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見出し抜き書き。
第一章
Case 1「健一」
「津波でやられてんなって思った。冷却装置もヤバい。これは爆発するでしょ!」
「一般的に爆発したんだなって事は全部ないって事でしょ。リアクタービルとか」
「四号機、三号機、二号機も爆発するでしょ!」「ニュースで何いってるかわからないけど。被爆する被爆するって言ってるけど、もう被爆してるって」
「原発がある街の町長は東電とつながってると思う」
「へえそうなんだって。だって爆発すると思ってたから」
「うちらは原発で仕事してきたじゃん。ワケわからん奴が来てやるより原発員が原発の仕事しないでどうすんだって。でも正直怖かった」
「福島原発に戻る事は母親には言ってない。心配するから。友達には泣かれた。カッコつけた事言うつもりはない。実際凄く怖いべ」
「三号機から湯気が立ってるし。メルトダウンしてるべ。だから着ているタイベックにメルトダウンって落書きした(笑)」
「廃炉にするって政府は張り切って言ってるけど。敷地は埋まってるからね。原発の。何十年後、何百年後の話してんだよって。廃炉にするなんて出来ないべ」
「政府にははっきりして欲しいっすね」
「素人目でみても無理でしょ」
「“防護服って暑いねえ”だって。俺らが体張ってんのにムカついたべ」
「俺の計算だと18(ミリシーベルト)は食ってんすけど測ったら13とかいわれて。信用できねえべ」
第二章
Case 2「雄二」「竜夫」
「ああ、俺、ああいうふうに死ぬんだな…」
「原発はもう終わりだ。爆発すんじゃねえか?メルトダウンするべ」
「あれ?今の原発が爆発したじゃね?」「メルトダウンだべ。早く逃げた方がいいかんね」
「悪いけど俺、逃げっかんね」「色んな会社から現場、今仕事あるぞって。誰が行くかって感じですよね(苦笑)」
「チェルノブイリって俺知らなかったんですよ。後から知って。あのくらいの事故だって聞いて。それ、初めから分かってた事なんじゃねえの?って。あの頑丈な福島原発が水素爆発したらそうなるんじゃねえのって思いますよね」
「復旧現場に呼ばれ一日線量1ミリ、食うって言われた。…それでも1ミリか」
「早く出せ!殺す気か!怒号が飛び交っていた」
「避難は半径何メートルって計算がおかしい。よくわからないべ。基準はどれだけ汚染されてるかじゃないの?」
第三章 地元
Case 「健一」
「タイマンはギリギリあった」
「俺、武勇伝ないす。暴走族のぼこりハンパねえなって」
Case 「雄二」
俺にとっての地元
第四章 現在[座談会]
「臨界は電話で初めて聞いたんですけど、まず俺らに知らせるのが筋でしょ」
「色々な意見はあるけど、違和感はありますよ。東京の電力作ってるの俺らじゃないかって」
「あの位置、大した線量食わないし。でも俺らが特別だなんて思ってません」
「昼間通ってると哀しくなるよ、天気もいいのに」
「環境は悪くなってますよ」
「全て変わりました。でも家がなくなったのが一番かな」
「うちら使い捨てなんだよ」「東電の社員も若い人は頑張ってる」
「もし東京に原発があって爆発したら凄い事になってるじゃないすか。東北は日本じゃ低い扱いなんすかね。世田谷でマイクロシーベルトで大騒ぎしてるじゃないすか。じゃ、相馬測れって感じなんすよ」
「原発で金もらって地元で暮らして。原発のせいで地元ダメになって。原発怖い、地元戻れない。地元いいや。そうじゃねえだろ。一でも二でも何かなるってそう思うしかないだろ」
第五章 偽りの収束
「収束?俺ら来週から仕事しなくていいのか(笑)」
「大体一年も経たないうちに収まる訳ないって」「作業員の皆を小馬鹿にしてますよ。夏は暑くて冬は死ぬほど寒いですからね。そんなんで、これから何年やってけるかわかんないけど、そんな事言われっとやる気なくなるって」
「背広姿でマスクなしで。でもAPD、バンバン鳴って」
「福島のナンバー怖いとか、福島のモノ除染されてるとか」
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タイトルの印象とは違い、淡々と作業員の若者の会話が記載されている。
現場どのようなことが起きてるかがわかる。
あと、地元が住めなくなることというのがどういうことなのかというのが読んでて何回も頭を過った。
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震災の前から福島原発で働く作業員達の生の声。
原発事故に対して全く無力な僕は、ただ読むことしかできない。
著者のあとがきにあるように、感謝と畏敬の念を、そして祈りを。
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原発事故処理は誰がどんな風に行なっているのか?
