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「貧困層をターゲットにしていて、かつ貧困からの脱却に資することなく、貧困を固定化するビジネス」である「貧困ビジネス」を取り上げている。ゼロゼロ物件、闇金融、日雇い派遣にいたるまで、様々な貧困層をターゲットにしたビジネスが解説されている。
それほど深い考察が加えられているわけでもなく、抜本的な解決策が明示されているわけでもない。しかも、貧困ビジネスの中でも比較的新しい現象だけを取り上げていると思われ、昔からあるドヤ街や港湾労働者の問題などにはほとんど触れられていない。そういう意味では、最近の新聞から貧困ビジネスに関するものを寄せ集めてきただけという印象もある。
風俗産業を扱った部分などは、データの根拠がはっきりせず、筆者の独自調査による部分が大きいく、どこまで信頼できるのかわからないなど、問題点も多いが、新書で手軽に読める本なので、興味のある人が軽く目を通す分にはいいと思う。
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参考文献
「官製不況」門倉貴史
「ワーキングプア」
「貧困大国ニッポン」
「セックス格差社会」
「ワーキングプアは自己責任か」
「蟹工船・党生活者」小林多喜二
「下流食い」須田慎一郎
「ルポ 貧困大国アメリカ」堤末果
「臓器は「商品」出口か」出口顕
「労働ダンピング」中野麻美
「ドナービジネス」一橋文哉
「貧困襲来」湯浅誠
「反貧困」
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本書(門倉貴史『貧困ビジネス』幻冬舎新書、2009年)は、急増する貧困層を食い物にして儲ける貧困ビジネスを取り上げた新書である。ゼロゼロ物件、リセット屋、偽装請負、人身売買、臓器売買など様々な貧困ビジネスを紹介する。モラルを失った業者の貧困ビジネスは日本経済の末期症状を示している。
中でもゼロゼロ物件の欺瞞には恐怖を覚えた。ゼロゼロ物件は「敷金・礼金なし」で貧困層を誘い込み、僅か数日の家賃滞納で法外な違約金を請求する。一見すると敷金や礼金がないために消費者に有利に見える分だけ悪質である。しかも他の貧困ビジネスと比べて、貧困層以外の幅広い層に応用可能なために有害性が高い。
本書は紹介が中心で、貧困ビジネスを撲滅する政策や被害者の救済策についての記述は薄い。ゼロゼロ物件業者への提訴や宅建業法違反の告発など貧困ビジネスに対する消費者の権利回復の闘いが全国各地で起きている。それらの運動の紹介も今後は期待する。
(林田力)
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「ゼロゼロ物件」「リセット屋」「偽装請負」といった国内の問題から、「人身売買」「臓器売買」といった海外の問題まで、貧困層をメインターゲットした様々な、合法及び非合法ビジネスを沢山紹介しています。
新書という紙面の制約もあるのでしょうが、そういった悲惨なビジネスの紹介に終始しているのは残念でした。(巻末にちょこっとだけ申し訳程度に対策について触れられてはいますが・・・)
また、本書の後半は「貧困対応型セックス・ビジネス」と題して、著者お得意の性風俗ビジネスについてのレポートもあります。「裏ビデオボックスの平均単価は約3000円」とか「原油高騰の影響でデリヘルの原価が上がった(そうかもしれませんが、ちょっと笑ってしまった)」とか、結構面白く読めました。
内容は全般的に浅めですが、世の中にはこういった側面もあるのだということを知るには良い本かもしれません。
ただ、少し意地の悪い見かたをすれば、このような貧困ビジネスの紹介だけするという本書の出版自体が、ワーキング・プア等の貧困層をダシにつかった貧困ビジネスの一種と言えなくもないですけど。
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自分が知りたい情報(BOPビジネスに関すること)とは違ったがだからこそ興味深く読み事ができた。
日本の貧困層に対するビジネスの陰の部分を知ることができた。
低所得であるというだけそうでない層や悪徳業者から散々な目にあっているという現状をもっとよく知る必要を感じた。
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貧困ビジネス——。
ニュースなどでなんとなく知っていることだが、からくりを知ると寒気がする。
詐欺における手口やお金の流れのからくり、その手口は、どれも想像の物語のような印象を受けるが、すべて現実社会の話だ。
貧困ビジネスを通し、様々な負の連鎖が産まれ、ことは国内に留まらない。
個人的には、中国産の安い食材の謎の断片を知り、驚愕した。
トウモロコシの芯を粉末にし、工業用染料をまぶしてニセ唐辛子のできあがり!
