投稿元:
レビューを見る
日本への帰国から10年改めて拉致とは何かを考えるの巻
「将来戦争が起こることを見越して地方都市・農村へ投資せず、ピョンヤンへの一極集中という国家戦略をとっている。」
合理的というかなんというか
投稿元:
レビューを見る
発売前に、帰国から10年とあって取材に応じていた。拉致が人や故郷との「絆」を断ち切るもので、その「絆」を戻すことが問題の一応の解決というのを話していたと記憶する。
このタイミングで出版したのは拉致問題を風化させず、拉致被害者奪還のための現実的なアプローチを政府などに促すねらいがあったと思うが、読んでみて思うのは、著者がいた時代の北朝鮮の状況をしめす、詳細に富んだ資料ともいえること。脱北者の本などで窺えた部分もあるが、より具体的で、説得力がある。著者のやや突き放したような視線が後ろ盾しているようだ。
勝手ながら、著者の文章に以前よりも彩りを感じる。硬いと言えば硬いのだが、幅が出てきたようである。
日本に残ることへの決断、北朝鮮生活での戸惑い、などに著者の逡巡が見えて、読み手からは現実感がないことなのだが、なんか身近に思えた。
投稿元:
レビューを見る
著者・蓮池薫氏は北朝鮮拉致被害者である。
大学生のとき、交際相手とともに拉致され、24年間を北朝鮮で過ごし、2002年に帰国。北朝鮮での日々を思い起こして綴られ、2012年に出版されたものが本書となる。
新潮社の雑誌「波」に連載されたものをまとめたとのことで、北朝鮮での生活に関する、またその中で著者が感じたこと・考えたことに関する、数ページの短めのエッセイが30弱、収められている。
2009年出版の『半島へ、ふたたび』では、拉致事件についてさほど突っ込んだ話が出てこなかったのに比べると、当時の生活についてなどもかなり詳しく書かれている。
3年の間に、前最高指導者の死亡により、代が変わっている。そのことが前著より本書が詳しい記述になっていることの一因なのかもしれないし、ただ著者がつらかった日々を振り返って文章にするには、時間が必要だったということなのかもしれない。そのへんはよくわからない。
北朝鮮の食糧事情、経済状況、拉致された者への監視などが冷静な筆致で描き出され、「空気感」が伝わってくる。
一方で、拉致事件の背景や、子ども達の学校生活がどのようなものであったかは詳細がわからない。
周囲10メートル四方は詳らかに見えるけれども、その先は霧の中、といった印象だ。
拉致被害者という立場上、著者が本当に知り得なかったことも多いのだろうし、また、諸事情により現在でも「書けない」こともまだまだあるのだろう、と推測させる。
冷静な観察眼は天賦のものなのだろう。
厳しい北の気候の中で、土地から取れるだけのものを得ようとする人々。
社会主義社会の中の本音と建前。スポーツ選手の光と闇。
おそらく日本語を思う存分使うこともままならなかった24年を過ごした後で、なお瑞々しく綴られる文章には感嘆させられる。
稀な犯罪に巻き込まれてしまった人の稀有な記録である。
著者は囚われた状況の中、乏しい情報の中で、家族のため、子どものため、生き残り、生き延びさせようと懸命に考え、生き抜いてきた。その真摯さが胸を打つ。
投稿元:
レビューを見る
招待所に住んでも(監獄のようなところ)、翻訳の仕事に従事している蓮池さんは、北朝鮮の新聞を読み、日本の新聞も読んでいて、自分たちが探されていることもそこで知っていた記述や、1990年代以降の食糧危機が北朝鮮内人の生活を変えたこと。洗脳教育、金日成の死去時の経験に踏まえて、金正日の死去時に市民がとった振る舞いなど書中で評価をくだされていた。
洗脳されているふりをしながら、心のなかではそうと悟られないように振舞っていた事実なども赤裸々に語っていある
投稿元:
レビューを見る
北朝鮮での生活や社会の状況がどちらかというと淡々と
語られていて、もう少し、拉致された時の状況や
北朝鮮での立場ならではの秘密事項とかがもう少し
かいてあるのかと思いましたが。
でも、私も含めて常人には考えられない経験をされた
筆者なのだろうからそこらあたりのギャップは
仕方ないかと。
投稿元:
レビューを見る
北朝鮮の歴史と今、そして著者の蓮池薫氏をはじめとした拉致被害者の方の痛烈な思いが綴られた良書。
拉致問題や北朝鮮という国家の体制、北朝鮮に生きる人々、今後の日朝関係等について理解するための入門書となっている。
拉致問題解決と日朝国交正常化に向け、すべての日本人が読むべき本。
投稿元:
レビューを見る
壮絶である。
単なるノンフィクションとして読むことはできない。著者は当事者であるからだ。
安全な場所で家族や友人に囲まれて大人になった自分には到底理解できないことかもしれない。
