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ユニークで軽快な独特の人間ドラマな久し振りの伊坂節って感じたらゴールデンスランバーの前に執筆してた内容とあとがきで知ってなんだか納得。映画化も決まってるようだし映画もとっても楽しみな作品。
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「でも別れたんだ?」
「だって、あの人、結局、わたしの身体目当てなんだよね」
「財産目当てとか、身代金目当てよりはマシだろうに」
『女性が何かを頼んできたら、よほどの悪条件でなければ引き受けろ』
「小宮山君を学校に、連れて行くんだって」
「多恵子は勘違いをしてる ー 学校に連れて行くことが、正しいことじゃないんだ。学校に行けばみんな、幸せになるとは限らない」
「そうじゃなくて。わたしだって、学校行くの、面倒なんだからさ、小宮山君だけ来ないのって、悔しいでしょ。みんな我慢して学校行ってるんだから、ずるしないで、さっさと行きましょう、って感じなんだよね」
「な、無駄骨だっただろ」
「人生で有意義なことの大半は、無駄に見えるんだって、知らないの?」
「誰の言葉だよ、それ」
「わたしの知り合いで、豊臣秀吉の埋蔵金を掘ってた人」
「説得力のあるいい言葉だなあ」
「学校はいつも問題だらけだ ー 十三、四歳のガキを教室に詰め込んで、何にも問題が起きなきゃ、そのほうが問題だ」
「自尊心ばっかりで、生意気な年頃だよな」
「性欲を意識して、翻弄されはじめる頃だ」
「友人との関係が世界の全てと感じている」
「そのくせ ー 情報ばっかり仕入れて、世の中を知った気でいるんだよ。大人よりも、自分たちのほうが偉いと思ってる」
『いいか、女の子の前では自分の話ばかりするんじゃないぞ。相手の話をよく聞くんだ。悩みを口にされても、絶対に、自分の意見を言うな。とことん相手の話を聞いて、それは大変だね、と言ってあげればいい。聞きながらうなずくことも忘れるな』
「全然駄目だ ー その時はこう言うんだ。『君に怪我はなかった? 僕のほうはどうでもいいけど』」
「どうでもよくないって、大腿骨骨折だよ」
「いいんだよ。とにかくさ、相手のことを第一に、だ。これが重要だからな。大腿骨と女の子とどっちが大事なんだよ」
「大腿骨」
「大腿骨はそのうち繋がるけど、女の子は二度と戻ってこないぞ」
「由紀夫の家で勉強していこうかな、と思ってるんだよね」
「何の相談もなく?」
「あのね、いいこと教えてあげるけど、政治家とか親とか先生って、聞こえのいいことは言っても、結局はさ、自分の好きなように決めちゃうでしょ。みんな、相談しないで、勝手に決めちゃうじゃない。どうして、相談しないで一方的に決めるか知ってる?」
「何の話なんだ」
「相談したら、反対されちゃうからだよ ー だから、相談する前に、由紀夫の家に行くことに決めたわけ」
「あのな、おまえの母親は嘘を隠すのが上手いんだよ。ずるくて、抜け目ない」
「俺なら、ずるくて抜け目ない女の人とは絶対に結婚しない」
「俺たちだって、みんなそう思ってたんだぜ。たとえば、世の中で事故に遭った奴は、みんな、事故に遭いたくなかった奴なんだ。それと同じだ」
「山登り? 何のために」
「頭でっかちで、インターネットや本から知識を仕入れて、『先生、世の中なんてしょせんこんなものだよね』とか��意気なことを言って、悦に入っている中学生を、苛めるためだ」
「暴力教師、陰険になる」
『人が生活をしていて、努力で答えが見つかることなんてはそうそうない。答えや正解が分からず、煩悶しながら生きていくのが人間だ。そういう意味では、解法と解答の必ずある試験問題は貴重な存在なんだ。答えを教えてもらえるなんて、滅多にないことだ。だから、試験にはせいぜい、楽しく取り組むべきだ』
「井の中の蛙だったな、少年。少年よ井戸に帰れ」
「それが頭の良さってこと?」
「抽象的な問いかけに対して、自分の知っている数字で、答えを導き出すんだ。そして、あとは気配りとユーモアが重要だ」
「俺さ、今日から試験だけど、頑張れよ、とか声をかけないでいいわけ」
「言ってもらいたいか?」
「嫌だけど」
