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東日本大震災から11年目だ。色々浮かぶことはあるが、古代の日本の技術には目を見張るものがあった。
2012年に開業した東京スカイツリーは、古代からの技術を取り入れている。それは、制振構造技術だ。東京スカイツリーでは塔の真ん中に「心柱」を挿入した。鉄筋コンクリート製で、高さ375メートルになる。
この技術は、奈良にある法隆寺五重塔などの日本古来の木塔に使われていた。
日本には、木造の仏塔は全国に500以上あった。火災などの理由によって焼失して建て替えたが、地震によって倒壊した例はほとんどなかったというから驚きだ。
瓦に方言があったと聞いて頭の中がはてなマークになった。「方言の瓦」と表現したのは、数多くの文化財建造物の再建・修復に携わった小林章男「瓦博士」だった。日本各地にある独特の瓦をそのように表現した。
瓦も言葉の方言同様、戦後の高度成長時代とともに消えていき画一化されていった。
驚いたのは「瓦が呼吸する」ことだ。小林から著者は聞いたところによると、「日本の在来木造家屋はかつて、屋根からも天井裏からも室内の湿気をきれいに吸って、屋根から吐き出していた。そういうことができる昔の瓦は理想的だった」と述べた。
瓦も全呼吸していた時代があったのかあ。