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標準的な経済学では人は必ず合理的に動く「経済人」として扱われる。
では、あなたはその「経済人」と呼べるような人にあったことがあるだろうか?
少なくとも俺はない。
標準的な経済学の理論では説明できないのが世の中である。
では標準的な経済学が意味がないのか。
俺は決してそうは思わない。
資本主義の世の中において、合理的な行動は行われるものであろう。
ただし、「必ず合理的」とはいかないのだ。
行動経済学ではこの標準的な経済学からみた「非合理的」な行動を分析する学問である。
人間の行動には心理学や脳神経科学も関わってくる。
この本は特に前者とのかかわりを中心に行動経済学とは何かを語る。
構成としては9章あり最後の一章は最先端である神経科学とのかかわりを述べてはいるが、
それまでの8章に関しては、人々の意思決定に関する実験を通して行動経済学とは何かを述べている。
行動経済学とは何かを知るには、あるいは入門としてはとてもよい本。
「渡された1000円を見知らぬ人と二人で分ける。
このとき、あなたは相手にいくらか渡すという提案をする(好きな額でよく、0でもよい)。
相手はそれを受けても拒否してもよいが、この提案は一回きりで、拒否したら両者0円となる。
あなたはいくらを相手に渡しますか。」
あなたはいくらを選ぶだろうか。
標準的な経済学上の結果と実際の行動結果には違いがあるが、詳しくはこの本を読んでほしい。
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▼ 100文字感想 ▼
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たしかに小難しい。ヒューリスティクスとかバイアスとか、
カタカナ表記がたくさんでややこしい。が、一読してみて
間違いなし。例えが秀逸なのだ。広告やマーケティング
に関わる人は必携。「勘定から感情へ」が大きなテーマ。
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▼ 5つの共感ポイント ▼
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■メディアや親しい友人、家族、権威者からもたらされた
感情に強く訴える出来事や情報は記憶に残りやすく、
情報の信ぴょう性や出来事が生じる確率は高いと判断
されやすい
■人間の情報処理プロセスは直感的部分と分析的部分
の二つから形成され、連続的に存在する
■「損失回避性」人間が快楽を得る仕組みの最も重要
で大きな特徴、プラスの刺激よりもマイナスの刺激に
対して敏感
■選択肢が多いほど自由に選べる可能性が広がり、
より充実度は高くなるという信奉は幻想だ
■「Xを選ぶことに決定」というのは単に「Xが好きだ」と
言っているのと同じ、人は好きなものを選び、後でその
選択をさまざまな理由で正当化する
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本書は「標準的経済学」に異を唱える行動経済学を平易に紹介する本であるが、著者は、
「行動経済学は(略)人間がまったく非合理的、非自制的、非利己的であることを意味しない。完全合理的、完全自制的、完全利己的であるということを否定しているにすぎない」(24頁)
「経済学で永年にわたり蓄積してきた理論に認知心理学の成果を取り入れて改良するというのが行動経済学の目指す方向であって、標準的な経済学を全面的に放棄あるいは解体して、新しい経済学を一から建設するというものではない」(36頁)
「人は、完全に合理的ではないが、そこそこは上手くできるという意味で「限定合理的である」というのが一番適切である」(61頁)
などと何度も指摘している。
中山龍太郎弁護士は、本書を読んで「だから標準的経済学は不要だ」と誤解する読者がいるのではないかと心配している
http://www.ny47th.com/fallin_attorney/archives/2006/09/02-192258.php
が、著者がこれだけ何度も念押しをしているのだから杞憂ではないか。
(ただそうすると「経済は感情で動いている」という断定的サブタイトルは著者の意図を正確に表現したものではないということになってしまいますな)
本書では、処罰を導入することにより協力関係が促進されることを実験により立証しつつ、逆に、処罰によってモラルが低下する可能性についても紹介している。法律関係者にとって一読の価値がある。
一方、経済学者にも感想を聞いてみたい部分がある。
有名な「囚人のジレンマ」ゲームについてである。
ある事件の被疑者としてAとBの2人が逮捕され、別々に取り調べを受けているときに、AとBがそれぞれ黙秘するか自白するかの選択が迫られている。検事はそれぞれに対して取引を持ちかける。
1:おまえが自白して、あいつが黙秘すれば、おまえは捜査に協力したのだから起訴せず釈放するが、あいつは起訴されて懲役8年になるだろう
2:2人とも黙秘すれば、本件で起訴することはできないが、別件の微罪で2人とも懲役1年となるだろう
3:2人とも自白すれば2人とも起訴するが、情状を考慮されて2人とも懲役5年となるだろう
(法律家からすると、以上の設定にはちょっと違和感があるが無視しよう)
AとBは隔離されているので、相棒が黙秘するか自白するかはわからない。Aから見れば、
1)Bが黙秘するなら
1−1)自分も黙秘すれば、上記2により懲役1年
1−2)自分だけ自白すれば、上記1により釈放
2)Bが自白するなら
2−1)自分だけ黙秘すれば、上記1により懲役8年
2−2)自分も自白すれば、上記3により懲役5年
ということで、Bが黙秘するか自白するかにかかわらず、Aは自白するほうが得策となるので自白する。Bから見ても同様だからBも自白する。こうして2人は検事の目論見どおり両方とも自白して懲役5年に服する。両方とも黙秘していれば両方とも懲役1年ですんだのに・・・これが囚人のジレンマであるが、これを授業で説明した上で、学生にどちらを選択するかを聞いたところ、経済学を専���する学生は他の学生に比べて裏切り(自白)を選択する学生が多いという結果が出たという。つまり、経済学を学ぶと利己的になってしまう、または逆に利己的な性向を持つ人が経済学を専門とする可能性があるというのだ。
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経済学者として、囚人のジレンマに関するコメントです。、経済学専攻の学生は、利己的な選択を行いやすいというのは、ちょっとバイアスがかかっているように思えます。
