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国民や世論というのは本当に流されやすく、熱狂に走りやすいものである。万国共通ではあろうが、特に日本人は日々のマスコミ報道でも顕著なとおり、与えられた情報に過敏に反応し、熱狂しやすいという性質があるのではないか。
昭和の戦争だって「軍部がわるかった」というのが一面真実であっても、世論をかき立てて自ら方向を見失い、戦争に突入していった国民にも大きな責任があったのである。
現代においても、日本人は極端な熱狂によって、重要な問題で誤った方向に進みかねない危険をはらんでいる。外交、軍事、あるいは内政においてもそうである。
不幸な歴史を繰り返さないよう、軍だけでなく世論がいかに戦争を許容し、あるいは戦争を望んでいったのかを、冷静に見つめる必要がある。
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明治維新から太平洋戦争に至るまで、戦争を許容する「民意」が如何にして形成されてきたかを問う本書。内容的には、左翼的な「扇動論」とも「司馬史観」とも一線を画しており、冷静に資料を積み上げていこうとする姿勢に好感が持てる。紙幅の関係か、論証が論証になっていない部分もあるが、形成された民意の是非を扱ったりはせず、ひたすら民意の形成過程だけを追うという切り口が秀逸。新書にするには少々重すぎる内容なので、願わくは、専門書として読みたかったです。
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20100611
東大のセンセイが簡単にまとめた日本の近現代史。
おおむね中立・妥当に書かれており、一般人にも知っておいてほしい最低ラインに達している。当り前か。
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近現代の日本が何故対外戦争を仕掛けたのか。
高校までの授業じゃそんな事は教えない。
何故なら
『日本史は高々、入試に使う科目であり、暗記科目に過ぎない。せいぜい常識として我が国の事を知る為。』
と言う前提程度しか教える方も学ぶ方も考えていないからだ。
だが、この本は東大生に教えた、『教育』ではない『教養』の本である。
高校までに習った(一部範囲外)歴史をベースに、何故戦争を侵したのか。
それを、丁寧に論証→考察を重ねて説明して下さっている本なのだ。
『何故戦争を起こしたのか。』
これを知ることは非常に大切なこと。
マスメディアに動かされやすい、世の中に対して、常に冷静な視点を持つ事が出来るからである。歴史とは、私達人間が重ねてきた、成功と失敗の時間の賜物。
それを学ぶ事は、人間が進歩する上で、非常に大切な事である。
星を4つにした理由は、証拠論証→考察に丁寧過ぎるが故の脆さ。
論証部分には確かに、何故民衆が、政府の主張や過熱する紙上論を受け入れていったかが書いてある。
だが、果たしてそれだけだろうか。
民衆側にも、不満があったり、むしろ政府側が民衆に圧されたと言う考え方があっても良いのではないだろうか。
また、周りに影響されやすく、人の目を気にするなどの日本人の性質を考慮すべきではないか?
そういう点も留意した上での考察ではないように思えるので、星4つ。
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日記や新聞から有名人物だけでなく、地方の有力者などの感覚をヒントに幕末•明治維新期からの歴史事実を読み解いていく良書。
ちなみにmixiの作者のコミュニティーの管理人をしています。
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[ 内容 ]
日本はなぜ太平洋戦争に突入したのか?
明治維新以降の「戦争の論理」を解明した画期的近代日本論。
[ 目次 ]
第1講 「戦争」を学ぶ意味は何か
第2講 軍備拡張論はいかにして受け入れられたか
第3講 日本にとって朝鮮半島はなぜ重要だったか
第4講 利益線論はいかにして誕生したか
第5講 なぜ清は「改革を拒絶する国」とされたのか
第6講 なぜロシアは「文明の敵」とされたのか
第7講 第一次世界大戦が日本に与えた真の衝撃とは何か
第8講 なぜ満州事変は起こされたのか
第9講 なぜ日中・太平洋戦争への拡大したのか
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
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☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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事前にこのあたりの知識をもっていないと少々難解な内容です。新書だからといって侮るなかれ。少なくとも理系大学5年生の知識では結構難しいと感じました。
「それでも、日本人は戦争を選んだ」という同じ著者の本を読み、この本も同じような感じかと思って購入したのですが、少々あてがはずれました。
歴史を単なる知識、としてではなく「問い」としてとらえるその姿勢には変わりがなかったのですが、今回は「問い」にたどり着くまでの前提となる知識、解説が多すぎたような気がしました。
それでも内容は示唆に富むものは多いとは思います。特にp268以降の内容は、今の日本人のとある考え方が昔から何一つ変わっていないものだということを示すうえで、非常に面白い内容だと思いました。
