紙の本
ダーウィンの進化論に関する教科書
2002/07/29 15:09
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:もぐらもち - この投稿者のレビュー一覧を見る
皮肉屋が書いた次世代人間のアダムとイブの話。物語は100万年前の1986年を振り返り、どんなに情けない人物がアダムとなり、どんな醜い方法で新人類の祖先が繁殖したのかを描きます。
「ダーウィンの世界における歴史をテーマとした小説である。私ならば、科学コースの学生に、偶発性の意味を理解するための手引書としてこの小説を指定するだろうし、実際に指定している。」(スティーブン・ジェイ・グールド「ワンダフル・ライフ」より)
自然淘汰を勝ち抜いて人間が存在するのは、人間が優秀だからではなく、ただの偶然なのかもしれないけれど、この本を教科書にするのはちょっと悪趣味のような気がします。
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ヴォネガットによる、新しいノアの箱舟。
軽妙な文体で、皮肉たっぷりに描かれた人間の愚かさが、もどかしくもアホ臭い。
ただ、ちょっと落ちが弱い気がしてならないなぁ…。
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SF。しかし哲学的で、むしろそれが主軸なのだ。文体はスタイリッシュ。シニカルでユーモアに満ちた表現が多い。世界を憂いながらも、著者は希望を捨てていないと思う。
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久しぶりに読んだ SF。途中で先が読めてしまうので、最後の方は少し冗長な感じだったが、奇抜な設定と着想が楽しい。
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1980年代当時のヴォネガットが、いかに人類に
絶望していたかがわかります。
どうしたってなくならない大量殺戮兵器。
どうしたってなくならない戦争。
どうしたってなくならない貧困や格差。
それらすべては巨大脳のせいだ、これは自然淘汰なんだ。
そう結論付けて笑い飛ばすしかない。
だってそれ以外に思いつく理由がどう考えたって見つからないもの。
広島や長崎も、ベトナムも、すべては百万年後の
新人類への進化のための布石だったのだと思うしかない。
そうにちがいない。(ヒロシマは「にこ毛」のための布石なのだ!)
……痛烈です。
しかし、ユーモアもたっぷりあります。そこがいいところ。
ヴォネガットの読者であれば、この百万年の年月を俯瞰して
語った人物が誰なのかは、おそらく読んでいるうちに
察しがついたことでしょう。私自身も察しがつきました。
ラストで、スウェーデン人医師に尋ねられたことで
号泣してしまうくだりにほろっときてしまいました。
本編にはあまり関係ないけれど。
それから、これまた本編には関係がないけれど、
キルゴア・トラウトはいつ死んだことになっているのだろう?
その他いろいろ。
わたしが読んだのは、ハードカバー版ですが、
95年に文庫化された際に、訳文に手を入れているそうです。
「カンガルーに出会ったころ」の『ガラパゴスの箱舟』に
その旨が書いてありました。
もしかしたらちょっと雰囲気が違うのかなぁ。
どうちがうのだろうか。
やっぱ文庫版も読まなきゃいけないかしら。
現在、正規で入手可能な数少ないヴォネガットの著書のひとつです。
読んだあとに、じわりじわりときます。
これこそ、まさにヴォネガットだなぁ…と再認識しました。
人類必読の一冊なのではないかと、あれから20年がたった今、
改めて思います。
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爆笑問題太田光が大絶賛するSF小説家カート・ヴォネガットが1985年に発表した長編作品です。
太田光によれば、「世の中で起こっている事実を彼が言うだけで悲劇ですらコメディーになる」とか。そして、「生きていることなんてたいしたことない。たいしたことないことは悲しむべきじゃないという考えを知って気が楽になった」。天才は「今、この時点が幸福」と表現できる人。などと、べたぼめです。
ヴォネガットは昨年7月に亡くなりましたが、作者自身、この「ガラパゴスの箱舟」は自信作だったらしく、エッセイ集でも「これまでに書いた最高の本」と語っているそうです。
すべては冒頭の、アンネ・フランクが遺した「いろんなことはありましたが、それでもわたしはだれも心底は善人だと信じています」という言葉に詰まっています。
