紙の本
これも、安倍内閣の唱える“再チャレンジ”かな。但し成否はまだ不明
2007/04/24 14:58
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:安之助 - この投稿者のレビュー一覧を見る
瀬川晶司−著者はある限られた世界の中では、相当に有名な存在である。半面、そのサークルに興味を持たない人間にとっては、「誰、それ?」といわれるだろう。著者は“ペーペー棋士”なのだから。
プロ棋士と認められるのは四段以上。そのためには奨励会に入り昇段するべく研鑽を積むが、26歳までに四段にならなければ、退会という年齢制限がある。戦後60年間、そうだった。ところが、著者が門戸を開かせた。いちどは年齢の壁で退会を余儀なくされたのが、退会後、大学に行き、サラリーマンになった。そこで誘われて再び駒を手に取ったら、かつてより“強く”なっていた。アマ王将の参加枠でプロ棋戦に参加して、対プロ27戦17勝という立派な成績。そこでプロ入り嘆願書を提出して、“編入試験”を受けさせてもらうことになり、これに合格。晴れてプロになった。著者の場合は戦後初(61年ぶり)ということなので前例はないも同然。将棋連盟(理事会)はどのように施行するか悩んだようだが、どうせならこの際、著者だけを特例にするのではなく、後に続く人のため、奨励会経由でないバイパスによるプロ入りの基準を定めたようである。それをクリアすれば、極端にいえば還暦を迎えた人でも、プロ入りできる。ただ、著者の言によれば、ハードルはかなり高いらしい。
さて、本書でいう「後手」は、奨励会経由で普通にプロになるのと比べて、著者は少なくても9年ほどプロになるのが遅れた経験である。停滞することなく10代でプロ入りした人と比べれば、さらに差は開く。コンピュータとの対局で話題(勝利)になった渡辺明竜王は20歳でその座についている。
著者は後手は必ずしも必敗にあらずというが、先手のほうの分がいいことも認めている。社会人としてサラリーマンを経験したのはプラスで、“将棋バカ”にはならないだろうが、それが参考になるものかどうか。
第一、プロ入りして、まだ2年足らずだ。前述の渡辺竜王が九段昇格に要した5年7カ月が史上最速である。他の棋士はそれ以上かかっているか、またはまだたどり着いていない。最悪の場合は、四段のまま低迷して、ふるいにかけられる。
そんな著者に「生き方」を説く資格はあるだろうか。まだ、早計なのではないだろうか。5年後に著者が活躍していれば「“後手”でも日が当たる」と主張できようが、“並み”の棋士で埋没していたら、この本に意味がないことになるだろう。
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【頑張るオヤジ、すがすがしい】
詰め将棋を一問解いたことによって、どのくらい自分の力がつくかというと、それはほとんどあるかないかのプラスにしかならないだろう。
けれども小さいことの一つ一つを投げ出さないでやっていくことが、結局はプロとしての本当の実力を積み上げていくことになる。
■プロとはどうあるべきか、に関し自らの経験をもとに記述。
■プロは疲れた様子を見せない!といった箇所が印象に残った。
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診断士受験生の友人から紹介された一冊。
偶然にも『シリコンバレーから将棋を見る-羽生善治と現代』に続き、将棋関係の本。
著者は、年齢制限により奨励会から退会したものの、その後、アマチュアとして活躍し、プロ入り嘆願書を書いて61年ぶりの編入試験までこぎつけ、35歳でついにプロとなった。
本書では、その著者の人生観や将棋への接し方が連ねられている。
自分の人生を遅咲きの「後手」の生き方とし、後手ゆえの「強さ」について触れた記述ももちろんある。
副題には、“「先手」にはない夢を実現する力”とあるように、「先手」の生き方と、自分の生き方を比較をしている記述もある。
でも、読み進めてみると、「先手」を意識・比較した上での「後手」についての記述は、意外に少ない。第一章と、最後に収録されている、渡辺明棋士(先手の生き方の代表格)との対談だけではないだろうか。
では、残りの章には何が書いてあるのだろうか。