マスメディアは多くを伝えることはできない。
取材に入れないということもあるし、それ以外にもいろんな理由があるんだろう。ここでそれを言うつもりはない。
建物を作る時にゼネコンの社員が現場でコンクリート流すわけではないのと同様に、
東電社員が建屋の中に入って作業をすることは少ないんだろう。
地元の若い労働力が見た事故処理の現場。そしてなぜそこで働いているのか。
現場への説明は後回しになる苛立ちや、少しずつ被爆しているという感覚のない現実、自らも家に帰れない被災者であるということ。
彼らの率直な言葉は東電や政府には届かないんだろう。
あと書きに「日本の国土が奪われてしまった。」という言葉がある。
北方領土問題も重要だけれども、
国内で失った土地はなんとか今の世代で取り戻せないだろうか。
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なかなか報道で出てこない原発作業員の本音が聞ける。最初は怖くて福島から去った人も思い返して事故処理作業に従事している。放射線への不安や東電や政府への対応の不満を持ちつつも、生活のため、あるいは誰かがやらねばという一種の義侠心から黙々と作業を行う人々。
おそらく、なるべく生の声を伝えようという意図からインタビューを口語に近い形で起こしているため、最初は読みづらいがだんだん引き込まれていく。
意外だったのは東京消防庁や自衛隊の応援、特に後者について、現場の作業員はあまり快く思っていなかったということ。作業員から見て大して意味のないことをパフォーマンスとして行っていると感じられたようだ。
原発問題に関心がある人は推進、反対、どちらの立場であっても必ず目を通してほしい一冊。
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自分が知りたかった原発作業員のリアリティ、現実感覚はこういうものだった、と率直に思う
事故後に彼らを動かした義務感が、冬になり「食っていくため」とドライに変化していったこと。年齢や立場(下請けの下請けの…)、待遇を考えれば彼らが「(メディアが望むような)英雄らしい英雄」を演じ(られ)ない理由は想像に難くない。
若いからこそ将来のことも考える。原発作業員のプライドがあるからこそ「使い捨て」の立場に失望する。当事者だからこそ憤る。
「人間を人間たらしめるのは義務感であり、義務を遂行することによって人としての崇高さが証明できるのだと思う。」(172)
「あとがき」に書かれたこの一文、「義務」という言葉が全てを物語っていると思う。
作業員たちは自分なりにその「義務感」の中身を語っている。しかし同時に、そうした言葉に表われない「義務感」の深み、広がりが見えてくる。彼らを突き動かす「義務感」を、単純に言葉の上で理解してはいけない。「人間を人間たらしめる義務感」とはそのようなものだろう。
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何も言えない。思うことはあっても何も言えない。
ただ読んで知ったことは間違いじゃなかったと思う。そして多くの人に知って欲しいと思った。
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現場作業員ならではの専門用語(スラングに近い部分もある)が出てくるが、とても読みやすかった。2時間あれば読める内容。座談会はやや散漫な印象もあったが、それぞれの体験を語る前半部は臨場感があったように思う。
なかなか知ることの出来ない原発事故処理の最前線で働く若者たちの言葉。数年後、民俗史や民話として貴重な資料になるかもしれない。こういう本はもっと残して欲しいと感じた。
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現場作業員からの聞き取りをもとにしたもの。
しゃべり言葉を会話文のまま載せていいるので
わかりにくい部分もある。
実際には、福島第一原発は、いまだ収束したとはいえない
しかし、TV等のマスコミに取り上げられることは、最近ではほとんどない。
今も、現地で働いている人達がいる
ハイパーレスキュー隊員たちだけが、
現地で働いていたわけではない
今も、名も記録されない英雄たちが仕事をしているのだろう
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東電への感想、原発について、地元福島への思いが述べられている。現場の作業員が語っているだけに重みがある。