「巨大脳が人間生活を耐えられないものにしている」。そのことが滑稽に、悲愴に、嬉々と描かれています。
他の作品を早くよみたくなりました。
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人類に絶望していた人がツラツラと物語を綴っています
(↑だと、勝手に決めつけてしまいましたが実際は違うのかも)
1年後とか2年後とかに ふと 再読するんだろうな、と、思った。
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序盤から、死亡者が強調して明示してある。100万年後の人間の視点に書かれている。 今読んでいるところ。。。
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独自の進化をしたガラパゴス諸島の歴史をなぞるように、生き残った人間たちの苦悩やおかしな進化を描いた作品。
「巨大脳」を人間の進化で悪と捉えた感覚が面白い。
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さすがはカート ボネガット、すごく面白かった。
ガラパゴスを舞台に起こる人間の進化(あるいは衰退)。
ガラパゴスの自然環境にしろ、動物の生態にしろ、サイエンスに忠実で、科学的な裏付けがあったり、かなり練り込まれて作られたようだ。かなり読み応えあり、皮肉たっぷり、笑いあり、涙?あり。
要約すると、
箱舟に乗ってやってきた人類は、ガラパゴス諸島で、独自の進化を遂げます。巨大脳は必要なくなり、云々、、、。
物語自体はそんなにハッピーではないけれど、悲惨さの中にもどこかユーモラスな雰囲気もして、それがやっぱり読み手を飽きさせないところなのかもしれない。
登場人物はいたってまじめに悲惨な状況に陥っているのに、なぜか笑えてくる光景だったりする。
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やはり楽しい
大好きなカート・ヴォネガットの作品。
本書「ガラパゴスの箱舟」は100万年前から現在を見るという視点が面白く視点人物として幽霊を使っている。また、謎解きなんてクソくらえってな感じでどしどし全体像を出していくあたり、物語に自信があるか馬鹿なのか・・・。
とにかく彼の人類に対する皮肉っぽく力強い物語が好きである。このテーマは、すべての作品についていえると思う。どんどん他の作品を読みたくなるなぁ。
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ダーウィンの進化論をテーマにしたSF小説。
戦争、経済、人生、男女など現代の問題に対して、進化した人間の脳がいかに当てにならないかを皮肉とユーモアたっぷりに書いている。
ガラパゴス諸島の環境が、大きな脳を不要にするという発想もおもしろい。
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爆笑問題の太田がすすめていたので、購入。
結果から言うと前衛的すぎて、、、よくわかりませんでした。
ちょっと経験値積んだら読み直したい・・・読みなおすのかなぁ
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あぁ、大好きだなあ。愛すべき作風。
しかしこの語りは真似できないレベル。100万年後から振り返って100万年前の登場人物を描きながら、いきなり今場面に登場している彼らの最期の様子を語り、今度はまだ生まれてもない赤ん坊のそのまた子どもを描いたり。自由自在に思えて、情報量をなんだかんだで配分してる気もする。一度分析してみたい。
まあそんな上手さとかより、ヴォネガットの作品はこの中毒性に引っかかった時点で全作読みたくなっている。
テキトーにくすくす笑いながら読んでるだけですべて良し。
そしてヴォネガットがこの言葉をエピグラフに持ってくるのが、皮肉でいながら泣けそうになる何か。
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語り手はキルゴアトラウトの息子!
物語ほとんど関係ないのにヴォネガットファンとしてはたまらないラスト
青いトンネルを通る描写も欲しかったなぁ
まもなく死ぬ人物の名前の前には*をつけるとかユニークな方法が使われてる
100万年後の人類は脳の小さい漁師になってそれなりに幸せに暮らすけど、果たしてこれがユートピアなのだかどうなんだか
巨大な脳の持ち主にはいまいち分かりません