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○東進ハイスクール講師である相澤氏の著作。
○東大の日本史の試験問題をベースに、史実や背景を明らかにしつつ、歴史がどのように動いたのか、為政者はなぜこのような決断・判断をしたのかなどを分析し、分かりやすくまとめたもの。
○いわれてみて「確かに」と気がつくようなことばかりであるが、実際に自分が勉強したときには、全く予想もしなかったことばかりで、単なる暗記科目であると思っていた日本史に対する見方が変わった。用語や言葉は聞いたことがあるものばかりだったが、それが繋がっていると言うことに目が向いていなかったのかもしれない。
○著者が繰り返している「歴史に学ぶ」というのは、このような筋道をきちんと理解してこそ、意味があるのだということを認識した。
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学生時代とにかく苦手だった日本史世界史。
この教科は語呂合わせで年号覚えたりしてただ必死に暗記をしてた記憶しかない。。
社会人になってから歴史を学び直したいと思い、歴史に係わる本を探して読んだうちの一冊。
時代背景やお国事情を理解していないと答えられない東大日本史の問題の秀逸さ、問題文と筆者解説から見える歴史の深さを味わえた。
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東京大学入試問題で出題された日本史の問題の視点を紹介することで、日本史の面白さに触れることのできる本である。
扱う東大の問題から焦点化すべき視点を書いた後で実際の問題、問題に関係する歴史事項、問題の解答という並びで構成されるので、書いてあることは易しくはないが、読み物として簡単に読めるようになっているのが良い。
扱っている問題は摂関政治や豊臣秀吉などメジャーどころが多いのも、既存の歴史観にゆさぶりをかける意味で効果的である。
1回読むだけでは面白いだけで終わってしまうと思われるので、1度読み終わって歴史を読み解く視野が広がった状態で再度考えるとさらに見識が広がる気がする良い一冊である。
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大学入試で記述式日本史をやった人、歴史の本やテレビが好きな人にとっては、期待したほどディープじゃないと思います。
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何故戦争は起こるのか。東大の日本史の過去問を通じて、現代社会を考えるというもの。
以前読んだ大正時代にもあったけれども、明治元老、政治家には米騒動というのが相当な衝撃だったのですね。その民衆のエネルギーのガス抜き弁としての普選であったと筆者は述べているのです。
また、戦争は決して国外との問題ではないとも。第二次世界大戦しかり、ナポレオン戦争しかり、国内がガタガタになったときほど、人々が(政治家がではない)戦争を求めるという。二元論はわかりやすい。破壊はどことなくカタルシスをもたらす。故に戦争が起こるのだと。
古代の白村江の戦いですら同じ考えだったのではないかと断じています。
昨日の総選挙で、3分の2をおさえた与党がどこに向かうのか、きちんと見ていく必要があると思うのです。
誰かの指摘を待たずとも、昭和初頭と世相がずいぶん似てきているような気がしてなりません。
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4月に読んだ2の前をようやく読めた。表面的な教科書的理解では決して判らない、真の歴史がわかる。江戸時代の豊かな農村の姿や、ヤマト王朝が百済を支援した理由とか、色々あったが、特に良かったのは大日本帝国憲法についてなかなか民主的であると断じている事だ。伊藤博文が強く主張した立憲精神により、天皇であっても憲法の下で運営されているという、96条改正を進める自民党に読ませる必要がある。大日本帝国憲法のせいで軍部が暴走したわけでは決して無く、要はそれを正しく運営できなかった国民の民度が低かったのである。そして現在においても民度は全く向上していないように見える。後書きにも96条改正や首長公選制について、天上で伊藤博文や大久保利通が「100年早いわ」と言っているだろうと書かれていた。
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結構難しかったが、東大日本史は一般的な日本史より流石にその裏をつく内容の解答が求められている。日本史、勉強しないといけないな。
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東大の問題を通して日本の歴史教科書が語っている日本史の内容について解説している。
すべて日本史の教科書に出ている内容で、その言葉の内容を読み飛ばさず理解していることが求められている。
教養として知っておきたい。
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歴史に興味を持ったり入り口を見つけるには、体系的な入門書ではなく、その奥に一歩踏み込んだ本を選ぶ方が魅力に気づけるかもしれない。その意味で本書は題名とは裏腹に入門に最適だと感じた。
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東大の日本史論述問題を、一般向けに解説する本。設問そのものの解説と解答するために必要な時代背景の知識を示しながら、その解答例を示すもの。
久しぶりに予備校の先生が書いた日本史の本を読んで、やっぱり面白いと思った。ブクログの記録によれば金谷先生の日本史の本を読んで面白いと思ったのが10年前くらいなので、古代から近代まで扱った日本史の本を読んだのはそれ以来かもしれない。おそらく日本史をちゃんとやっている人からすれば、予備校の先生の本なんて、と思うのかもしれないが、おれはそもそもが日本史苦手でどちらかと言えば好きではない人なので、これくらいで十分だし、ちょうど良いと思った。金谷先生の本のコメントでもおれは書いていたが、よくこういう流れとか背景とか分からないまま日本史を勉強したなあと思う。今となっては「不輸・不入の権」とか「今様」とか「五榜の掲示」とか、一問一答的な断片的な用語が頭の片隅に残るだけで、一体それが何の意味を持ってどういう背景のもとに生まれたものなのか、ひとつも分からないし、勉強した記憶もない。少なくともそういう所を理解しようとする姿勢を大切にしようとした記憶もなく(たぶんやろうと思っても無理だったのか、もしかするとちゃんと習ったし勉強したのかもしれないけど、単に左から右に流して終わってしまったのか、理解力がなかったのか、もはやおれにとっての日本史の勉強が何だったのかあんまりよく分からないけど)、こういう流れや背景を考えながら、それを説明するための知識を覚えていくというやり方は、結構面白いと思えるものなんだなあということが分かる。
