紙の本
痛ましい残像の上に築かれる揺るぎない愛
2007/01/08 20:28
12人中、11人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:hamushi - この投稿者のレビュー一覧を見る
「ひめやかな殉情」「しなやかな熱情」に続く、臣と滋英のお話の三作目。
崎谷氏の作品では、破綻した家庭で愛情薄く育ったことによるトラウマが、物語の前面に出されることが多いですが、このシリーズではとくにそれが痛ましく、またそれだけに、二人の絆が深まっていく様子が、細やかに描かれているようにも感じます。
母親に育児放棄された状態で疎まれながら育ち、結局捨てられてしまった過去を持つ臣と、おそらくは持って生まれた天才性の代償として情愛面が大きく欠落した人として育ってしまった滋英の二人が、病的な共依存に陥らず、互いをはぐくむような関係を築くことができたのは、現実にはまずあり得ないような奇跡でしょうが、それを夢物語と感じさせないだけの物語の厚みがあるので、納得感を持って読むことができます。
ただ、納得感はそれとして、やはり痛みの強い物語ではあると思います。
三作目になるこのお話では、臣の精神的な弱さの根になっている過去の家庭のありさまに加えて、滋英の幼少期のエピソードと、もう一つ、完全に救いの見えない形で崩壊してしまった別の兄弟たちの顛末も語られていて、お話の主役は、誰のこともはぐくまず、守れないまま崩壊した「家庭」の残像そのものであるかのようでした。
作者が、さまざまな作品のなかで、そうした「家庭」について、いろいろな角度から描こうとする意図が何であるのか、一読者には分からないことですが、崎谷作品に限らず、このジャンルには、何らかの形で破綻した「家庭」を背景に持つ作品がずいぶん多いように感じます。
「家庭」が本来、命や愛をはぐくむ器であるべきことを思えば、そこからこぼれ落ちて傷ついてしまった登場人物たちが、自分のための居場所と愛情を見つけていく過程の物語を読みたいと願う、(おそらくは年若い)読者が多くいるという事実は、社会のなかに実在する何らかの大きな傷を反映したものと考えられるのかもしれません。そのことがむしょうに気になるからというのが、このジャンルの作品を読み続けている大きな理由の一つでもあります。
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警部補昇進試験を受けた臣は無事合格、昇進前に予定通り一年間、県内でも僻地の駐在所へと異動を言い渡された。恋人の慈英は宣言どおり臣と行動を共にして、ろくに事件も起きないのどかな田舎町で通い婚のような生活をする。だが、堺から臣の父親と思われる人物の死亡を教えられ、町でも当初はささいな野菜泥棒事件かと思われた盗難騒ぎが、思いもよらない方向に発展し――。
ひめやかな殉情から二年後。慈英×臣シリーズ・第三弾。
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あらすじ:3作目。警部補昇進試験に合格した小山臣は、一年間の駐在所生活に突入。人気画家で恋人の秀島慈英は、先に臣の配属先の町に移住。臣もまた「きれいな駐在さん」として暖かく迎えられる。そんなある日、町に事件が起きる。それは臣の過去に関わる、ある人に繋がり…!?慈英&臣、待望の書き下ろし最新刊。表題作ほか商業誌未発表短編も同時収録。
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(三木×神谷)
しなやかな熱情シリーズ その3
CDのみ試聴。
ねぇねぇどうしてこの世には
神谷浩史さんという可愛いすぎる人が
存在しておるのでしょうか?←
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後書きにも書いてましたけど、刑事さんの過去話が出てきます。
この作品は奥が深いのでやっぱり好きだー。
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三木x神谷 慈英x臣シリーズ③ 完成度高くて、キャラクターの息づかいとか本当にリアル。臣さんの過去話が絡んでくるお話。
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昇進試験に合格し、1年間の駐在所勤務中の臣さん。
もちろん慈英もついてきてます(笑)
出会いから6年、心底慈英を信頼できるようになっている臣さんがすご~~く幸せそうなんです!
突然やってきた堺さんが、臣さんの父親かもしれない人物の情報を持ってきて…しかも犯罪者疑惑まで!?
しなやか~では結構へたれな一面もあった慈英ですが、今作では立派なおかんですwww
最後の風邪っぴき臣さんのかわいさは罪です←
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慈英×臣3
慈英が臣を本当に大切にしてるのがいい感じ。
臣にかわいがってもらった過去があったことで、この本が余計に好きになりました。
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慈英と臣のお互いに対する深い愛情に感動。依存により壊されるほどに抱かれようとする臣を諭す慈英。その愛情溢れるHシーンに涙が出そうでした。臣の過去という内容的に重いお話ですが、二人の心がきちんと繋がっているからこそ受け止め、乗り越えられたのだろうと思います。
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慈英×臣シリーズの3作目。
今まで中で一番仕事をしている臣が出てきてるかな? 作者さんあとがきで書いてるように一番事件性が高いってヤツですね。
慈英に手伝われたり、見守られたり、慰められたり、叱られたりしながら事件を解決する臣ってところかな?
2人の関係としては、ラブラブだけど落ち着いてはいるという感じ。ちょっと、慈英パパとやんちゃ息子の臣って感じもしたけど。
人口約千人で喫茶店が2件って…ウチの町は喫茶店ないぞ、確かw
ちなみに人口は7500人のようだ、ウチの町。
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<慈英×臣シリーズ>
『しなやかな熱情』
『ひめやかな殉情』
⇒『あざやかな恋情』
『はなやかな哀情』
『たおやかな真情』
<番外編>
『やすらかな夜のための寓話』
<スピンオフ>
『インクルージョン』
『あなたは怠惰で優雅』
<CD保有(Atis collection)>
小山臣 cv:神谷浩史
秀島慈英 cv:三木眞一郎
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慈英×臣シリーズ3冊目。
「ひめやかな殉情」の続編で、二年後の話。
慈英がすごくしっかりした人になっていて、臣もまた落ち着いてきた感じがした。
でも、突然でてきた父親の話に動揺するところもあった。それをなだめる慈英がまたかっこいいっていう。
これもドラマCDで聞いてから買ったのだが、やはり文字で見ると改めて細かいところに気付かされる。
今回はちゃんと警察の事件がかかわっていて、ミステリっぽくもあったなと感じた。
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慈英×臣3作目。
読み返したらまた感想書こう。
慈英がどっしり臣を支えられるようになってきててときめく
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慈英×臣シリーズ第3弾。
『しなやかな…』からは6年後、『ひめやかな…』からは2年後の設定で、臣は既に警部補試験を合格し、僻地へと赴任中。
『ひめやかな…』で慈英も「一緒に行く」と言っていたとおり、慈英も臣の赴任先へ越してきており、二人の関係は『ひめやかな』よりもさらに安定していて、安心して読める。
ただし、主人公が“刑事”という設定上、事件モノを期待して読むと、期待はずれとなる可能性も…
私は本作品については恋愛重視なので、大変満足感いっぱいで読めました♪
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慈英も一緒に事件を解決していって、二人でいることが多かったので読んでて楽しかったです。
一番印象に残っていろのは、最後のシーン。青空を見て気負わず出てきた臣の「すんげえ、愛してる」
あと、今回も臣が、エロくてよかった。熱で子供っぽくなってる臣。金髪の臣。いろんな臣を見れて楽しかった。