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アニマルスピリットの存在がケインズ経済学の中に触れられていたということに驚きました。経済を理解することは、人の本性・アニマルスピリットの影響を理解することでもあると。その5つの視点は、安心、公平さ、腐敗と背信、貨幣錯覚、そして物語。私は特に、安心に取りつかれる人間の心理と、貨幣錯覚、そして人生の物語と絡み合っているという見方が、画期的で、人と経済の関係を新しい目で見るきっかけになっています。
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タイトルでもある「アニマルスピリット」という言葉は、書中に何度も出てくるが、訳者によればケインズの「一般理論」において出てくる言葉であるという。元々の邦訳では「血気」と訳されていたようであるが、本書においては、経済的合理性だけで行動することができない人間の意味で使われているため、言葉の持つ印象と乖離することからそのまま、「アニマルスピリット」としてそのまま引用されている。
さて、そのアニマルスピリットであるが、基本的に5つに分類されている。
1.安心
2. 公平さ
3.腐敗と背信
4. 貨幣錯覚
5. 物語
こうした要素が人々の合理的な判断を限定的なものにし、ときに非合理的な行動をもたらすという。
本書は、著者が書中でも述べているようにマクロ経済学の本であり、行動経済学が主たるテーマとして書かれているわけではない。したがって、R/セイラーのような、実験に基づく人々の非合理的行動のケーススタディはあまりなく、非合理行動をより一般化したものである。それだけに抽象的で難解である。それだけに、読者が投資や実務などの実社会での活動にここで書かれていることを直接役立てるようなことは期待すべきではない、極めて理論的な内容である。
基本的は、フィリップス曲線やインフレなどのマクロ経済の基礎知識がないと理解が難しいであろう。
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タイトルがわかりやすくてよい。
行動経済学の核となっている要素を一言で言い表している。
旧来の経済学が合理的な人間を想定して組み立てられているのに対し、現実にはアニマルスピリットを考慮せずには成立しないと言うこと。
安心、公平さ、腐敗と配信、貨幣錯覚、物語。
個人的には、なかでも公平さに関心を寄せられた。