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紙の本
知識が繋がる仕掛けが随所に。
2009/02/03 14:40
6人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:dimple - この投稿者のレビュー一覧を見る
ドイツ文学者・エッセイストである池内紀が、平易な文章でロスチャイルド家の歴史を綴っている。
類書と内容が重なる部分が多いものの、読書や雑学が好きな人を満足させる記述も随所にちりばめてある。
一例を挙げると、第二次大戦後のロンドン・ロスチャイルド家の行方を述べたくだりである。『・・・これまで息子たちはハロウ校からケンブリッジ大学がお定まりだったのに・・・』(192頁)とある。
確かに、Harrow School は、Eton Collegeと並ぶ名門パブリックスクールである。しかし、それでもなお、一族がイングランドにおけるエリートの牙城であるオールド・イートニアンでないところに、雑学好きな人は深い感慨を覚えるのである。
すなわち、巨万の富や爵位を得るまでに至っても、ユダヤ系であることに彼ら自身の屈折した感情があることがそこから読み取れる。
また、ロンドン家の異端児であるジェイコブが、自らの意思でEton Collegeを経由してOxford Universityに進学したというくだりで、読書好きな人はハッとさせられる。
アンドリュー・モートン『ダイアナ妃の真実』(早川書房、1997年)には、ダイアナ妃が俗物根性の固まりである継母を嫌っていたエピソードとして、継母がイートン校の学友を連れてきたダイアナの弟に対して、彼らの同級生であるロスチャイルド卿の御曹司の消息を尋ねるシーンがある。
ここで2冊の書物が繋がって、ジェイコブ以降、一族はオールド・イートニアンの仲間入りを果たしていることに読者は気づく。知識が繋がる喜びを見出す瞬間である。
本書は入門的な内容ではあるが、このように十分に楽しめる作りになっている。
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