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金融・経済史に疎い私にとっては非常に「お勉強」になりました。
書かれていることは「筆者個人の見解」としつこいくらい断られていますが、あまりバイアスのない見解なのではないかと感じました。
そう、極めて「教科書的」のため「お勉強」になります。
※他の方がレビューに書かれているとおり「通貨はその国の総合力を表す」という表現には首を捻りましたが、「総合力」とは「国力」をさらにぼかした表現だなーと思いました。
おそらくGDPのような定量的材料ではなく政策運営とか定性的材料も含めているのかと。
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「資金の自由な移動」「為替の安定」「国内金融政策の自由度確保」の三つを同時に満たすことは困難であることを、国際金融のトリレンマと言うらしい。ユーロ統合とギリシャ破綻を見るとよく分かる。本書では、従来個別に議論されてきた国際金融と国内経済を、地域通貨(ドル・ユーロ・円・元)別に、課題と見通しも含めた俯瞰的解説を行っている。経済に関わるすべてのひとは、読んで損のない1冊だと思う。
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2010年刊。著者小林は住宅金融支援機構住宅総合調査室主席研究員、中林は元東京大学公共政策大学院教授からフリー。◆サブプライム危機を経て混沌とする世界経済。金融面では立ち直りまで道半ばの米国、ギリシャなどソブリンリスクが顕在化・拡大化し通貨統合の負が顕わになりつつある欧州、経済大国化の道を歩みつつも国内に問題山積の中国+中国の巨大化に翻弄される東アジア諸国、そして失われた20年のデフレ傾向をそのままにする日本。これら4極のマクロ経済情勢について、WWⅡ後から現代までの道程を解説。◇経済的なロジックが詳細。
◆各国の政策をやや未整理のままぶち込むきらいがあり、判りにくい。また、経済学の基礎的な論理関係を何の衒いもなく叙述するので、躓きながら読み進めざるをえなかった。反面、各国の経済政策の変遷に関する極めて密度の濃い叙述に加え、経済指標の数値もふんだんに盛り込まれ、細かな部分もおろそかにできない書だ。◆現行の国際システムの不安定は規制緩和・資本・金融市場の自由化、貿易の自由化によるとはスティングリッツ教授の言。◇日本の人口減の問題は国債管理政策における時限爆弾。人口減が総供給以上に総需要を減らすならデフレで推移
◇グローバルな経済環境は日米双方に等しく影響があるのに、95年以降、日米の物価上昇率の差は殆どの年で2~4%。これはサプライサイドの要因だけで説明できるものではない、とのこと。◇日銀は、金融システム安定化の面は兎も角、量的緩和が景気浮揚・デフレ抑制への効果について懐疑的(それはなぜ?、が知りたいが…)。
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通貨に焦点を当て世界経済について書かれたもの。基軸通貨とは何か、ドルがいかにして基軸通貨として国際金融で支配的地位を得るに至ったのか、そして、ユーロ、円、人民元が国際通貨として、将来、部分的にでも基軸通貨としての機能を分担することはありうるのか、などについて分析している。内容がやや難しく、十分に理解できない箇所があった。印象的な箇所を記す。
「アメリカが経常収支の赤字を縮小するということは、世界が依存してきたアメリカの個人消費が減少することを意味する。それを埋めるためには、日本や中国が内需を拡大するしかない。日本は、少子高齢化の進展から、ますます安定志向になり、個人金融資産が銀行預金として固定化してしまっている。資金の退蔵をいかに回避して、お金が回る仕組みを再構築するかが課題である。世界が経済を閉鎖させる方向に動くと、それは世界貿易の縮小を招き、望ましい国際分業が阻害されて、資源の適正な配分を歪めてしまう」
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[関連リンク]
金融日記:通貨で読み解く世界経済―ドル、ユーロ、人民元、そして円― 小林正宏、中林伸一: http://blog.livedoor.jp/kazu_fujisawa/archives/51755512.html