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初マシスンと思たら、「奇術師の密室」を読んでいた。
翻訳苦手やけど大変読み易かった記憶が。訳者の方が同じ。
他界されたのか…追いかけてみようと思う。
そしてこちらもスラスラ読ませていただいた。面白い…。
マシスンも追いかける。
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主人公のスコットが小さくなるにつれて、
人間としての存在価値といったものが変質して、
失われていく様が生々しい。
一日ごとに少しずつ小さくなるというチープな設定も、
巧みな心理描写がされているので、
質の良い思考実験のような印象を受けた。
安直なSFサスペンスではなく、
人間の存在意義とは何かと強く問いかけられる名著。
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これはSFではない。
ファンタジー系のミステリー。
主題としては面白いのだが、ぼくとしてはこの先の展開が欲しかった。
悪くないが、そんなに好きにはなれない。
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便宜上SF的と分類したが立派な哲学書。
途中明らかにされるトンでもな理由で体が正確に毎日縮み続ける
主人公が蜘蛛と生存をかけて闘ったり、
食料を求めて冒険をしたり、というのは舞台を借りているだけで
自分とは何もので、何のために生きているのか(死にたくないのか)
男、夫、父とは、を自問自答しながら実践の中で答えを出す物語。
よく言われる三大欲「食欲、性欲、睡眠欲」をストレートに織り交ぜながら
(物語上、睡眠欲は、安心や疲労とのバランスではあるが)
それを超えた生存の欲が何から生まれ、何で満たされるのかを
追い求め、社会との繋がりと個人のあり方を問う作品。
回想での外に向かってヒステリックな主人公に対して
現在の内に向かい見つめなおし煩悶する主人公の姿は
冗談抜きに、アクション・サスペンスのエンターテインメントでも
自らの存在を問う思考の重なりとしてのノヴェルでも、
どちらでもいける
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1日に3.6mmずつ縮んでいく男の最後の1週間。6日目には3.6㎜だった身長は翌朝には消える運命と思いきや?
SF的発想はそれだけ。あとは不条理劇です。
妻の身長を下回った時に夫の尊厳は失われ、娘の身長を下回った時に父親の尊厳が失われ、ドールハウスに暮らすようになると人間としての尊厳さえ失われる。殆ど文学の世界。格調高いです。
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初めて読んだリチャード・マシスン。
最初は、SFもの特有の不可思議や現実離れした空想の世界を楽しむ、ほんと思ってかかったが、それだけではなく考えさせる作品でした。
それは、人間が“存在する”ということの本質を「或る男が少しずつ縮んでいく」事象を題材に、抉りだそうとしたのではないか、と思う。存在している限りは、生存本能があり、水や食料への渇望があり、本能的に備え付けられた性があり、そして考えまいとしても考えてしまう思考がある。
そこにある限りは、ゼロには決してなくならない。人の目に見えなくなったとしても、それは人の規定する概念からはずれるだけのこと。
現実世界というのは、相対の世界であると。
身長以外はなにも変わらなくとも、あまりの分かりやすい変化がゆえに、人間としての尊厳を、周囲の人からも、そして自分自身もなくしてゆく。途中に、“親指トムの夫人”と出会い、一晩をともにすることでなくした尊厳を取り戻す。
相対の世界に縛られていることに普段ではなかなか気付かないもの。本の最後のシーン、ミクロの新世界でスコットははじめて何ものからも自由になったのかもしれない。
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人間が生きる理由、存在の尊厳、死に対する向き合い方を、虫よりも小さくなっていく主人公という荒唐無稽な設定で緻密に練り上げた物語を通じて考えさせられる、SFの名作。
景色や心理描写が細かい分、なかなか読むのが個人的に辛い面もありましたが、気付くと物語の世界に入り込んでいて、さすが巨匠って感じです。
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放射能を含む海霧を浴びて、身体が縮み続ける病気に冒された男の物語。人間の社会は、人間の身体のサイズを基準に成り立っている。家の大きさ、家電や家具や車、洋服や食器などの身の回りの物はもちろん、男女の恋愛や親子関係、さらには職業までもサイズの影響を免れない。
ただし、どこまで肉体は縮んでも、衣食住に関わる生理的欲求はもちろん、人を愛したり、恐怖や絶望を乗り越えて戦う勇気や知恵、希望といった最も人間らしい心は失われない。心はサイズを超越している。そして最後には、死を受け容れつつ、死を乗り越える気づきを得る。ここに著者の世界観、人生観、哲学が織り込まれている。
もし彼が「伸び続ける病気」に冒されたら、彼の運命はまったく
異なったものになっただろう。いわばガリバー。哲学的な気づきを
得る前に、恐れをなす小人の人類によって滅ぼされていたかも。
縮む方向に行ったのは不幸中の幸い。これは偶然。運命は偶然に左右される。運命を受け容れる所から哲学は生まれる。
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毎日縮み続けていく男の人話。SFの古典として読んでみたけど、名著と言うだけあって、単なるホラー、SFでは終わらないメッセージが入っているのが伝わってくる。縮み続けて身長がゼロ以下になった時に人間はどうなるのか?
何となく展開は読めるけど、
クライマックスまで話のもって行き方や主人公の気持ちのもって行き方はうまいなぁという感じ。
ただ身長が小さくなった主人公が地下室をドタバタ上がり下りするシーンがちょっと多すぎて途中で食傷気味になった。
その辺のテンポは少し古いのかもねぇ。
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タイトル通りの話。どんどんどんどん縮んでゆくスコットの、過去と現在が互い違いに描かれて、過去の絶望感とかやり切れなさとか焦燥と、現在の生きるための奮闘ぶりに、なんかもう応援せざるを得ない。「なんとかならないのか?!」とこっちまでざわざわする。
このまま終わるかと思いきや、ボロボロになりにらも戦い抜いて、今後もまだ前を向いて生きようとするスコットに涙が出そうになる。元気を貰えた。
ちなみに私は縮んでもいないけど蜘蛛が死ぬほど苦手なので、彼みたいな環境にいたら発狂しそうです。
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蜘蛛と戦う、発情する、怒号を飛ばす。基本この三つのループ。格ゲーで角に追いやってからのハメ技をずっと見続けてる感覚。アントマンを見た後にあー縮んで見たいって大多数の男が透明人間になりたいのと同じ理由で自分自身考えていたが、その考えを改めるきっかけになった一冊。
退屈なものをグニョーンと引き伸ばして俺みたいなやつでも読みきらせる力はすごいと思う。海外ドラマのシーズン5的な力を感じるドラ
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"2013年6月にお亡くなりになった著者、リチャード・マシスンさんの代表作の一つ。
ジャンルでいえばSF、冒険談となるのだろう。この本には、人生とは何か?生きることの意味が問いかけられている。ある男の生きざまとして読むこともできる。縮みゆく身体も蜘蛛もスズメも飢えも比喩としてとらえることもできて、あらゆる困難にいかに立ち向かっていったかという物語として読める。最後は望む結果とならないかもしれないが、それでも生きぬくという力強いメッセージが込められていると感じた。
リチャード・マシスンさんがいなければ、「トワイライト・ゾーン(邦題はミステリー・ゾーン)」というテレビ番組もこれほどのジャンルの幅をもった面白いテレビシリーズになっていないのでしょう。
ご冥福をお祈りします。"