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あーでもないこーでもない。
1人の時間は持てず、片時も離れない介助を必要とする。
物理的にはボランティアや介助者によって生きながらえている。
その主従関係をひっくり返す、我の強さ、遠慮のなさ、人間らしさ。
微妙なライン。普通の人間関係でもあるけど、背負っている荷物が違えば、それは更に複雑になり、関わっていくうちに自分の中で化学反応が起こるような発見があったりする。
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書店で何度も目にしていたが、タイトルだけさらっと読んで「ああ、ユーモア小説かな?ミステリかな?」くらいに思っていた。そうでないと知り、読み始めると、もう止まらない。これぞノンフィクション。これはすごい。タイトルに引っ掛けられて読むのが遅くなったのが悔しい!笑
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181124.映画化を知って文庫本購入。
まさか北海道札幌の話とは思っておらず、入りやすかった。
ノンフィクションであり、障害者への認識は完全に変えられた。読んで良かった。
自分は愚かながら、障害者を何故社会的に許容せねばならないのか分かっていなかった。
障害者にスポットを当てた社会にするのとで、未然に社会が便利になる。高齢化社会の対応の先駆けになるなど目からウロコだった。
ボランティア精神のあり方についても一考あったし、映画化を通じてさらなる人に読んでほしい一冊。
にしても、著者は筆が遅い笑。
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熊谷晋一郎さんの「自立は、依存先を増やすこと 希望は、絶望を分かち合うこと」という言葉を思い出した。鹿野さんとボランティア達の関係ってこういうことだよなあ、と。
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在宅か病院かという選択肢しかない『はず』なのに『独り暮らし』を選ぶことが自分はできるだろうか。『ボランティア=感謝してもらえる立場』と思っていることに気づかされた。そこを根底から覆す本。いわゆる健常者で人に迷惑をかけてはいけないと生きてきたところに『迷惑をかけていい』という言葉。ここに葛藤が生まれた。自分が彼のような立場だったとして、あれほどワガママになれるかな。最期は皆に迷惑かけたくなかったんだね。
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大泉洋主演で映画化された「こんな夜更けにバナナかよ」の原作。
同名タイトルで、映画からノヴェライズされた小説もあるが、そちらとは異なり、本書は筋ジスを生きた鹿野靖明氏と彼の生活、いや生命を支えた。そして、一緒に生きたボランティアたちの記録。
筋ジスという病気が発症すると、現代の医療には治すすべはない。そして、筋ジス患者は自分にかかるすべての事を自分自身では行うことができなくなり、生活のすべてをボランティアによって支えてもらうことになる。そして、呼吸でさえも...
多くの筋ジス患者は、病院に収容され、生命が終わる時を待つ。そんな時代に、自由を求めた筋ジス患者の記録。
自由とは、好き勝手に動き回ることではない。好きな人と結婚することでもない。自由とは、自分の事は自分で決めるということ。自分のルールは自分で作るということ。
そして、そんな鹿野氏に、なんでかわからないままボランティアを始めた人たちが巻き込まれ、自分の意志として鹿野氏と共に生きた。鹿野氏は筋ジス患者である前に、難病という個性を持った、そしてその個性によって形成された意志をもった人であった。ただ生きることが、こんなに困難な人が生きた。その記録。
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映画化されるとのことで、手にとってみた。2019年の初読書。小説なのか、ノンフィクションなのかも知らずに読み始めてみたところ、ぐんぐんと引き込まれていく。
鹿野さんの強烈な存在を記憶に刻み込んでいく「関わり」のエピソードの数々。今で言うSNSのような、ひとりひとりの想いが連なって可視化される「介助ノート」、そして、何も知らないところから始まる渡辺さんの視点は読者の目線に近いのが何よりも良い。
いろんな「介助」とは、「生きる」とは、というテーマの投げかけがあった本だったけど、わたしはボランティアの一人の斉藤さんが述べた一言が一番すっと心に入ってきた。
「介助をもっと日常的なもの、フツウのものに近づける」
ボランティアや介助のアクションに、ある種の高揚感や熱を感じてるうちは、鹿野さんが望んだような世界はやってこないのかもしれない。でも、そういった特別で優れた「意味」を探して生きる社会に私達は暮らしているのも事実だ。そんな中で、本当に必要な手助けを、平熱に近づけるためにわたしは今後何をできるんだろう?そんなことを色々と考えさせてくれる本でした。
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筋ジストロフィー患者の介助ボランティアの記録をまとめた本書であるが、500ページを超える長大なもので、読むだけでもかなりの労力が必要となる。
鹿野靖明の不思議な魅力があってこそ成し遂げられた生活であったのだろうが、重度障害者であるからといって、全てを押し殺して生活していて、それで生きているといえるのか。
やりたいことはそう言うべきだろうし、健常者であれば当然していることである。
本書の「こんな夜更けにバナナかよ」というタイトルも、当初なんのこっちゃと思っていたが、そうだよね。二本目食べたいときもあるよねと、そう思った。
「自閉症の僕が跳びはねる理由」で有名な作家の東田直樹のことも、当初、自閉症がよくわからない奇妙な病気であると思っていた自分にとっては、文字盤を使って自分自身を表現していく様子は衝撃的であった。
こうした、障害者や患者側から発信される情報は、非常にためになるし、面白い(失礼)ものである。
さて、次は渡辺一史氏の新作「なぜ人と人は支え合うのか」を読もう。
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たしかに彼の何が魅力なのか、わからない。でも現にボランティアで生活の多くを賄っていた、という事実が、本では伝わらない彼のすごいところなんだろう。
障害込での鹿野さん、なるほど。
大変な病気でも難病でも、公的支援を受けられる人ばかりじゃない。
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映画で話題になり、原作本があることを知り読んでみた。
筋ジストロフィーという難病と文字通り闘っている鹿野さんの生活とそれを支えながら、逆に鹿野さんに人生を変えられ、ある意味で支えられているボランティアさん達の実録(少し前の話だが)。
近頃は、普通の人間が普通に生きるのだって、何かと窮屈で閉塞を感じる。便利ではあるが、ネットによる情報網が張り巡らされ人の目や耳が気になるからだろうか。
まだ、その恩恵も悪影響もなかった頃の話だが、鹿野さんのパワーが凄い。鹿野さんによって変わった人たちの話も面白い。2019.3.31
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映画になったので
「こんな夜更けにバナナかよ!」
が書店に山積みされていて、なんか感慨深いものがある。
だって、凄い本なんだけど、こんなに売れない本もないと思うよ、日本で、だったんだもの。
誰かに助けてもらわなければ1日も生きられないほど重症の障害者が、ヘルパーにヘルプされるのではなく、ヘルパーをヘルプする話なのである。
ん???
