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スティグリッツの、というより経済学説史のような文章構成でそれぞれの長所と短所に言及してあり、後半は各論。
経済学はいつの時代も完全じゃなかったですね。
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[ 内容 ]
二〇〇一年「非対称情報下の市場経済」という経済分析の発展に対する貢献で、三人のアメリカの経済学者にノーベル経済学賞が与えられた。
その一人のジョセフ・スティグリッツ・コロンビア大学教授(クリントン政権下の経済諮問委員会委員長、世界銀行の上級副総裁・チーフエコノミストを歴任)の直弟子・藪下史郎早稲田大学教授がこの「新しい経済学」をやさしく解説し、また日本経済失速の原因を明らかにする。
[ 目次 ]
第1章 伝統的経済学の限界
第2章 新しい経済学の誕生
第3章 非対称情報下の市場
第4章 モラルハザードと経済活動
第5章 組織と制度
第6章 マクロ経済学と非対称情報
第7章 九〇年代の日本経済と金融不安
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[ 参考となる書評 ]
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伝統的経済学について述べた後、完全競争市場の前提条件に疑問を問いかける。
1.商品の同質性・・・メーカーによって味の違うビール(つまり質が違う財)でも、「すべて同じビール」とみなしていいのか?
2.情報の完全性・・・飲んだことのない地ビールの味を、消費者は購入前から知っているだろうか?また、販売しているもの(財)の定価が製造原価に対して適切なものかどうか、消費者は知ることができるのだろうか?
3.所有権・・・売買の取引成立には、取引対象商品の所有権(所有者)が明確に定義され、その所有権が保護されなければならない。環境問題は、空気が誰のものか明確でなく、保護されないために生じているとも考えられる。(ex.空気は、生産活動を行う工場のものか?それとも近隣住民のものなのか?)
新しい市場では、情報は不完全・非対称であるとし、市場がどのように機能するかを考える。
*中古車市場のケース(中古車の購入者:質の良い中古自動車かどうかをプロ並みに見抜くことは困難。中古車の販売者:中古自動車の質、市場での適正価格etc...購入者が知らないたくさんの情報を保有している。⇒情報非対称)
*保険市場のケース(保険料をやみくもに上げると、病気になりにくい(もしくは自動車事故を起こさない)ユーザーがいなくなり、病気がちな(もしくは事故をよく起こす)加入者の割合が増え、保険会社の保険料負担が逆に増えてしまう。)
他に、「組織と制度」についてや「マクロ経済学」についても、情報非対称性を用いた議論が展開されている。
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スティグリッツと新しい経済学、という副題のとおり。最近のことをちょっとかじってみる、という新書らしい本ではある。売り手が情報を持っている中古車市場(レモン市場というのはスティグリッツだと思っていたが、アカロフが最初に言い出したらしい)、逆に買い手が情報を持っている保険市場など、情報が完全に行き渡らない状況下での均衡についてざっくりと概要を知ることができる。中古車を買う時には性能のチェックに神経質になってしまうし、保険に加入する時は病気がある場合は誰でも入れるものを、ない場合は加入条件の厳しい(割安な)ものを選ぶというのはなんとなく身についた行動であるけれども、このようにきちんとモデル化されていると納得させられる。
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スティグリッツの提唱する、非対称情報下の経済学では、情報が非対称=完全でないことから、新古典派経済学が説明できない経済現象を説明できる。
新古典派経済学では、様々な要因を省いて考えている(たとえば、情報の取得費用は0=完全情報)が、現実世界ではそうではないですよ、ということ。
たとえば、中古車市場では、売り手は中古車が優良なのか故障車なのか知っているが、買い手は個々の車がどちらなのか一見ではわからない。
わかりやすく書いてあるが、経済学やってない身としては、むずかしいところもあった。。
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情報の非対称性に興味があり手に取る。
非対称情報の経済を、ギャンブルや保険、更には政治の例を用いて説明している。
入門書だから、簡単な事例に留まるも、
個人的には、も少し突っ込んだ話を期待したなぁ。
ま、基礎が分かったら、自分で考察して下さいってことかな?