人毛からアミノ酸抽出できるから醤油作ろう!など、驚きの発想力と応用力をいい方向へ生かして欲しいと強く願うばかりだ。
また、男性向け風俗店で、パンチラを見るのに30秒500円が相場と知り、値段設定もさることながら、30秒単位でも買いたいと思う必死な欲求に笑いがこぼれた。
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貧困ビジネスについて網羅しているものの、すでに出版から4年以上たっていること、光の部分の紹介や提言がないことが残念。
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出版から数年経過していてすでにその内容も報道特集などでクローズアップされている内容とダブル印象で目新しいものが少なかったのが残念。おそらく出版当初に読めばなんて残酷なビジネスなんだ・・って驚いたんだろうなあ。
今話題のBOPビジネスと対で知っておきたい闇の部分をざっと知ることができる。といっても、この数年でこの内容も多少様変わりしたりバージョンアップしたりしている印象を受ける。ゼロゼロ物件の次は違法なシェアハウスだったり・・
紹介してくれている内容はいいんだけど、解決策が行政が悪い!に終始している印象を受けるのもどうかな・・って思う。結局需要と供給があるからこのビジネスが成り立つわけであって。。。すぐに解決できる内容ではないけれど、やっぱり教育という部分も大きいんだろうなあ。
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その昔、「下流喰い」という本を読んだけどそこに出てくる内容と重なる部分もあった。言い方が変わったのかもしれないけど、なくなりはしないのかな?
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少し前の本なんで特に目新しい話はない。どれもウシジマくんとかでネタになっているような内容と言った感じ。しかし秀逸なのはセックスビジネス産業の記述の詳しさ。大量の湯を沸かすソープ、車で移動するデリヘルなどは、原油高による影響を受けやすくて、価格上昇となると途端に客足も落ち込む価格弾力性の高い産業なのだ、というのは大変参考になりました(なんのだ)。
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○エコノミストでコメンテーターなども努める門倉氏の作品。
○いわゆる低所得者層が生まれる原因と、それを食いものにする(悪徳)ビジネスの実態を紹介したもの。
○本書では、国内外の貧困ビジネスを幅広く紹介している。そのなかには、あまり知られていない臓器売買や人身売買などの超ブラックビジネスもあり、衝撃を受ける。
○少し古い本であるが、現在もあまり変わっていないだろうし、むしろ、さらなる貧困ビジネスが増加しているのだろう。。。。続編を期待したい。
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貧しい者がさらに騙されるという、騙し合いが起こる現況は、貧困層が減らないという問題もあるだろう。モラルの崩壊が痛ましい。
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一時期、TVでも良く取り上げられていた貧困ビジネスについて、ホンマでっか!?でも御馴染みの門倉貴史さんが判り易く解説されています。世の中には弱者をカモにして儲けようとする悪徳業者がいるので、その様な業者に騙されない様、気を付けなければなりません。生活保護については本当に考えさせられます。
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本書は、所得格差の拡大により増加の一途をたどる低所得層をターゲットにした「貧困ビジネス」の問題を指摘し、その打開のための方策を提示している。
貧困層を取り巻く環境は、90年代後半から2000年代前半の「就職氷河期」以降悪かったわけだが、2008年9月に起きたリーマン・ショックをきっかけにして、より一層深刻化することになる。企業の人員整理、非正社員雇用を増やすなど貧困層はさらに増加している。
そんな貧困層をターゲットにしたのが「貧困ビジネス」である。「貧困ビジネス」にも光と影の部分があるそうだ。バングラデシュのグラミン銀行やマイクロ・クレジットのビジネスのように貧困層からの脱却を手助けするビジネスが光りの部分とすれば、「ゼロゼロ物件」や「リセット屋」、臓器売買や人身売買、二重派遣や「名ばかり管理職」、セックス・ビジネスなど貧困層の弱者を食い物にするのが影の部分だろう。
この「貧困ビジネス」の影の部分に対し、行政は規制強化を行ったりするが、逆に貧困層の生活をさらに追い詰めることになる場合もあるらしい。
筆者は規制強化を行うだけでなく、貧困層の実態を踏まえた柔軟な政策をとることが必要であると指摘した上で、根本的に非正社員を減らし正社員雇用を増やす、さらに賃金の引き上げ等、低所得層を減らすということを行わなければならないと警鐘を鳴らす。
本書の内容について、多くの経済学者が指摘しているように、貧困層を減らし格差是正を行うことが必要な現状を、「貧困ビジネス」という視点から指摘されたことは大変意義のあるように思う。「アベノミクス」でさらなる格差が生まれようとしている今日こそ、本書を読んでもらいたい。
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ゼロゼロ物件、ネカフェ難民、多重債務者、二重派遣、ドナービジネス
なるほど。門倉先生、わかりやすかった!