に出して欲しかった。