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正子のプライドの高には恐れ入ります。(蔦代の世渡りの上手さも。)着物描写が秀逸。着物が着たくなる一冊。
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親孝行で信心深く、男をたぶらかし続ける悪女・蔦代がすごい。この矛盾を一人の女の中におさめた有吉佐和子のすごさがわかります。
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こういう女って、確かにいるな…
読んでいるうちに、蔦代のことがオゾましく、どんどん不気味に思えてくる。
この話の主人公は、むしろ正子よりも蔦代なのかもしれない。
蔦代は、「正子には常に劣っている」という劣等感が、おそらく自分でも気付かぬうちに、正子への足手まといを、自分に演じさせている。
しかし、蔦代の腹黒い感情など、作品には全く登場しない。
むしろ、限りなく純粋で、情に厚そうなのである。
しかしこの蔦代という女、自分の欲望に限りなく純粋がゆえ、そのためには手段を選ばない。
それが悪であることにすら、気付かない。
女の純粋こそ最も始末が悪く、残酷なのだ。
…と、思った。
正子は最後、とうとう蔦代と絶交する。
正子にとって蔦代は、くされ縁の、古い恋人の様なモノだったのではないか。絶交して開放されたあとの正子は、実に清々しいものである。
女同士の関係の描き方が、とても秀逸な作品。
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香華に続いて外見は華やかだが、苦界で懸命にいきる女が主役。一本気な正子の視点でかかれており、蔦代の女としてのずるさはちらちらとしかみえず、それが不気味。
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女の子が、身近な人や環境の影響と、自分自身の成長の織り成しによって、女になり女性なり生きていく、そこで描かれる美しい主人公たちと、美しいところで終わらず、醜いところまで隠さず見つめる有吉佐和子の筆が好き。「芝桜」は華やかな花柳界の成り立ち、人間VS人間の心の綾を深く観察していてなんとも素晴らしいが、可愛い女の子が二人、綺麗な着物を着て歩いたりしゃべったり踊ったりしている姿が思い浮かび、それだけで可憐で華麗で楽しかった。「そろそろ春だから今年はもっと花を植えようね」という蔦代の言葉がなぜか耳に残る。
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上下巻、立ち止まることのない、怒涛の読書。正子の気高さもなかなかだが、蔦代の不気味さは並々ならぬもの。得体の知れない生物を見ているような不安定な気持ち悪さがあった。<上下巻>
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大正から昭和初期にかけて、激動の時代をかけめぐった芸者の葛藤が感じられられます。
花柳界の厳しさを知りました。
華やかな表。
金と自由に縛られる裏。
こんな世界を生き抜く女性の身のこなし方がとても勉強になりました。
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上下巻。
いやいや。予想外におもしろかった。
「はいからさんが通る」あたりの時代ですね。もっと後までいくけど。
もうちょっとドロドロさを足すと、とっても昼ドラ向きだと思う。花柳界を生きた二人の女の話。
蔦代みたいな女いるわ〜!絶対どこかで出会った気がするもの。
蔦代が本当に正子のことを好きか、本当は嫌いか、読んだ人によって分かれそう。私は本当に好きではある、と思う。
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「悪女について」がおもしろかったので、同じ作者の花柳界を題材にしたこの作品も読んでみた。これもまたとてもおもしろかった。上下巻のボリュームだけど、一気に読んでしまった。 ジャーナリスティックな視点と、エンターテイメントとしての完成度の高さが有吉作品の魅力かな。
この同じストーリーを䔍代目線で書いたものも読んでみたい。
嘘をつくのがうまい人は、きっとソレ(嘘)を、本当だと思っているんだろうな。自分で本当だと信じているから他人に対しても説得力があり、信じさせてしまうんだろう。䔍代の嘘は、本人の中ではすでに「本当」にねつ造されていたんだと思う。しかし、こんな人が身近にいたら許せないだろうなぁ…。(2009 / Feb)
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蔦代が怖い。w
真面目に真面目に、まっすぐに生きていく正子の威を借りて
すばしこくちゃっかり愛嬌たっぷりに生きていく蔦代。
何度も何度も蔦代との縁を断ち切ろうとする正子をそれでも
丸めこんで自分のいいようにいいように持っていこうとする蔦代を
結局下巻に至るまで許せなかったです……
蔦代のようにちゃっかり楽しく生きたいものだと思いつつ、
やっぱりまじめにしか生きられない正子タイプなぅちでした。
序段の
蔦代が芝桜の下に金魚の死体を埋めるエピソードが
下巻の最後の最後まで脈々と効いてるのが実感できました。
主題がここまでブレずに、読んでる間に主題を忘れずに、
読めた作品は初めてでした。
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これは違うタイプの女性の生き方を書いたのだろうか
それとも友情を描いたものなのでしょうか
ゆっくりと進むスピードに途中何度も
投げ出しそうになりました
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対照的な2人の芸者を描いた物語。
蔦代の行動の意図が分からず、
先が気になって気になって、
ページをめくる手が止まらなかった。
舞台である花柳界の風習も知れば知るほどおもしろく、
とても魅力的で物語の題材にぴったりな設定だと思った。
有吉佐和子の書く文章はしなやかで、言葉遣いもとっても上品。
読んでいて本当にうっとりしてしまう。
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題名からして蔦代が主人公なんでしょうか。
大河なのにひとりひとりの芸者のこころの襞に触れることができて、しかも花柳界での粋な遊び方というものも学び、引き込まれてしまった。
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冒頭から二人の少女の対比が鮮やか。ぐいぐいと引き込まれます。
時代が違っても、まるで息遣いや、頬の産毛とかを感じさせるかのような精密な人物描写。一気に下巻へ
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津川家の正子と蔦代は対照的な性格ながらも、看板芸者と目されていた。 絢爛たる花柳界を舞台に二人の芸者の生き様を描く。
途中までは正子の引き立て役である蔦代が不憫にも感じるのですが、中盤からはどんどん蔦代の存在感が増してきて、不気味に感じます。
正子視点なので、基本的には彼女に感情移入しているのですが、上巻の最後では蔦代に戦慄しながらも、ちょっと返り咲いた蔦代にあっぱれと言ってあげたい。