紙の本
勇気ある赤裸々告白は脱帽!でも「守秘義務」は大丈夫?
2006/08/16 11:14
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:会計士受験生 - この投稿者のレビュー一覧を見る
株式市場だけでなく、社会的にも注目を集める大企業といえば、従来は世間の目を気にしながら、手堅く業績を伸ばしていくというのが日本的な経営であったと思う。
そこには、業績を伸ばして株主価値を高めることよりも、これまでの成長速度を鈍化させてでも、リスクは抑えていきたいという、守りの姿勢がみてとれた気がする。
だが、ライブドアは株式100分割や、積極的なM&Aによって、アクセルを踏みつづけた。
それは時として法的にグレーな手法につながりかねず、そのために外部の監査人がブレーキ役となり、犯罪を未然に防ぐはずなのだが、この事件でそれが機能することはなかった。
本書は、まさにそのライブドアの会計監査人をつとめた、元代表社員によって描かれた、「ライブドア事件」の真相と、会計監査の本質と限界について語られた、類書にないリアリティあるノンフィクションである。
全体の印象としては残念ながら、自らの潔白を前面に押し出しているような、言い訳がましい書き方になっているように感じられた。たとえば「会議でダントツに若い私は、当時、存在感も発言力もなかったため、審査会ではあえてほとんど発言しなかった(P64)」と重要会議で唯々諾々としていたことを堂々と記していたり、我々は「騙されていた」と被害者であることを強調したりと、プロの監査人からは聞くに忍びない言葉が書き連ねられている。
だが、事件報道以降の動揺した様子や、不安に駆られる心理状態が生々しく記される一方で、時間が経つにつれては冷静に自身の行動を思い返し、信念を持って監査を行ってきた姿勢がよく伝わってくる内容で、当事者にしか感じ得ない臨場感に富んでいる。
マスメディア等によって誤解を生じている「会計士像」ではあるが、そのような社会的な批判を甘んじて受けながら、会計監査の限界と未来について語り、そして、今回の事件の原因には自らの責任が大なり、と公認会計士の資格を自主返上するなど、著者の愚直なまでに強い倫理観伝わってくる。
会計士の守秘義務に関して、ここまで書いて良いのかな、と疑問に思う箇所も多いが、よくぞ当事者として書いてくれたと、著者の勇気ある行動に敬意を表したい。
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会計士ならば一読しておく方がいいのではないだろうか。会計士とは何か、監査人とは何者なのか――新人もベテランもこの本を読んで原点に立ち返ってみてはいかがだろうか。
監査人は会社の番人であり、社会的責任は重大であると再認識した一冊。
ただ、惜しむらくは、監査とは関係のない人には内容は難しいのではないだろうか。
世間一般の人に、監査とはどういうものかを説明した本やTV番組がない中、この本は貴重な情報発信となるだろう。
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一時期新聞や週刊誌やテレビなどで垂れ流されていた、ほとんど何も語っていないに等しいようなライブドアの情報・報道とは違い、監査人である公認会計士としてみたライブドアの内部の状態、監査人としての奮闘記などなど驚くべき情報がてんこ盛りの一冊。ちょっと残念なのは、専門的な話が難しく会計の知識がないと理解できないとこだろうか(特に三章とか)。
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この本から、会計士とは何たるか、監査とは何たるかを学ばせていただきました。
2度とカネボウやライブドアのような粉飾決算が起こらないよう、著者のような正義感に燃えた会計士が増えることを祈るばかりです。
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書いてあること自体はいいと思いたい。
ただ浅ましいと思ってしまうのはこの告白自体が「商品」として扱われ、その利益で出版社が儲ける。そして大部分の人にとっては退屈を紛らわせる娯楽に成り下がってしまうのではないかと・・・。
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ライブドア事件で監査を担当した港洋監査法人の内部での話。
ライブドア事件を巡る裏側での事情が分かる貴重な1冊。
所詮は1社員の言い訳にしか見受けられない部分もあるがライブドアの宮内氏の暴挙が書かれている。
実は・自分の会社もここの監査法人で大変な目に会いました。
監査自体は非常に真面目にやって頂いていたのは事実ですが
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ライブドアの監査をしていた港陽監査法人の田中慎一氏が、あのライブドア事件について赤裸々に語っています。
この田中氏は、今回の事件を契機に公認会計士の資格を返上されたとのことですが、同じ公認会計士としては、ここまで書いていいんですかね???と疑問に思いますが・・・
何か別に田中氏が責められている訳ではないのに、ご自身の潔白を証明するための暴露本と感じるのは私だけ??