新古典派経済に飽きてしまったあなたにオススメな一冊。
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情報を持つ/持たないの影響に興味があって読む。ただその先の話だった。そもそも完全情報はない、と。平易に書いて頂いたが、需給曲線を肌身で使いこなせない僕には、少し難かった。
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火災保険に加入すると加入者の防災に関する意識が薄くなり、保険会社が払う保険金が増える。例えばこのような従来の経済学では説明できなかった事象を新たな視点から分析する新しい経済学を簡単に解説する。単純な需給曲線が通用しないことは理解できる。が、古典経済に疎い自分に理屈まで納得するのは難しかった。
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非対称な情報により、新古典派経済学では説明が難しい事象を分かりやすく解き明かしてくれた。非対称な情報は、医療が代表的ではあるが、ありふれた状態であることがよくわかった。例えば、自動車保険。保険会社から見ると加入者は安全なドライバーか危険なドライバーか、見分けはつかない(ゴールド免許等で類推はできるかもしれないが)。
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本書はスティグリッツの弟子でもあり、スティグリッツの教科書の翻訳などを手掛けている著者が非対称情報の経済学について解説・論じた本である。
情報の非対称性(非対称情報)とは、売り手と買い手(売り手同士、買い手同士)の間で情報量に差があることをいう(p.81)。本書は主に3つの構成となっている。
まず第1章では、アダム・スミスの理論を中心とした伝統的な経済学の解説を行い、その問題点を主張している。次に第2章から第6章では、伝統的な経済学の問題を解決するために誕生した新しい経済学誕生の経緯とその理論の解説を行っている。特に非対称情報について取り扱っている。最後に第7章では、これまでの議論を踏まえて、1990年代以降の日本の金融不安の問題点と今後について著者の見解を述べている。
本書はかなりわかりやすい。著者は様々な教科書を書いているだけあり、その経験が生きているといえる。また著者の主張はアベノミクスに多く反映されている。
本書の問題点を一つ上げると、読み進めていくうちに内容が専門的になっていくことだ。特に第7章は金融理論を学んでいない人が読むのは容易ではないだろう。とはいえ、本書の要旨はわかるはずなので、経済学の知識が全く無くてもある程度理解することができると感じた。
経済学を学んでみたい人、経済学を改めて学び直したい人のみならず、現在経済学を学んでいる学生にぜひおすすめしたい作品である。
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考え方自体は学べましたが、本の内容としては
正直あまり面白くもありませんでした。
学者肌の人たちが書く本は、
面白く読める本とそうでない本がはっきり別れます。
本人の知識をひけらかしたいかのような本というのは
読んだあとにがっかりしてしまいますね。
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2002年刊行。著者は早稲田大学政治経済学部教授。
2001年度ノーベル経済学賞を受賞したJ.スティグリッツは、所謂新古典派経済学に対する鋭いアンチテーゼを提示した人物だ。
例えば、①完全情報下での取引という概念の非現実性、②マクロ経済をケインズ、ミクロ経済を新古典派とする矛盾を回避し、マクロ・ミクロを共通の視座で解読しようとする試みを展開したこと、③自由市場形成に必要な取引費用を広範に認める必要性を承認し、理論的に解明した点、④自由市場社会を構築するための種々の制度の成立と変遷を解明し、その経済的意義を包含しようとする。
中でも、⑤古典派が所与とする需要曲線・供給曲線の単線的な捉え方に疑義を唱え、その当該商品の質が需給に影響することを踏まえ、新たな(曲線的な)需要曲線を提示するあたりが真骨頂か。
ただし、本書自体は古く、グリーンスパンへの過大評価など疑問点もないわけではない。彼は、ITバブルを生み出し、その破綻を帰結せしめた張本人の可能性があるのだ。
とはいえ、スティグリッツに師事し、彼の教科書の邦訳担当者による解説であり、同書の予備知識習得・端緒として意味ある読了であったのは間違いない。
取引費用を広範に認めるあたりが、宇沢経済学とも通底するかもしれない。
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情報量に差があることで、期待される合理的行動が取られずに価格の硬直性が生じたりモラルハザードが起きたりする、ということの説明を事例を変えて何度も説明されたような印象を受けた。
ページ数に対して内容が薄いというか、同じことを繰り返されているように感じてだんだんと読む気が削がれ、読み切るのに時間がかかった。
220516
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スティグリッツ経済学を読んだ方が良いとわかった
ミクロ経済学・マクロ経済学の入門書としてはやや教科書チックな表現が多く、あとがきに書かれているようなことが再現できていたかは怪しい…