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読んでからずいぶん時がたったので、おぼろげな記憶だ
確か前半は、物語というよりシューマン論と言ってもいいほど精密な音楽評論になっている
こんなもの読んで、一般の読者がついてこれるだろうかと思った。
でも一冊読み終わってみれば、ミステリーとしても素晴らしく、賛否はあるものの、結末にいたる驚きの連続は読者の知性への挑戦として、素晴らしい出来ではあった
ただここでは、僕が感じたことを書いてみたい
それは「音楽評論」とは何かということだ
ちょうどこの本を読んだのと前後して、元職場の先輩がくれた有名編集者の評論集を読んだ
それは、ジャズからクラシックから、日々接する音楽に対して、日記風に感想を書き連ねている本だった
オーディオ雑誌の連載をピックアップしたものらしい
パラパラ読んだ限り、どちらにも驚くほど造詣が深いが、明らかにジャズ評論よりの人だと思った
というのは、この編集者も意識していると思われるジャズ評論の泰斗、植草甚七を昔読んでいても思ったのだけど、伝統的なジャズ、あるいはポピュラーミュージックの批評という世界では、音楽そのものよりも、その来歴、人物史とかディスコグラフィーとかその年代の社会背景などへの言及が中心になっている
誰が誰といつどうして音楽史上はこう、というような世界
映画評論などもそうだし、もちろんクラシック音楽の評論だってその手のものはゴマンとある
それを否定しているのではなくて、例えば本屋の音楽雑誌コーナーで立ち読みすればほぼ全部がそんな感じだから、消費側の巨大なマーケットと供給側の業界との橋渡しとしては、ふさわしい評論の在り方なんだと思う
でも個人的にはそんな知識はあくまでサイドストーリーで、あんまりいらない
音楽そのものに近づきたい
どのみち音楽は言葉では表せられないのだけれど
それを何とか表現しようとすることも音楽評論の重要な意味だと思うのだ
音楽を聴いて立ち現れるこの心の情動を誰か正確に言い当ててくれないだろうか
あるいは、このフレーズの音楽的な仕組みを詳細に教えてくれないだろうか
また、音楽としての歴史的な系譜を単に人のつながりではなく緻密な和声分析などで明らかにしてくれないだろうか
だったら楽譜を見ろと言われるかもしれないが、楽譜からも読み取れない何かが音楽にはあるはずだ
その渇望にこたえてくれる評論は多くない
しかしこの本はそれを感じさせてくれる稀有なひと時を与えてくれた
「船に乗れ!」や「のだめカンタービレ」以来だった
そのような音楽評論の創始者が、そういえばシューマンだった
ミステリーとしてというより(この結末はすごく好きだけど)、音楽小説として断然評価したい
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「桑潟幸一のスタイリッシュな生活」よりは遥かに好みだし、読み応えもありましたが、シューマンの分析&薀蓄がかなり多く飽きが来ました。よほどシューマンに興味がないと辛いんじゃないかな。音楽の演奏シーンは、他の作者の作品と比べちゃ何ですが、“某・ドビュッシー”シリーズの方が分かりやすいし感動的。どんでん返しの真相については多少予測はついたものの面白かったです。
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9割はシューマンの楽曲解説。最後のほうでやっと、あーそうか。で、さらに、なるほどそういうことだったのか。
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シューマンを愛するピアニストの話。
前半はシューマン論や作曲の背景などにページが割かれており、勉強にはなるがつまらない。
ミステリ部分は後半の少ない部分だけで、最後の結末でどんでん返しがある。あっけにとられるほどのどんでん返しで、せっかくここまで読んだのに、と思わずにはいられなかった。
しかし、クラシック音楽がからんでいるからなのか上品な作品の雰囲気となっている。
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ミステリーではありますが、あくまでもメインはシューマン論です。
自分はクラシックは全く分かりませんが。
クラシック好きな人にはオススメ?
