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男の子の子供二人、イケメンの旦那の4人家族である程度うらやましがられるような都内の住宅街に暮らしていた主人公。ある日夫がうつ病で会社にはもういけないと言い出し、会社を辞めて一家四人で夫の郷里に引っ越すことになる。
俗にイメージするイナカよりは栄えている、今の言葉で言えばファスト風土化した何の特色もない地方都市なんだろう。
ほんの少しなまってて、海とか山とか畑が広がってはいない、本当に普通の地方都市。
ちょっと人よりキレイであることだけが取り柄の主人公と優秀な長男、成長が遅れてるのか3年生になってもろくな挨拶もできない変わり者の二男と夫との普通の生活が描かれている。
主人公の葛藤が痛いほどわかります。
「私」の濃度がどんどん薄くなっていく。年代ごとにぶつっと区切られた章立てだから成り行きの自然さは味わえなかったんだけど、きっと特筆すべきエピソードなんてないうちに「私」というのは薄まっていくものなのだろう。
それがとても「楽」で「誕生日が楽しみ」というぐらい年齢に感謝するまでの10年。
三人称で書かれているにも関わらずものすごく一人称的な見え方でしか描かない書き方は遠すぎたり近すぎたりして「私」からうまく見えない部分をうまく補強してくれたように思う。
自然に私が薄くなる、という過程は露悪的に言えば知らないうちに白髪が増えてるみたいなもんなんだろうなー。
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旦那のうつ病による退職と予期せぬ福井へのUターンに困惑する嫁の10年。
Uターンは考えていなかったが嫁に読まして様子をみてみたい。
著者が福井の人。ひとつ下。学校かぶってたりするのかな?
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主婦の心情が描かれていたが、読んでいると気分が重くなりました。
主婦の方は自信と重ね合わせられる部分もあるのかもしれませんが。
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うつ病の夫と息子二人と東京から夫の田舎へ引っ越した妻、梨々子の成長物語でした。中盤まで鬱々としたジメっとした雰囲気が続き、もう読みすすめられないと思っていたら、終盤やっと梨々子に寄り添えたように感じた。私もこれから十年、あのように思い悩み悶え苦しむのだろうかと思うと、今からとても苦しい。
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再読です。一度目は普通の主婦の姿がこっぱずかしい感じで読んでましたが(自分がそうだから)、再び読んでみるといろんな言葉がじんじん胸に染みてきて何度もうるっと涙してしまいました(電車の中でやばかった・・・^^;) 歩人くんのマイペースぶりに、うちも長男のグレーゾーンぷりに悩んだことがあったのですごく共感しました。
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都会から田舎へ引っ越した専業主婦の10年間。
うつ病の夫、ちょっと風変わりな子供達、妻として母として日々をこなすように過ごしていく。
自分は何なのか、自分探しをするような日々だったのだろうか。
最後、まだ続く途中だけど、着地点があるわけではなく、もがきながら生きていく、それが人生なんだと考えさせられる。
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紳士服店の話ではありません。
何者でもない、ある女性の30歳から10年間の物語です。
タイトルの意味は、読めばわかります。
主人公梨々子は、体裁をひどく気にしていて、それでいて、空っぽ。
そういった多くの人が隠そうとしている部分を、作中でリアルに描いています。
正直、梨々子が自分を受け入れた経緯がよくわからなかったのは、自分がまだその途中だからでしょうか。まだ、わたしは、何者でもないことを受け入れられません。他者との関係で自分というものができるとしても、まだ、他者に十分な敬意を払える度量もないのです。あと、何年かかるのでしょうか。
宮下作品は、こころの奥底にしまい込んだはずの感情に言葉を与えてくれます。だから、読む時は切なくなったり、かなしくなったり、気持ちをかみしめながらゆっくりと読むのです。
体験している全ての感情を、言葉にのせることは、非常に難しいことだと思うのですが、なぜか宮下作品は、ひとつの言葉に、どれくらいの喜びと幸せとあたたかさが、どれくらいの無念さや怒りや悲しみが、そこに込められているのか、ひしひしと伝わってきます。
2013.11.11
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都会から夫の田舎に引っ越すことになった女の人の、家族やご近所とのお話。家庭生活のこと、妻であり母でありひとりの女性でもある人の、葛藤だったり幸せだったりについて。
2013/11/19
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主人公の揺れ動く感じがリアル。「自分は何者か」
今の私自身に響いた作品でした。
ただ、自分探しの過程の中で、お決まりのように不倫ストーリーが
出てくるのは嫌です…
他のレビュアーさんによると、この作品はかなりじめじめ度が高い
ようなので、次はさっぱり系の宮下奈都さんを読んでみたいです。
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自分と重ね合わせて読んでいた。途中重ねすぎて、敗北感と未来絵図をみているようで読めなくなった…
梨々子は6年目頃から変わっていくんだけど、私はどうなんだろうか。
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すごく不思議なタイトルだ。でも読み進めると、このタイトルになった意味合いとその深さが分かってくる。
「スコーレNo.4」が希望に溢れるストーリーだったのに比べ、「イナツマ」(辻村深月解説より)は、諦めてしまった惰性の日々という感じである。
しかし、主人公・梨々子は気づく。10年かかったけど。そんな彼女を私たちは笑うことはできない。何故なら、まだ私たちは気づいていないかもしれないからだ。
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【ゆるやかに変わってゆく。私も家族も。】田舎行きに戸惑い、夫とすれ違い、子育てに迷い、恋に胸を騒がせる。じんわりと胸にしみてゆく、愛おしい「普通の私」の物語。
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妻として悟りを開くまでの記…みたいだ。
××ちゃんのお母さん…と呼ばれたくない、みたいな話題はしばらく婦人雑誌をにぎわせた。
しかし、それを青臭いと言う、10年めの梨々子。
私も、それを“青臭い”とまでは思わなくても、自分という物があれば、呼び名なんかにこだわらなくてもいいじゃない、あるいは、それは、その付き合い関係における役名でしかない、と思う。
子供が給食を食べない、些細に思えることで親を呼びつける先生、妻の話なんか聞かない夫。
自分的にあるあるすぎて、いろいろ思い出す。
しかも、その描き方が秀逸だ。
過激な事件なんて何も起こらないのに、細やかに描きこまれた心情や日常だけで、読み応えがあり過ぎる。
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かなり個性的なタイトルなので、先入観を持たないよう裏表紙の解説文すら見ずに読んでみた。
結果は、、、
う〜ん。梨々子のような自己顕示欲とプライドが高い女性の一人称作品はかなり苦手。知人や家族に対してすら上から目線としか思えない評価を下し、そして己の現状を他人の所為にして自己憐憫に耽る。
自分が男性だからなのか、または単なる好き嫌いなのか、読んで得るものがない一冊でした。
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梨々子さんは孤独だ。一人立っている。
主婦だというのに。
夫や子供2人と一緒に暮らしているのに。
夫の鬱病を期に、東京から田舎に引っ越し、そこで暮らす梨々子さん。
彼女はちょっと綺麗で愛想が良く、そして少しだけ我慢をするひと。
ここまで書いて全く面白くなさそうな小説が、どうしてここまで面白いのか。日常っていうのはこんなにきらきらしてるのか(生活は地味です)。
社会の中で、何かを達成しなければならないと感じる事が多いけれど、本当は、ただ生きていくというのは、エキサイティングなのかもしれない。