「そうか。じゃあ ー 頑張れよ、試験」
「おまえくらいの年齢の男が最も気をつけなくちゃいけないことは」
「いけないことは?」
「避妊だ」
「わざわざ言いたくないけどな ー 学校の外には、分かりやすいルールだとか、物分りのいい大人はいねえんだ。理不尽で、理屈の通じないのとばっかりだ。高校生が舐めてると、痛い目に遭うぞ」
「女の子が不安になっていたならば、自然に笑いかけて、こう言ってやれ ー 俺がいるからには、もう、大丈夫ですよ。安心してください」
「おまえさ、何で煙草吸ってんだ? ー 理由、言ってみろよ」
「吸いてえからだよ」
「ばーか ー 本音を言えば、他の奴らが吸ってるから、だろ? ー 不良は煙草を吸うものって、思い込んでんだろ」
「うるせえな」
「人の真似して、何が不良だよ ー 煙草を吸うなんて、安全地帯でやる悪戯みてえなもんだ。どうせなら葉巻にしろよ。そのほうがまだ個性的だ」
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相変わらず伊坂さんの世界は最後まで予測がつかなくて面白い。こんな個性的なお父さんが側にいたら、学びたくないことでも刷り込まれちゃいますよね(笑)
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「父親」って本当に面倒くさい存在。
うちの父は、怪しいし、勝手だし、適当だし、遊び人だし、訳の分からないところでこだわりを持ってたりするし、「もう放っといてよ!」ていう場面で干渉してきたりする。運動会で妙にはりきってるところとか、恥ずかしくてしょうがなかった。
でもこの本を読んで、父親って、はたから見ると実はカッコイイ存在なのかもしれないって思った。
知らない間に影響されていて、いざというとき守ってくれる、いなくなったら、きっと寂しい。
主人公の由紀夫には父親が4人もいて、それぞれがまた魅力的で羨ましくなっちゃうんだけど、ひょっとしたら世の父親たちには誰でもそんな一面があるのかもしれないなって、そんな気にさせられた素敵な物語。
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父親が4人いる話。
真面目に不真面目な事をやらかす大人はいいですね。
4人がそれぞれに素敵だけど
そんな夫たちに惚れられるお母さんがどんな人なのか気になるな。
由紀夫くんはきっといい男になりますね。
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文庫新刊出てる~と購入。面白かったのですが壊滅的にヒロインの多恵子だか智恵子ちゃんが苦手だった。ああ言う人の話を聞かず、女の子だから男性に対しては何しても許されてると思ってるオンナは苦手。ですが、こういう肉食系女子でないと今時の草食男子はゲット出来ないのかもしれない。男性も大変だ。(そして可哀想だ)
そしてマスジ君もいただけない。自分のケツぐらいは自分できちんと拭こうよ。そういう、人に何もかも下駄を預けて責任取らないようなヒトは子供でもよくないと思う。その辺り、富田林さんに同意します。まあそれを許容している主人公が一番ダメなのかもしれませんが。
面白かったのですが結局オレオレ詐欺は誰だったんでしょうね?小宮山君の件はあまりに急展開でびっくりしました。私は小宮山君の隣人が愛人だとてっきり思ってました。
最後、お母さんが出てきてようやくヒロインが少し分を弁える辺りちょっと溜飲が下がりました。だから男はダメなんだなあ。良いように振り回されちゃうんだねえ。大の大人が4人もいるくせに。
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私の好きなタイプの伊坂さんのお話。
四人の父親をはじめとするキャラクター達の軽快な会話が本当に面白い。
特に気に入ったのは自己顕示欲のところ。
設定もとても面白かった。
あとがきにあるように確かに新鮮味は足らなかったけれど楽しめたので文句無し!
ところで葵さんが指輪を見せる場面があったけど彼らは五人でお揃いの指輪をしているの?それとも知代さんは四つの指輪を持っているの?