一般教養としても、ミステリーとしてもまずまず楽しめました。
なにより表紙が好印象!
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音楽の素養がないので、文章のほとんどが良く分からない。聞けばいいのかもしれないけど、たぶん理解できない。じゃあミステリが単体で楽しめるかというとそれも難しい
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前半から中盤までは、音楽論、シューマン論がずっと語られている。
なかなか物語が進まず、正直に言えば、読むのが少し辛かった。
終盤でようやくミステリらしさが垣間見える。
ラストは二転三転のどんでん返し。
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こうした小説を読んでいると、音そのものを聴きたくなる。そんなとき、YouTubu ですぐ聴くことができるってありがたい。
シューマンを聴く、と云うことは今までなかったように思うが、少し聴く機会が増えるかもしれない。
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全体的に音楽の専門的な内容が多くて読みにくい印象を受けました。
途中から結末がなんとなく予想がつき、腑に落ちない部分もありました。
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音楽に対して無知な私にも、登場人物たちの音楽に対する熱が圧倒的な実感として感じられた。
途中妙に浮いてるなと思う点があったのだけれど、最後の種明かしであぁ成程。と納得。
分かる人にはかなり早い段階でからくりが分かったのではないだろうか。
いつか再読しよう。
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奥泉作品は、面白いものと「なんだかよくわからない」ものがある。
この作品はかなり面白い。
ラストのどんでん返しが効いていて、「ええっ?」と読み返す羽目になった。
ミステリとしては感心したし、シューマンに対する愛情(たぶん、作者の)が噴出していて、凄みのある作品だと思う。
が、好きではない。
余計な部分が多くて冗長にすぎるわけではないのだが、それほどシューマンやピアノに関心がないので、「このあたり、読むのが面倒だなあ」と思う部分が結構あった。
骨子となるストーリーがあって、肉付けがある。
ストーリー展開や人物造形、文体などが気に入っても、肉付けの部分を愉しめないと「好き」とは言えないのだな。
シューマン、音楽に対する深く強い思いを感じたけれど、それが鬱陶しくもあった。
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【2014年3冊目】本の半分以上がシューマンのうんちくで、あまりクラシックに興味のない人は読む進めるのがつらいかも。後半だいぶ過ぎてからミステリ要素がでてくるのだけれども…。ミステリをたくさん読んでいる人からしたらあのラストはいただけない。というか、ミステリ要素が必要だったのかな?クラシック文学としてとてもきれいな文体が多かったので、それでまとめたらよかったんじゃないかと思ってしまい、残念でした。
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最後まで読めなかった。
とにかく音楽のことがわかってないと理解ができない感じ。
音楽のことを知らない人を拒否する作品。
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「ノヴァーリスの引用」以来、奥泉光の作品を読み続けてきた。ミステリー仕立てではあるけれど、ミステリーとして読んでしまうととても平凡な作品と感じてしまうだろうと思う。けれど、芸術というものの本質の追求がテーマである作品として読んだらどうだろうか。僕はこのミステリー仕立てそのものが、芸術の本質に迫ろうとした人間の限界のようなものを表現しているのではないかと思えてならない。
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2011年本屋大賞5位
高校の後輩:天才ピアニストが語るシューマンの世界に傾倒していく物語。そして天才ピアニストが弾くシューマンを聞いた直後、殺人事件が起きるというミステリー。
本の前半分がシューマンについて、非常に熱く語った内容となっている。
まるで大学の講義を聞いているようで、読むと眠くなってしまい、なかなか読み進めることができず…w
(そう言えば、教授が研究対象への情熱が溢れすぎて置いてけぼりにされることってあったよなぁ)
半分を過ぎるころから漸くミステリーが始まり、クライマックスは少女マンガの世界が繰り広げられるという何かと忙しい作品。
本屋大賞に選ばれるってことは、本屋さんにはクラッシック好きな人が多いんだね、きっと。
それとも描写が美しいってことなんだろうか?