しかし、自分だけが大丈夫という根拠はどこにもない。いつ自分が、家族が、恐ろしい目に遭わないとも限らないのだ。
北朝鮮という国の姿が少し理解できた。そこで暮らす人々の中には人格の優れた方もあるようだ。
拉致被害者である著者は24年という長い期間、絶望と闘い続けた。日本に残り家族を待つという最大の賭けにも勝った。
失った時間は取り戻せない。ようやく取り戻せた夢と希望が一日でも長く続いてほしい。
本人も家族も抱える大変な思いは常人の想像を絶する。本当に心から拉致問題が進展することを願う。
投稿元:
レビューを見る
彼の地に連れ去られて24年という歳月の中で、家族を築き、守っていくうえでの蓮池氏の心の動きと覚悟。また、飛行機で日本に降り立ったときからの揺れ動く心の葛藤と新たな覚悟などが、率直に語られていて、読みながら心が揺り動かされた。
まだまだ語ることの出来ないことが多いと拝察される中でも、彼の地の実態、招待所での暮らし、彼の地の人びとの生活実態、思想と検閲等々も綴られおり、衝撃を受けつつ、一気に読破した。
投稿元:
レビューを見る
想像通り、いえ、想像すら及ばない、蓮池さんたちの精神的苦痛
日本に帰ってから、この本を書くまでに10年の歳月は
同じように苦しんでいる、そして同じ拉致被害者ながらも
日本に帰った人たちもいるということを知っている人たちの
立場や思いを考え、どうしてもかかってしまった年月だった
読み終わって、蓮池さんの「忘れて欲しくない! まだ被害者がいる!」
という悲痛な叫びが心にささるような気がし、
この本のような生活、いやもっと悲惨かもしれない生活を送っている
拉致されて、親兄弟とも会えず、北朝鮮という特殊な国で行きている人たちが
どうか、1日も早く日本に帰って来れるよう願うばかりの気持ちです
投稿元:
レビューを見る
蓮池薫さんの「夢と絆」と題された講演会を聴いて購入。
単行本で2012年10月に出ていて「拉致、その日」と「さらに三年」が加筆されている。講演会では最初別々に離された妻、祐木子さんとの再会の様子など本より詳しく語りました。蓮池氏は1学年下でロック好きとありとても親近感があります。
生きていく上でカギとなるのは人生への夢と、人的な絆だと述べています。被害者にとっての拉致行為とはそのどれもを奪うものであり運命を狂わされたことにその本質があると述べています。被害者にとっての拉致問題の解決は、救出だけにとどまらず、彼らの絆をつなぎ、夢を取り戻すこと、幸せを追い求める自由を完全に回復させることにあると述べています。
結婚し子供が生まれたことで夢と絆が生まれ厳しい現実を生き抜けたとあります。普通に暮らしていてもこの「夢と絆」は壮年期において人生を生きていく上の支えになるものだと思いますが、拉致された現状であっては唯一のものとして機能している厳しい生活が伝わってきます。
いまだ未帰還者もいるので、あちらでの生活にはかなり気を使って書いています。記憶をたどりながら書いた本書は、生活実態の記録であると同時に、心情・感情変化の記録と言えると言っています。あきらめから割り切り、そして子供への夢と絆の必死の戦い。
かなりな数の講演をこなされている様子、自分の使命は、拉致被害者すべてが救出されるまで、日本の国民に拉致問題への関心を持ち続けてもらうことだといいます。本当に解決に向けて事が動けばいいなと感じます。
投稿元:
レビューを見る
一番最初に拉致事件を報道で知った時、非常に強い衝撃を受けたの記憶している。もし自分の身に同じ事が起きたらなど想像もできない。その被害者の一人である著者が、北朝鮮での生活の様子を克明に描いている。おそらく日本人の大多数があまり良いイメージを持っていない北朝鮮だが、憎悪すべきは北朝鮮の人民ではなく党や軍の中枢だという事を忘れてはならない。被害者全員の一刻も早い帰郷を願うばかりである。
投稿元:
レビューを見る
2012/11/20-11/26 北での様子が今ひとつ伝わってこない。24年間があまりにも長すぎた期間だったためか、それとも未だ北の呪縛から逃れることができないのか。
投稿元:
レビューを見る
北朝鮮での生活について蓮池さんの心情が細かく書かれていた。
こんなにも国民の生活が違ってくるなんて政治の力は本当に大きいと感じた。
投稿元:
レビューを見る
拉致されてから、今日までを赤裸々に語っています。
まさに、私達の常識では、考えられない、拉致被害者の生活に、
北朝鮮の現状を垣間見る事ができました。
投稿元:
レビューを見る
北朝鮮に拉致された著者の手記。日本人の目からみた北朝鮮という国家や人々の様子が興味深い。戦争の恐怖や自由に対する渇望などの想像しがたい部分も、著者の表現力によって理解することが出来る。