経済学専攻の学生は、授業でのケーススタディーとして囚人のジレンマのような状況を何度も見ています。ですのでそのような学生を被験者につかって同様な実験を行った場合、経済学専攻の学生に利己的な行動のバイアスが出るのは不思議でも何でもないように思えます。(そのように行った方が、その設定ではよいと教えているので。)
本当に経済学専攻の学生が利己的かどうかテストするには、経済学専攻の2人のペアと哲学専攻の2人のペアを、彼らがいままであったこともないような状況(冬の雪山に放り出す)に遭遇させて、その行動を比べるしかないように思えます。
そのような場合実は、「経済学専攻の学生のペアは、冬の雪山で協力することによる長期的な利益に気がついて、より協力しやすい」ということもあるのではないでしょうか。そしてそのような協力関係は、じつはあるいみ長期的な利益を最大化しようという、「利己的な」動機からきていることになります。
もちろん経済において感情が重要な行動動機になっているのは否定しませんが、逆に経済学専攻の学生の方が協力による長期的な利益に気がつきやすく、協力が成り立つすいようなインセンティブをふくんだ契約を設定する重要性を知っている面もあると思います。もちろんそれも利己的な動機なのですが。。。。
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卒論を書くために読んだ一冊。
時間的非整合の概念がとてもやさしく説明されていた。
英語文献だけでは理解しきれなかった、hyperbolic discounting (双曲型割引)の考えもよくわかった。
経済学はもともと心理学と一体だったという事実に驚き。
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常に理性的で合理的な判断をする=過去のマーケティング上の人間像、を打ち破る行動経済学の入門書。入門書だが難解。
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自分には難しかった。人間ってのは、完全に合理的でもなく、かといって全くのデタラメでもなく、ある程度合理的に行動する生き物。こういう対象捉えるには、数学的なアプローチだけでなく、心理学的なアプローチも必要。それで生まれたのが行動経済学ってことなのかな。読んでいてなるほど、なかなか自分も合理的な選択ができていないことが良く分かる。
心理学ってのは、突き詰めていくと脳とか神経とか働きも必要になる。脳とか神経の動きってのは突き詰めると、化学やら生物学やら物理学が必要だよなぁ。物事って繋がっている。
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ぼちぼち楽しく読めました。
クイズ?的な設問が一緒にあるのが楽しい。
経済学、心理学、統計学、政治、金融、いろんな領域と
絡んでておもしろい。
まぁ新書ってこともあるから
意図的にいろんな領域を絡ませてたのかな?
6章のフレーミング効果についてのところが
一番おもしろかったかな。
戦略が見えるというか。。おもろいです。
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新しい経済学である「行動経済学」の入門書とでも言える一冊。
昔は一緒だった経済学と心理学を再びくっつけた分野です。
学際的な分野になるのかな?
非常に進歩が速い分野です。
けっこう面白かったのですが、読むのがメンドくさかったです。
第1章 経済学と心理学の復縁
第2章 人は限定合理的に行動する
第3章 ヒューリスティクスとバイアス
第4章 プロスペクト理論(1) 理論
第5章 プロスペクト理論(2) 応用
第6章 フレーミング効果と選好の形成
第7章 近視眼的な心
第8章 他社を顧みる心
第9章 理性と感情のダンス
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行動経済学の入門書。近頃の新書にしては本格的で読むのにもそれなりの時間がかかる。参考文献も一応ついてるし教科書的だ。実務というより理論的。
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まだまだ最近出来た学問とのことだが、経済学というよりは心理学に近い気がしました。 この本を読んで私は「経済人」にはほど遠いと思いました。でもそれだと株とかではなかなか勝てないんでしょうね。。。と思いました。
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人工知能萌えの自分に贈る、経済行為に関する思考フレームワークの本。というとちょっと偏り過ぎかな。
環境保全行動を促すような経済をマーケティングで作り出せたらいいなぁと思ったり思わなかったり。ミクロ経済学の標準的な知識はないと難しいかも知れません。
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面白かった。
標準的経済学が想定している人間のモデルって、脳に欠陥のある人なんですね。。一級の学者に病んだ人がいるのも分かる気がした。
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行動経済学の幅広い知識をまとめている点で入門書として良書。
リスク評価の仕方の偏り、選好関係の矛盾、異時点間の選好、変化による効用の評価とかがおもしろかった。実験が必要なのか・・・
著者も自戒しているが政策評価まで結びつかないのが残念。
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【内容】
1章 行動経済学という学問がなんで出てきたのか、例題
2章 例題の答え、人は合理的じゃないかもよという説明
3章 ヒューリスティクスの説明
4章 プロスペクト理論について(計算式多数…)
5章 思考には現状維持バイアスがかかるという説明
6章 言い方とか状況で、人の考えはコロコロ変わる
7章 将来のことも、近いか遠いかでコロコロ変わる
8章 人は利己的か利他的か、処罰は有効?
9章 神経経済学という学問の紹介
【感想】
マッテオ・モッテルリーニの「経済は感情で動く」より読みやすかった。
ヒューリスティクスというのは「兎に角やってみよう」とか
「急がば回れ」みたいな格言も含まれるみたい。
個人的に8章がおもしろかった。
公共財ゲームの結果が書かれてある。
利己的になるか利他的になるかは、文化の違いもあるらしい。
あと、経済学専攻者には利己的な人が多いかも?という研究結果もあるらしい。
完全に支持されている結果ではないようだけれど。