あとは忘れないためのメモ。元寇で話題になる、武士の一騎打ちという戦い方について、自分を名乗るのは「正々堂々と敵に向かう武士の美徳のように言われますが、実のところ、恩賞を受けるために必要な作法」(p.108)であり、「名乗りは敵に対してではなく、味方に対して行ったものだった」(同)ということを知った。そもそも「実は、『蒙古襲来絵詞(絵巻)』は、成功を立てて恩賞を得たことを子孫に伝えるために、竹崎季長自身が描かせたもの」(p.103)ということも知らなかった。あとは「一揆」というものの捉え方が大きく変わった。「一揆とは本来、人々が自発的に形成した共同体や、そうした共同体による自由な運動のこと」(p.115)だそうで、「鎌倉後期から南北朝期にかけて、武家社会においても農民社会においても、従来の血縁的な結束が弱体化し、地縁的結合が形成される動きが見られました」(p.121)という時代の流れを示すキーワードとしての「一揆」というものを知った。というか鎌倉から室町へのこういう流れもおれは曖昧にして勉強していたのだと思った。大まかに古代=上から、中世=自分たちで、近世=また上から、という流れを押さえておけば、もっといろいろ理解しやすいし、覚えられたのかもしれない。中世について、「権力が分散し、上から押さえつける力がなかったからこそ、自立の気風が強まり、惣村などの自治組織が制されて、実力で要求を貫徹しようとする一揆が、さまざまな階層から幅広く行われたとも捉えられます。中世が実力社会であったことと、一元的な権力が存在しなかったこ���とは、裏表の関係にあった」(p.141)ということで、今度は「近世=自力解決が否定される時代」(p.140)というのが分かりやすかった。あとは戦国時代とか勉強していても訳が分からなかったが、少なくとも誰と誰が戦ったとかを覚えるためにも、その戦いがどういう意味を持ってたのかということを流れから理解したほうがぱり覚えられる気がする。例えば秀吉と家康が戦ったことは当然知ってるとして、そこからなぜそうなったのかと言えば秀吉にとって「家康はその後、天下統一の事業を阻む壁として立ちはだかります。特に、征夷大将軍の任官を不可能としたのが家康の存在」(p.147)だったからで、それはなぜかと言えば秀吉が家康に文句なしに勝ったとは言えなかった戦いがあり、それが「小牧・長久手の戦い」で、その戦いでは…、といった感じで考えていくような授業というか本というか、そういうものに高校時代に出会いたかった。「どんな歴史的事象にも必然性が伴う」(p.239)ということを明快に示すものが欲しかった(明快さを求めるのは良くないのかもしれないけど、でもやっぱり日本史苦手&嫌いなおれにとってはそれで十分)。あと全く関係ないけど「日本の歴史上で、天皇を超えよう、天皇に変わろうとしたのは、平将門しかいません。」(p.157)らしい。確かにそう言われてみればそうかも、と思った。それから江戸時代の対馬藩の努力、というのを初めて知った。「幕府は通信使を朝貢扱いし、一方で挑戦は対等な立場であると考えていましたので(古代の朝廷と新羅の関係を想起させます)、双方のメンツを立てるため対馬藩は再三にわたって国書の書き換えを行っています」(p.185)ということだったらしい。「『異民族』が将軍に入貢しているかのような演出」(同)が行われていたり、本音とタテマエの外交、というのが古代からちゃんと行われていたり、というのも、新たな発見だった。他の「ディープ」シリーズも読んでみたいと思った。(18/01/09)
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今まであまりきいたことがない歴史がいろいろと出てきて興味がわいてきます。既定の概念がちょこっとかわります。でも、歴史とはもともとそういう気構えで読むべきなんですよね。
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●読んで得たもの
東大の過去問を用いた東大日本史の魅力
東大日本史の射程は『あの戦争や私たちのデモクラシーにおよんでいる』
東大日本史は『この国の歴史を問いながら私たちのあり方をも問うている』
●感想
古代、中世、近世、近代の4章に分かれているが、いずれもディープ過ぎて、日本史の勉強を疎かにしてきた自分にとってすんなり入ってくる内容ではなかった。
かろうじて明治以降の近代のみ勉強になった。
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東大入試問題は良問の宝庫である。確かに難易度は極めて高いが日本史の出来事や制度の、あまり知られていない「側面」を考えてみよう、というものであって歴史が好きな人にとっても目から鱗の連続だ。本書は学校で習った事とは一味違う日本史再発見の旅となるだろう。詳細→
http://takeshi3017.chu.jp/file8/naiyou29801.html
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こんな問題が出題されるとは、流石東大とでもいいのか、単に試験だけにとどまらず、歴史を単に記憶させるだけにとどまらず、ある現象の原因等を問い質し、現在にまで鋭く切り込んでいく問題に、これこそが学問のあるべき姿のひとつなのであろう。
古代から近代までの日本史を流しているものの、その内容は軽くない。
はじめにの時点で、受験生の答案にダメ出しをして再出題をしている所などは、まさに問題が「生きている」証拠なのだろう。
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面白い。歴史はこうやって教えた方が理解が深まると思う。
何年に起こった何という出来事、ではなくこのような環境の変化でこういうことが起こり、それを●●と呼ぶ、とでも言うようなスタイル。歴史上の為政者の対応も現代のそれと比べて決して劣っておらず、寧ろ立派な軸を持っていたことを思い知らされる。歴史から学ぶ、である。