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前作が良かったので第2弾をすぐ読もうと思い、「新潮」6月号で読んだ.東京での生活を切り上げて北海道に移り住んだ撫養佳子が郵便配達の仕事を始めた.小さな町の中は老人がほとんどだが、寺富野和彦は彼女の琴線に触れる唯一の男性だ.二人の出会いから話しが展開するが、小さな町の佇まいを的確に描写していて、その風景が目に浮かぶようだ.フランシスはある種の機械だが、それを中心に二人の関係が揺れ動く.平凡な中にそれぞれの心のうちが小さな波風を立てる.読後感が爽快だった.
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北海道のしんとした空気を思わせる文章が好き。
この感じで都市を舞台にすると、どんな雰囲気なのかも
読んでみたいと思った。
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タッチはなんだか、無駄な形容を多用する村上春樹に似ているかな?
読後の感想は、ふ~ん...。
こんな感じの漂う感、北海道、小説としては無くもないかな。
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北海道を舞台に描かれる大人の恋愛小説。
一作目同様キレイな世界観で、読んでいてなんとも心地いい。
印象的なのは、「音」の描かれ方。「音」が胸に残る。
なんだろう、このキレイさ、この心地よさ。
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『火山のふもとで』がよかったのとかわいらしい犬の表紙に惹かれて手に取る。結局、犬は出てこず、北海道犬の鼻先を思い出すシーンからのデザインだった。表現も描く世界も美しい。
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『火山のふもとで』で鮮烈なデビューを果たした松家仁之待望の第二作。期待にたがわぬ出来映え、といいたいところなのだが、前作に比べると、よくできた小品という印象が強い。相変わらず叙述の技巧は冴えわたり、読む快感を堪能できる仕上がりなのだが、前作がオードブルからはじまってデザートに至るフルコースだとしたら、今回の作品はア・ラ・カルトの一品といったところか。しかし、よりいっそう深みを増したその味わいは賞味する価値あり。
東京で会社勤めをしていた桂子は、思うところがあって父の仕事の関係で中学三年間を過ごした北海道に越してきた。人口八百人ほどの小村で非正規雇用の郵便局員としてはたらく。仕事は郵便物の配達だ。ある日、小包を届けた先で、「音」を聴いてみないかと誘われる。寺富野和彦は真空管アンプの製作ではマニアのあいだで知られており、小包の中身はカートリッジだった。
気ままな独り居を楽しむ二人が付き合うようになるのは自然のなりゆきだった。桂子は川岸に建つ和彦の一軒家を訪ねるようになり、ときには泊まることも。二人はそこで和彦の集めた「音」を聴き、手作りの料理を食べ、愛しあう。しかし、せまい村のこと、二人の交際は人の口の端に上るようになり、桂子も和彦のまわりに気になることが増える。そんなある日、事件が起きる。
フランシスとは誰か。それは小説のはじめの方で明かされる物語の鍵を握る大事な名前だ。この話はフランシスにはじまり、フランシスで終わる。前作では浅間山麓の高原地帯が大事な背景として物語を彩っていたが、今回は北海道東部が舞台。湧別川が森を切り裂いて流れる、もともとは原生林であった土地を開拓民が切り拓いたのが安地内村。川にかかる橋を渡り、林道をなおも進んだ川沿いの一軒家に一人暮らす和彦は何をしている男なのか。
北海道の小さな村の四季の移ろいが、結晶のまま降ってくる雪や、エゾシカやヒグマ、ヤマメやアメマスといった獣や魚の生態を通して清冽に浮かび上がる。透明感のある文章は、この作家の持ち味である。不必要なものは絶対に持ちこまない極端なまでに削ぎ落とされた小説空間のなかに、選び抜かれたものだけが座を占める。真空管アンプを中心にしたオーディオシステム、黒曜石の石斧、冷凍でないオックステールで作ったコムタンクッパ。
冒頭、水路を流される人の挿話が唐突に提示される。水路のなかに取りつけられた鉄柵に引っかかって止まったそれの独白のように誰とも知れぬ話者がつぶやく。「ここから先へはもう進めない。進まなくていい」と。おそらく、これが主題提示部にあたるのだろう。
東京から来た女はもちろん、車で一時間ほどの距離にある町から来た男も、この村へ流れ着いた漂着物という点では同じである。過去を捨ててはきたが、ここを終の棲家とするというほどの覚悟はない。だから、身の回りには必要最小限のものしか置かない。動物が生きるためにしなければならないのは食べることと交わること。流れに乗って運ばれてきた魚が柵に行方を遮られたように、二人はただたゆたっていた。
限られた数の人物しか登場しない小説の中で、特別な役割を担う御法川さんという老婦人がいる。目が見えないかわりに、この人には桂子自身も気づいていない心のなかが読める。その言葉を借りれば、桂子は冬眠中に起こされた動物のようなものらしい。冬眠の途中に起こされたシマリスは覚めてもやがて死んでしまう。御法川さんは言う。「無理をして起きあがろうとは絶対にしないこと。どんなに大きな音がしても、どんなに揺さぶられても。だまされてはだめ。あたらしいほんとうの音をきくようにこころがけなさい」。
三十過ぎの女が、男と東京の生活に嫌気がさし、北海道でひとり暮らしをはじめた。それは冬眠に入ったようなものだ。冬眠中に「音」を聞かされた女は一度目覚めてしまう。が、それは「ほんとうの音」なのかどうか。北海道の大自然のなかにひっそりと営まれる「死と再生」のドラマ。手垢にまみれた主題を、今日的な解釈によって洗い出し、磨きぬかれた旋律が、選りすぐりの楽器と楽人によって奏でられた室内楽のような小説だ。その官能的とさえいえる響きに、読者は五感を研ぎ澄ませて対峙しなければなるまい。
