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これは、久しぶりに良い一冊だったのではないかと思う。著者の作品は今まで数冊読んでいるが、これほど印象に残ったものは、他になかった。いや、他の著者の作品を含めたとしても、大好きな一冊にあげる。
最初はまあ、ありがちな穏やかさと怠惰に満ちて、そこそこ憧れられる程度の話かと思っていたが。もっと力強い。帯にある、辻村深月の解説の引用、「この小説は光だ」は、事実だ、少なくとも私には。儚げなのに確かに明るく、何より強い光だ、たぶん。
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旦那がうつ病になり、退職・田舎にUターン…。自分もいつこういうことになってもおかしくないので、ドキドキしちゃいました。専業主婦になりたいけど、専業主婦は専業主婦で大変だし、それ故の鬱々もきっといっぱいあるんだろうなぁ。
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美しい文章で綴られていて読んでて心地よかった。
ともかく専業主婦はいけない。
もう一度やり直せるなら専業主婦だけは阻止したいものだ。
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ハンサムで仕事のできる夫と可愛い息子2人と東京で暮らしていた主婦が、夫の鬱発病をきっかけに、夫の故郷である北陸の「田舎」に引っ越すことになる。
思い描いていた生活とのギャップ。自意識との闘い。
「普通」についての考察など、とても共感できる内容もあったが、主人公ほど自意識の強くない (と自分では思っている) 私には、よく理解できないところも多かった。(私は田舎に住むことに彼女ほど抵抗がないし、友達との関係も大分違う…ありがたいことに自然体で接せる友達が多勢いるし…他人と比較したり見栄を張ったりすることはあまりない性格で、色々なことを基本どうでもいいと考えてしまうO型の私なので…)
ただ、彼女が10年のうちに考えるようになったことや、夫や息子達への思いは、すごく素敵だと思った。
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この人の文体やっぱり好きだなぁ。
キレイな言葉で、でも中身には身近な毒や苦しみを含みながら綴られる、普通の専業主婦の物語。
正直、途中何度も「いや、あんたも働けば?」「働いてないからそんなけ家庭のことだけで頭ぐるぐるできるねん」とつっこみたくなったけど、主人公はうっすらそれも分かった上で、あえて今の自分の生活を選んでいる感じだったので、そんなに苛々せず、基本的には寄り添いながら読めた。
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10年分の、妻としての都合がねちねちと綴られている・・・別の言い方をすれば、自身の立場と気持ちにつける折り合いがきちんと表現されている。偉業がなくとも、活躍がなくとも、祝福がなくとも、人が生きているということの熱が感じられる。
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ちょっと美人で都会の女性だった主人公が夫のうつをきっかけに田舎に引っ越すことになる。結婚をすると女性は少なからず自分だけの人生とは違った生活や選択を迫られることがある。それは誰でもありがちな事柄かもしれないが、よくよく見ると、それぞれのかけがえのないストーリーがそこに存在するのだ。
主人公は10年かけて自分の人生を受け入れることが出来、最高の幸せを味わう体験をする。
家族とのあり方、自分自身の在り方、特別とか普通とかで簡単にくくられない物語です。
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2013/06/26
結婚に憧れはあるものの、結婚したら終わり、みたいな考えも持っていたりする。
だから、前半のうだうだ文句ばっかりのところでめげそうになった。笑
でも、そんないろんなことを乗り越えて穏やかな幸せに出会えたなら、それはとても素敵なことだ。
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てっきり、田舎の紳士服店の妻がモデルをやっているのかと思ったら、田舎の紳士服店のモデルをやっている男の妻なんですね。読む前はすっかり勘違いしていました。北陸のどこにでもある田舎の街、福井だと思うけど、私も東京で11年勤めて福井に戻ってきたので、自分自身の事のように「わかるわかる」ってシーンが満載。とは言え、福井は私の場合は生まれ故郷。ここに主人公・梨々子との大きな差がある。差と言うか、もう別次元の感触だろうな。10年先なんて本当にわからないし想像できないモノなんだろうなあ。
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気持ちのいい陽射しの中にいるような、いい気持ちで読み終われた。物語の始め、もやもやとした不満が、静かに小出しに、いつまでも続くさまに、ため息を感じながらも、嫌な感じがないのは、宮下さんの、暖かく乾いた文章だから。