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加藤陽子の戦争の日本近現代史を読みました。「東大式レッスン!征韓論から太平洋戦争まで」と言う副題が付いている、明治維新以降の日本の外交戦略について解説された本でした。明治維新以降、日本の指導者たちが日本を先進国の仲間入りをさせるために、どのような施策をとって国民に説明していたのか、国民はそれに対してどのように反応したのか、と言うことが解説されています。日本人が国際的に有利な条件で外交をするために国防を充実すべきであるという方針の下で軍備の拡充を行っていく中でも、国民の中には負担増に反対する意見もあったというのが面白いと思いました。しかし、一番知りたかった、なぜ満州事変から(無謀と思われる)太平洋戦争に突入していったのか、それを国民はどう感じていたのか、というところの解説が少なく、ちょっと物足りなく感じました。
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大変勉強になりました。自分はあまり頭がよくないので、少しずつ読んで、頭を整理して、の繰り返しで、読むのに時間がかかりました。歴史そのものを知ることが勉強になったというよりも、文中で『歴史を学ぶ意味』を教えてもらい、『歴史学の手法や考え方』を学べたことが勉強になりました。歴史学の手法や考え方(詳しくは省きますが、人間の行動や認識の変化はどうして起こったのかという「問い」について考えること)は、日々の生活や仕事に必要な能力を鍛えることができるというのが、歴史を学ぶ意味ですが、私は歴史が好きなので、好きなことを通して、これから能力を磨いていければいいなと思いました。
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作者が言う、戦争を学ぶ、その必要性は大きい。
あの時代の点と点が繋がり線になって行く様子を
感じる事が出来た。
この作品以外の考え方や真実もあるんだろうから、
明治、大正、昭和の歴史を、側面ではなくて、
出来るだけの真実と「なぜ」とを知りたいと思った。
今現在、戦争なんて、と思ってしまうけど、
いかなる理由でも起こり得る事なのかも、
そういう認識も必要な世の中になってしまってそうで怖いな。
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2度目の読破。中学生には少し難しいかも知れないけれど、高校生ならば読めるでしょう。近代以降の特に戦争を扱った書物には、極端なナショナリズムの影響が見られたり、戦争に反対するあまり事実の記載が少ないものが見られるが、本書はとてもバランスがよいと思う。誰が悪かったかではなく、(もちろん悪いヤツはいるけれど)「なぜそうなったか」ということが、私たちが一番知るべきことなのだと、この本は教えてくれる。合わせて「それでも日本人は戦争を選んだ」を読みたい。
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開国および明治維新の近代化政策から太平洋戦争にいたるまでの戦争史です。ここらへんの歴史観は人によってかなり異なる所ですが、高校までの歴史の世界から一歩踏み出して「歴史を線としてどう見たらよいか」というのを考えるのにとてもよく出来ています。"東大式レッスン"というタイトルも、口調が大学の授業風の口語体に近く、史料も噛み砕いて分かりやすく説明していますので、日本の近現代史に興味を持ち始めたばかりの人にお奨めしたい一冊です。最近流行りの「失敗学」を考えるにも有用な一冊かもしれませんね。
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『戦争』をテーマとしているが、明治維新から太平洋戦争までの日本外交全般について学ぶことができる良書。内容は難解ながら口述形式なので文章は平易で読みやすい。
第一次世界大戦までの日本外交と、それ以降の日本外交の何が違っているのか。
教科書的な事実の裏にある一本の論理の線を明かし、歴史の深みを知ることができる。
以下あとがきからの引用
・日本の近現代史をながめてみただけでも、新たしく起こされる戦争というのは、以前の戦争の地点からは、まったく予想のつかない論法で正当化され、合理化されてきたことがわかります。
そして、ここの戦争を検討すると、社会を構成する人々の認識ががらりと変わる瞬間がたしかにあり、また、その深いところで変化が、現在からすればいかに荒唐無稽にみえようとも、やはりそれは一種の論理や観念を媒介としてなされたものであったことは争えないのです。
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明治以降の日本近代史は戦争の連鎖と言え、ひとつひとつの戦争は点ではなく、鎖のように因果が繋がっている。
特に、日露戦争➡第一次大戦➡満州事変➡日中戦争および大東亜戦争、の流れの中で揺れ動いた政治観が興味深い。
国際情勢、政治の変化の対応して世論がどう変化していったか、という部分のはもう少し詳しく読みたかったな。
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日本が明治維新から大陸進出、そして太平洋戦争に至った過程を「もう少しじっくり、細かくていねいに」考察することを試みた本。「なぜ」主権線という概念が生まれたのか、「なぜ」関東軍は満州を目指したのかなど、「なぜ」解明の試みに挑むところがこの本の特色。日本近代史について基本的以上の知識がないと読むのは難しいので注意。