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雑記:持ち帰った本。有島武郎。芥川。吉行淳之介より。
http://ameblo.jp/pippu-t-takenoki/entry-10003516196.html
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保坂和志の「草の上の朝食」で
「恋愛のようなものに、ずるずると…」という文章があって、結局保坂和志の小説では、そのずるずるはつづかなかったのだけれど、
ずるずるが続いた結果がこの小説の中にあったような気がします。
で、実際恋愛というのはずるずるが続いたり続かなかったりの結果なんだろうとはおもうのだが、ずるずるがちゃんとした文章で書かれるとこういう傑作につながるのかと、少し感動した。
そして、保坂和志の小説でづるづるが続かなくなったその原因が、とても楽しい日当たりの良いリビングだったのに対して、
ずるずるの行き着いた先が暗室だったというのが私の中では妙にうきだった関係に思えた。
これは、隠喩とかそういうのではないと思うし、変な深読みかもしれないけれど、なんか文学としておもしろかった。
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屋根裏部屋に隠されて暮す兄妹、腹を上にして池の底に横たわる150匹のメダカ―脈絡なく繋げられた不気味な挿話から、作家中田と女たちとの危うい日常生活が鮮明に浮かび上る。性の様々な構図と官能の世界を描いて、性の本質を徹底的に解剖し、深層の孤独を抽出した吉行文学の真骨頂。「暗い部屋」の扉の向こうに在るものは…谷崎賞受賞作。
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数年前に奥さんを亡くした40歳過ぎの独身の作家、中田が3人の女性と織り成す関係を中心にしたストーリーです。
吉行淳之介さんの小説は好きですが、女性の視点から見ると、やや複雑な気持ちも持ちます。腹も立つような・・・(笑)
主人公の中田は、大人の女性二人と関係を持っていて、その時の気分で、二人のうちのどちらかと会うということを続けている。
そして、偶然バーで知り合った、レズビアンの若い女性に興味を持ち、その女性とも関係を持ち・・・ってな具合なのです。
ストーリーと一見関係ないような、逸話が自然な流れでいくつか散りばめられていて、これが、面白い。
最初っから、関係ないような場面から始まるんだけど、引き込まれるような流れがあります。
終わり方も渋いです。
どうしてだかわからないけれど、読み終わって、また、もう一度、読んじゃいました。
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大学の図書館にて。
公共の場で読むにはいささか(かなり?)抵抗のあるワードがたくさんでてきてたじろいだけれど、1.5hほどで読了。読みやすい。
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2010/1/14(~39) 16(~92) 20(~150) 22(~302終)
読んだのは最近なのに内容をほとんど覚えていない。
それほど印象に残らない作品だったのかもしれない。
いや、自分の物忘れが激しいだけかもしれない。悲しい
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出口なーし!!!!といった読後感。吉行文学といわれるものは、『夕暮れまで』とあとなんか短編を読んだことがあるぐらいだけれど。なんともいえない読後感がいつも残る。それは、男流文学論でいわれていたような、女をモノ扱いしているてきなことと関係あるようなないような。女どうこうよりも、他人を見る主人公の目線がなーんか気持ち悪いのかも。と思ったり。性描写が多いんだけど、ぜんぜん性的な美しさみたいなものがないし、グロさみたいなものもないのが、奇妙である。その辺に違和感の元がありそう。
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語り手はフロイト信者で、エッチした女たちを精神分析をするのが癖になっている。だからか語りの展開が推理小説のようになっていて、全体として筋らしい筋はないのだが、飽きさせない。「暗室」のモティーフとしては、長兄の立身のために戸籍から抹消された白痴の兄妹が屋根裏でこっそり戯れている、という挿話が強烈なイメージとしてあり、それが後半にいくにつれ、女性器のイメージとだぶってくる。水子殺し(堕胎)のトラウマ。そういう色男の罪障感みたいなものがどうも根底にはある。
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谷崎潤一郎賞受賞作だそうですが、
ピンと来ませんでした。
イメージのつぎはぎによって、
巨大で不気味な「何か」を現出させようとしているらしい
……と、察することはできましたが。
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吉行淳之介には、『原色の街』「驟雨」などをはじめとする、赤線の娼婦を扱った所謂「娼婦もの」と呼ばれる一群の作品がある。
これらは1958年3月31日を境に赤線が廃止され、その時代状況とともに終わりを迎えている。
では、その後。
吉行はどうしたか、といえば、やはり本質的には変らない。
確かに、赤線の娼婦を描かなくなるし、そもそも職業としての娼婦を描くこと自体ほとんどなくなる。
(正確なところは寡聞にして存じません。)
しかし、作品の中には、『暗室』でいえば夏枝がまさにそうだが、娼婦のようにふるまう女が登場する。
ただし、ここで肝腎なのは、“娼婦”が吉行の作品で一貫して描かれているわけではないということ。
あまりに“娼婦”という形式にフォーカスしすぎると、安易に“聖女”と対比させた単純な二元論に終始してしまい、面白味もなくそれより先もないこととなる。
吉行が描いているのはもっと広範に、「性」「軀」と捉える方が適切だろう。
“娼婦”も、よく言われる“女”も、「性」「軀」を書くためのツールの一つなのではないだろうか。
そんなことを考えながら『暗室』を読んでいると、この「暗室」というタイトルが、この作品にいかにもふさわしく、いよいよ湿潤で粘り気を帯びたもの思えてくるのだ。
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独特な世界観が広がっている小説。凡人の私には、どんなメッセージを読み取ればよいのかわかりませんでした。
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妻を亡くした中年作家の異性交遊の記録、といった体。複数の女性に囲まれ、どの女性ともつかず離れずの距離感を保っている主人公。序盤は非常に引きずりここまれた。津野木という男との間にある不和、妻に堕胎させた子供は津野木の子なのか、身元がよくわからないレズビアンらしきマキ、屋根裏に住んでいた微妙な子供たちとその兄の教授。しかしそういった不気味な魅惑を持つミステリ要素は退場し、最後には夏枝という女と主人公だけが残る。そして主人公はひどくありふれた凡夫と化してしまうといった形で終わる。個人的には、序盤のミステリテイストな不気味な空気感は魅惑だっただが、後半はその濃密な空気が掻き消えて、グロテスクな性描写に終始してしまい、作者が伏線や物語の広がりをうまく回収しきれなかったのではないか?と感じた。
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孤独な男だ。相手なき性を追い求めるような彼の徒労から、そんなことを思った。とぼとぼと語られる中田の性の遍歴はどこへいっても虚しい、悲哀を感じさせる。暗い部屋に吉行の美意識を見た。
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図書館で借りたら埴谷雄高氏の寄贈本であるらしかった。
屋根裏で暮らす白痴の兄妹、レズビアンの考察、女性器の醜悪さなどなど。
じっとりと暗いまま終わった。
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言ってしまえば近代文学にありがちなクソ男が妙に股の緩い女たちと何故か溢れる色気で爛れた生活を送りまくる話。時折入る挿話は綺麗だけどさほど印象的だとは感じなかったのは色鮮やかではなかったからかな。鬱屈とした感覚がずっと続いて漆黒の沼にどぼんと飲み込まれるような本だった。ラストの運びがある意味救いを感じて好き。