ひとの生きている日々は、絶えず動いていくのだな。
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鬱になった夫が会社を辞め東京から実家のある田舎へ戻るという。北陸のとある県。チェーン店ばかりの全国どこにでもあるような風景、みんな何が楽しくてここで暮らしているのだろう「こんな町」でくすぶる「ちょっときれいなだけが取り柄」の二児の母である梨々子。
10年に渡り、幸せとは外にあるものだと探し続けていた彼女が、静かな田舎暮らし、時々波乱の中起こす内なる闘争を描く。
出かけようとしただけでどこに行くのか聞かれる田舎特有の閉塞感。舞台は恐らく福井。
私が18まで過ごしてここからだけは脱出したいと思った「こんな町」だ。
今ここにいる自分は本当の自分ではないはず。
現状に満足していない人はきっとこう思うであろう。
しかし幸せとは他人に見せるための「誰か」になることではなく、自分自身の中にあるもの。それは自分で気付くしかない。梨々子のように。
「こんな町」から逃げ出したはずの私はまだ答えを見つけられずにいる。自分の中にしかないはずの「幸せ」を。
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始めのうちは梨々子の気持ちに共感できず、イライラしてましたが・・・段々読み進めていくうちに、なんだかしみじみと共感してきた感じです。
特に前半は梨々子の思考がウジウジ・グダグダしてるので、結構
暗いのですが(^o^;)
まぁ段々と何かが変わっていく感じがはっきりと分かるので、その暗さも必要なんだなって最後には思います。
最後は中々良かったです。
夫との関係・子供との関係、10年の間に積み上げてきたものが
輝いて見えるようなラスト。
そしてその余韻に浸りながらの、辻村深月さんの解説がまためっちゃよかったです!
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21冊目の本は終始暗くてじめじめした話。結婚に纏わる未婚の人にも、既婚の人にもお勧めしない1冊でした。
最初は、田舎でモデルをしている妻の話かと思っていたのに、妻への形容詞が”田舎の紳士服店のモデルの”だった。どれも妻を指したものではなく、旦那さんを指したもの、そしてそれがこの1冊を確かに一番端的に表現していると思う。昔の家系図の”藤原俊成女”みたいな、ね。
どんな話かと言えば、うつになったご主人と、ちょっと普通とは違うかもしれない子どもを持ったっていう現代の要素は取り入れてるものの、そりゃ形容詞が旦那さんになるよねって感じの前時代の典型的な妻の話。
何が前時代的かと言えば、主婦が家に居ることに何の疑問も感じていないところ。今時こんな人いる!?私の周りが特に仕事好きが多いだけかもしれないけれど、梨々子は絶対バブル期齧った組だと思う。感覚がまるで違う!しかも常に自分のことしか考えてないナルシスト!
主人の都合で田舎に引っ越して鬱の人とくらした経験のある私でも共感はゼロ。確かに、田舎ではご近所さん達のほとんどが、ボランティアと自治会と習い事に日々を費やしているけれど、みんな定年退職した人達だよ。もちろん、健全な街づくりには不可欠なことだけど、若者ならもっと生産的なことしようよ・・・と思わずにはいられない。もっと言えば、働け、と。
同じような夫婦・家族の中の孤独感を書いているにもかかわらず、すごく共感できてハッピーエンドだと感じた”ベターハーフ”と違って、私にはハッピーエンドな話とは感じられなかった。
でも、もしかしたら最初に梨々子が八王子出身在住なのに東京出身を誇っているところにイラッとして感情移入できなかったってだけかも(笑)
八王子が田舎を田舎って思えるほどに東京なのだとしたら隣接県も大概東京だわ。
とは言え、梨々子のような母や、妻に絶対ならないかと言われたら、自信はない。ただ、少なくとも梨々子とは違って鬱になった旦那さんに経済力を求めるなんてことはしないわな。稼ぎが悪かろうがそんときゃそんとき!私が養ってやるわくらいの覚悟で結婚してるわ。
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全編とおして薄っぺらな印象。
夫がうつで、子供がやや発達遅延(あるいは内向的過ぎ?)とか、少なくない人が直面する一大事なのに、葛藤する様が感じ取れない。こういった身近な問題だからこそ、奥にある、普通の人が言葉にできないものを取り出してみせてほしいのに、そこが全くなかった。残念。
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「スコーレNo4」がよかったから読んだけれど、なんだか。現実的じゃない恋にいつまでもくよくよしてて、友人は東京で上辺だけの付き合いでしかなかった人、田舎暮らしとは言っても子供二人も抱えてたら家計も苦しいはずなのにボランティアなんて。子供ふたりの成長も一方的な主観だけだったこともあり、母としての描き方もあんなに恋焦がれて結婚したダンナさんとの関係、登場の少なさからして妻としても、中途半端な生き方なんじゃない。と感じてしまった。残念