・ 将棋だけではなく、仕事やスポーツや勉強でも共通の、「極める」「達成する」ために必要な強さ・意志・心構えについて。
・ 愛する将棋を一人でも多くの人に広めることを使命とした、プロとしての心構えについて。
この2点について、飾らない言葉で、真摯に、でも、力強く書かれている。
これは、自己啓発書にとても近い内容といえる。
そういう意味では、将棋がわからない私でも、深く頷ける内容ばかりだった。言葉を返せば、共感するが、真新しさはないといえる。
けれども、著者は、壮絶に体験を積んだ結果、それらのことに達観したのだと思う。
私は、同じことを頭で理解し、いくばくかを実際に体験しているが、著者の達観には程遠い。
だからこそ、著者の文章は、真摯で力強く、語りかける力があるのではないだろうか。
それから、もう一つ。
本書を読んで、形式知化した考え方がある。「信用」という考え方だ。
・「信用」が絶大な棋士であれば、相手が勝手に「この相手では、粘っても逆転の見込みはない」などと諦めが早くなることがある。
・「信用」がないと、こちらが優勢でも「この相手ならきっと間違えるだろう」などと頑張られて逆転される可能性が増えることがある。
だから、棋士は、棋士間の信用を勝ち取っていく必要があるのだ。
これ、仕事の上でも見かけるなぁ。
「信用」という言葉を使えると、「悔しいけど、今は信用を積み重ねていくしかない、がんばろう」とか、感情のコントロールに役立ちそうな気がする。
ちなみに、この「信用」というフレーズは、将棋界では非常に有名なフレーズらしいデス。
読んだ日: 8月14日
読んだ場所: 平塚→東京の東海道線内
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将棋棋士のプロ養成機関・奨励会に入会するものの、26歳で年齢
制限のため退会。その後、大学進学し一般企業に就職。アマ棋士
として活躍し、35歳にしてプロ編入試験に合格した著者。
将棋の普及・発展のための提言は、社会人経験に立脚した現実的・
具体的なもので、大変感心した。
将棋は高齢になっても出来る趣味だし、頭も手先も使ってボケ防止
にも良い。詰め将棋なら文庫一冊で何時間も楽しめて手軽。
パソコンの将棋ゲームを久々にやってみようかと思った。
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[ 内容 ]
何歳でもプロは目指せる!
将棋界に革命を起こした「後手番」棋士が語る。
将棋に先手と後手があるように、人生にも先手と後手がある。
奨励会を年齢制限で退会し、アマチュアとして夢を追いかけた私はいわば「後手番」の人間。
だが「後手」にも先手にない強みがある!
[ 目次 ]
第1章 「後手」にも強さがある
第2章 「プロ」には誰でもなれる
第3章 プロの執念
第4章 トップに立つために
第5章 プロとアマチュア
第6章 将棋の未来
対談 「後手番」棋士と二十歳で頂点に立った「先手番」天才棋士が語る「本物のプロ」とは?(瀬川晶司×渡辺明)
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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可もなく、不可もなく。
他の棋士が書いた本に比べると、著者の哲学が感じられない。
これからプロとして、もまれれば変わるか?
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瀬川晶司四段(当時)の、ちょっと熱が冷めた頃の著書。
他の本が、棋士になるまでの “エピソード0” だとしたら、
こちらは、棋士となってからの心持ちやこれからに向けた気概などが感じられて、ちょっと趣きが変わって来ている印象。
普及に向けての活動の行は、まったく別だが個人的にマイナースポーツを行っている自分としては、まったく同意見だ。
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35歳で特例の試験を突破してプロの将棋棋士になった人の話。
この本を読んでプロとは、何だろうかと改めて考えさせられた。プロとは、それにすべての時間を捧げることができる人かもしれない。それができない以上、アマチュアと言われても仕方ないと思った。