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沈むフランシスというどこか不安な気持ちにさせるタイトルと、
同じく不穏な空気をはらむ冒頭のシーン。
けれど読み始めてみれば淡々と静かに物語りは進んでいく。
広大な北海道の道東地方らしい地域が舞台になっていて、
そこの空気がうまく伝わってくる文章だった。
とくに秋から冬にかけての描写はとてもよかった。
主人公の二人もどこか色彩がぬけたような生活観を感じさせない
人物設定のせいか、静かな北海道の景色にしっくりと溶け込んでいた。
現実逃避をそうとは自分にも感じさせないように日々の細かな働きに手を抜かない二人。
そんな二人がゆっくり現実に向きあっていく様子がとてもよかった。
そして気になったのが長谷川の夫がなにを送りつけてきたのか。
なにかを録音したものではないかと思うけど、その内容を思うとぞわりと怖い。
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北海道東部を舞台にした大人の恋愛小説。
東京の商社を退職し北海道で郵便配達員となった桂子。
川のほとりに一人住んでいる和彦と出会い、二人は恋に落ちる。
田舎特有の周囲の目や、それぞれが抱える事情などを乗り越えて二人はどうなるのか。恋は成就するのか。
前作同様、何よりも自然描写が美しい。
真っ暗な闇に瞬く星。オレンジ色の夕日。そして結晶のまま地上に降りる雪。
話の展開を追うのではなく、作品の中に丁寧に描かれている世界に中にどっぷり浸るのが醍醐味。
と言うのも、平凡と言えば平凡なストーリーだから。
それでもここまで読ませるのはさすが。
それに表紙の犬の写真がいい。なんで犬なんだろうと思い読み進めると、なるほど合点がいった。
前作が素晴らしかっただけに、今回はどうだろうとちょっと不安だったが期待に違わない作品だった。
ただ、個人的な意見として和彦は主婦顔負けの料理を披露し、インテリアにもこだわり、庭仕事も怠らない。そしてオーディオマニア。
ちょっと気持ち悪い、完璧すぎて。実際いたら、引くかも・・・。
まあ、いいんだけど小説だから(笑)
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「いつのまにかたどりついたところに、人は立ってるの」
目の見えない老婦人から、北海道に帰った桂子に掛けられた言葉。
自分の気持ちに正直な恋は時に辛い。
ラスト「沈むフランシス」とは・・なるほど、そういう事か。
綴られた言葉がしんしんと静かに降り積もるようで
品が良く素敵な小説。
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からみあいの情景はかなり色っぽかった。
が、なんとも中途半端な内容。
続編が当然あるはずな終わり方・・・
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ただただ、水に流される景色。その音、色、速度が語られる冒頭そのままに、一組の男女の時間が流れていきます。
非正規雇用で貯金を切り崩しながら懐かしの地で暮らす女性と、時間も収入も余裕のある男性。
一見真逆のように見える二人ですが、しかし自分の希望する時間(スタイル)を生きているという意味では同じだと思えます。
どこに繋がっているか分からない、どこまで続くのか分からない、このままずっとどこまでも続くとも思える川の流れのような二人の時間。
しかし、突如堰き止められてしまった冒頭の景色のように、その時間も終わってしまう。。いや、終わりはしないけどもその時間を覆うものがガラリと変わってしまう。
結末としては、ありふれた展開の恋愛小説ですが(この作品は恋愛小説なのか?という疑問はありますが)、その言葉(文章)から溢れる洗練されたとてもキレイな時間・空気を楽しむことができると思います。
※最初にタイトルを見たとき「沈むフランス」と読んで、興味を持ったというのは内緒です。。。
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冒頭のシーンが主人公の最後に行きつくところだと思い込んでいた。ミレイの「オフィーリア」の絵を思い浮かべていた。
その思い込みの所為か、最後の一文が妙にひっかかる。
「・・・なにも聞こえなくなった。」とは、そういう状況に陥ったということなのか?崖の手前の柵の所に立っているはずだから、落ちて濁流にのまれるとか?
恋愛小説におけるハッピーエンドが苦手なので、無理矢理そんな風に考えてしまうのかもしれない。
静かな情景描写が多いのにベッドシーンが濃厚で、あっさりしたメニューを食べているのに一品だけ味が濃くて後に残るようなアンバランスな感じも受けました。
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これはひどい。駄目な女の見本のような主人公の行動も読んでいてずっと居心地が悪い。結末が予測できるタイトルは如何なものか。
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数えきれない雪だけが、ふたりがここでこうしていることをみとめている ー 形をくずさず落ちてきた六角形の雪の結晶そのもののような、繊細な成り立ちの世界*きれい。
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東京を離れ、昔住んでいたことのある北海道の小さな町へやってきた桂子。臨時雇いの郵便配達として働き始める。その配達先である水車小屋の管理人寺富に食事に誘われる。そして、自然に寺富と逢瀬を重ねるようになる。小さな町でのうわさは、すばやく静かに広がってゆく。
大人のラブストーリー、というところかな。