でしょう?
強烈な自我、よく気が回り、賢く、彼をヘルプするつもりでやってきたボランティアがみんな彼にボランティアされていく。
この本が受け入れられるようになったのなら、やっぱり2017年以降、日本は変わったな、と思う。
2019/01/21 更新
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映画を観たあと、この本を手に取った。順番としては、それが正しい読み方であると、読んだ後に思った。そして、既観映画の人は是非、本書を読んで欲しいと思う。
ノンフィクションであるから、当然映画脚本の通りではないのは明らかだ。そうではなくて、(1)映画は様々な登場人物の名前からして違うし(鹿野以外)、第一「バナナ事件」は、当事者の性別も場所も経過も全て映画と違う。(2)映画に描かれていない多くの「事実」があるのは当然としても、映画では描き切れていない重要なテーマもある。(3)しかし、そうであっても、鹿野は正に大泉洋が演じたままのように思えるし、高畑充希のような女性は、結局ここに出てくるたくさんのボランティアの一面を代表していたと思う。だから、映画を観て本書を読むと、とてもイメージが湧いて面白い。
いい映画だったと思う。でも、原作はもっといいのである。
原作は、福祉も医療も門外漢だったフリーライターの著者が、筋ジストロフィー患者を取材したノンフィクションである。患者が自立生活する「シカノ邸」に入った約2年間で見聞きしたことをまとめた。
多くのボランティアたちが鹿野のワガママにも付き合い、体位交換をし、間違えれば命の危険もある痰吸引もし、買物代行もする。その中で彼らをは、何を考えてボランティアをするのか。それは映画でも答えにならない答えを描いていたが、原作は豊かにそれをほぼ550ページかけて描き尽くす。現在の私は福祉ボランティアこそしていないが、「金にならない労働」は週のうち多時間を割いているので、このような「様々なボランティアたち」を見て自分を見つめるきっかけになった。読者はきっと、1人は自分に似たボランティアを見つけることが出来るだろう。
鹿野は、思ったことをほとんど表に出す稀有な患者だった。それでも、死ぬ直前、最期に見せた鹿野のあまりにも優しく冷静な判断(著者の推測)は、この本を読んだぐらいで「筋ジス患者のホントの気持ち」なんて安易にわかったと思っちゃいけない。という気にさせる。
だからこそ、文庫化に当たって大幅に改稿追記された注釈や、中段部分の70ー90年代の鹿野の人生は、きちんと踏まえておくべきものだろう。筋ジス患者が自立生活するまでに、いかに多くの闘いがあったかを知るべきだ。実際、映画では原作内容を半分ぐらいしか使っていない。もっと面白いエピソードはたくさんある。この私でさえ、もう一本ぐらい脚本がかけそうだ。その時の題名はもう決まっている。「こんな夜更けにバナナかよ 青春篇」。
2019年1月11日読了
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2019年4冊目。ボリュームはあったけれど一気読み。何に感動したかというと著者の鹿野さんやシカノ邸、ボランティアに対する向き合い方。在宅介護の現実に対する思考の堂々巡りに悪戦苦闘している様子と生みの苦しみとが行間から滲み出ている。妥協のない覚悟を感じる。然し乍らテーマ含め重くなりそう話題であるにもかかわらず読みやすく、それは登場人物への愛が溢れているからだと気づいた。それだけ濃密な人間関係とそれぞれの個性が魅力たらしめているからだ。
本著は自分とその周囲の人々との関係にも置き換えられる「人と人とのつながりの本」だと思った。鹿野さんは人よりも砂時計の穴が大きい、ということが僕らが忘れがちな人間関係のすばらしさを教えてくれる。ひとにオススメしたい一冊である。
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鹿野さんに会ってみたかったなあ。障害者の問題は、自分の老後問題なんだ。この本たくさんの人の目に触れますように。それにしても、ボランティアに頼らさるを得ない鹿野さんの不安を取り除く制度はどうしたら良いか。全部プロ化は非現実的なので。。明日の介護の問題でもある。
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映画を観るなら映画を観た後に原作を
読んだ方がしっくりくる。
やっぱり原作に勝るものはないと思った1作。
看護師である自分自身すごく考えさせられた。
ほっこり、明るい気持ちになれる1作です。