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やっぱり伊坂幸太郎は少しニガテ。
読むのに時間かかっちゃったな…
父親達のキャラやテンポは良かったけど、色々な出来事が起きてスリリングな展開まで行ったのに、最後無理やりな終わり方な気がして残念だった。
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「括弧運お授業を妨害する,なんて,ジェットコースターと一緒だぜ」(鷹)
「解法と解答のある試験問題は貴重な存在なんだ。答えを教えてもらえるなんて,滅多にないことだ。だから,試験にはせいぜい,楽しく取り組むべきだ」(悟)
「俺は何度も何度も失敗した。打ちのめされた。それが,俺の成功した理由だ」(マイケルジョーダン)
「自分に直接関係がないことに興味を抱くのは人間の特技だ」とは悟の言葉だ。そしてその悟によれば,「自分とは関係のない出来事にくよくよ思い悩むのが人間だ」とはサン=テグジュペリの言葉らしい
「女性と会うために必要なのは,名前と電話番号どっちだ?」(葵)
「今の政治家もどちらかにこだわるんだ。戦を始めるか,もしくは,法律を作るか。歴史に残るのはそのどちらかだと知ってるんだ。地味な人助けはよっぽどのことでないと,歴史に残らない」(悟)
「試験で良い点数が取れるのと,頭の良さは一致しない。ただ,まったく別物でもない。物事の本質をぱっとつかむのは本当に大事なことで,それは試験問題を解くのと似ているかもしれない。一方で,試験は苦手でも頭がいい人間もたくさんいるけどな。…まあ,まずは発想力というか,柔軟な考えができる人だろうな。人間ってのは,抽象的な問題が苦手なんだ。…そこで逃げずに,自分に分かるように問題を受け入れて,大雑把にでも解読しようとするのは大事なことだ。…抽象的な問いかけに対して,自分の知っている数字で,答えを導き出すんだ。そして,あとは気配りとユーモアが重要だ」(悟)
「たとえば,あるとき,世界中の誰もが,自分の子どもに対して『他人を苛めるくらいなら,苛められる側に立ちなさい』と教えることができたなら,今の世の中の陰鬱な問題はずいぶん解決できる気がするんだ。」(悟)
「落ち着いてる?」鷹が顔をしかめた。「俺たちが?」と勲が苦笑し,「大慌てだよ」と葵も表情を崩した。「やれることをやるしかない」悟がはっきりと言い切った。「それでどうにもならなかったとしても,大丈夫だ。俺たちで,おまえて鱒二は守ってやるよ」勲の声は,由紀夫を,口の中のバターロールごと包むようでもあった。「父親が四人もいて,息子を守れなかった,なんて洒落にならねえからな」鷹が,鼻をこすりつつ,言う。
まだ第1期の作品が残ってたとは知らず。言われて読んでみれば,少し昔っぽい雰囲気。★5とはいかなかったが,休日にゆっくり楽しんだ。気に入った名言はやはり悟が多かったけど,四人とも,そして由紀夫も多恵子も鱒二も,富田林も,みんな伊坂らしいキャラで,楽しかった。
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特徴的な4人の父親たちは「陽気なギャング」の再来のようであった。
それぞれに個性を放つ父親は自分の父親を要素分解したようにも思えた。
例えば、悟4:勲2:葵1:鷹3というように。
ストーリーが進行していくなかで由紀夫自身の考え方に変化が起きているのがわかる。
父親たちとの関係性が永遠でないこと、自分は学校や親に守られて生きていけていること。
それらは読者である私にも投げかけられ考えさせられるものであった。
ページ数のボリュームに比べストーリーの中で日は経っていない。
それだけ凝縮した話であり続編も期待できる。
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個性あふれる4人の父親のいいところどりをした子が主人公。映像化のキャストに不安を覚えるが、本のほうは何度も読みたくなる。こういうのをエンターテイメントというのだろう。
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読み始めてしばらくは登場人物が多くて、把握するのに苦労しました。が、読み進めていくほどに登場人物全員がキャラ立ちしてて、楽しく読めました。
最後数十ページで全てのエピソードがつながる伊坂ワールド、最高でした。
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父親が4人いる、という設定に惹かれて手に取った。
ギャンブル好き、女好き、学校教師、大学教授と、性格がバラバラな父親たちどけど、息子を愛する気持ちはみな同じ。
息子がピンチの時には必ず4人で助けにくる。
テレビのクイズ番組生放送を使って息子を助けようとするシーン、大好き。
むちゃくちゃだけどかっこいい父親たちです!
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4人の父親がそれぞれに魅力的で主人公がうらやましくなってしまった。久々に読み終えるのが寂しい本に出会った気がする。
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2013年06月 08/34
安定の伊坂クオリティ。キャラクターがリズムよいし、新聞連載?だったのか、ちょこちょこと山があって、サクサク読めます。
母、すごい。現実的な問題の棚にあげ方も好きでした。