まあ、私は楽しんで読ませていただきましたが、守秘義務の問題には抵触しないのでしょうか??
粉飾のスキームが結構複雑なので、難しいと思われる方も多いかも知れませんが、あの事件の真相を知りたい方には、参考となる本だと思います。
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この本は、専門的な知識がなくてもとりあえずは読みきれます。
「逮捕」があの事件の最後じゃなくて、あの事件をきっかけにしていろいろなことを知ってほしいというのが、この本の主旨のように思えます。
会計・監査関連に興味のある人は是非とも読むことをオススメします。
そうでない人でも、あの事件に興味をもたれた方は、読むべきだと思われます。
※若干生々しいです。
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ライブドアは自社株をM&A用の子会社
を通じてベンチャーに投資。
分割直後に売りそれを売り上げ計上。資本取引にすべきだったが前任の監査
人が認めてしまった。
監査人をやめる事が株価下落に繋がる
最後の切り札だった。港税理士の前任
がライブドアを甘やかした。
宮内のファイナンス部門は壁に囲まれ
何をしているかわからなかった。
粉飾決算の証拠は書類を盗み見た
ライブドアと止められなかったので
公認会計士の資格を捨てた。
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私は潔白だと説明している本の様に見えてしまうのですが、公認会計士の資格を放棄しているので
好感が持てます
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LD事件の公認会計士の本
前半部分は受験生として参考になったが、後半はやはり自らの潔白を主張する文体となっており評価は分かれると思う。
自分としては検察の絶対性はないと思うが、
この後逮捕されている点
会計士返上を行っていなかった点(受理されなかった?)
等なんとなく脇が甘い気もする。
突っ込みどころを自ら作っている結果になっているし・・・。
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堀江さんの著書とか放送への出演とかを見たことがあって、
別の人の視点からのとらえ方として読んだ。
正直専門外なので
堀江さんの主張もこの本の主張も理解できてない部分があるが、
両者からうける印象は結構違ったものがあり、
わたしにはどちらが正しいとは判断できなかった。
本書でも最後まですっきりしない点が多々あり、
盗み見たり、検察の”供述マシーンになった”と堂々と書かれていたり、
自己正当化のような表現が多かったり、
あまり印象が良くなかった。
この本も”供述マシーン”として書かされているのではないかとさえ。
とはいえ、最近は堀江さんの主張を目にすることが多く、
すべてをそのまま鵜呑みにせず、
本書の内容に照らし合わせて自分で考えてみるというためには役に立つと思う。
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ライブドアの事件を語った本、著書は会計士の資格を返上すると本の中で言いながら、後日別件で捕まる時の肩書きは『公認会計士』
多少、言い訳がましく、見苦しいところがありますが、中堅所・会計士の仕事に興味をもっていたため
また、複雑な事件内容を理解する助けにもなり
読む価値はありました
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こちらはライブドアの会計監査人だった監査法人の担当者だった田中氏によって書かれた手記です。監査人の正義を説く内容で、ライブドア事件を時代の徒花的に捉えているように感じます。監査人として例の時間外取引による電撃的買収、投資事業組合を使った株式交換による自社株買いスキームなど、非紳士的行為として書かれているようにおもいます。会計監査人として正しい姿勢だと思います。
その手法についてさすが監査人で詳しくかつわかりやすく書かれている良書だと思います。
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ライブドア事件を単純に批判するだけではなく細部まで知っているからこそ書けたものと思う。
個人的には興味深く面白かったが、クライアントとの守秘義務とかって大丈夫なのか??といらん心配をしてしまった。