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「罪」「軽犯罪」置き引き、キセル、妬み、誘拐、物忘れ、盗聴‥。。大きな罪にならないとはいえ、人はちっちゃな罪を重ねて生きている。完璧な人なんていないけど、「ニワトリ」みたいに小さな過ちを抱えたもの同士が馴れ合って妥協して生きてるのが現実なんやなぁ。って思いました☆
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真面目にオススメです。
最後の文章でぐっときます。
第一話で表題作でもある「ブラック・ティー」は置き引きを繰り返す人の話。
誰でも時に、真面目にやるのがばかみたいって思うことあると思います。
自分でも間違ってないのに――普通に働くのに疲れて、孤立してしまった。
そして、自分とは違い、誰かに愛されているひとみさんに嫉妬し、それは違うと自分をせめて、情けなくなって、でもあとには引き下がれなくて。
誰かに優しくされたいけど、優しくされたら今までのことがどっと押し寄せそうで恐い……複雑な心理を上手く描いています。
第二話の「百年の恋」は他の作品とは違っていて、浮いている感じがする。
が、誰だって周りの知らないところでは、自分も気づかないうちに犯罪を犯しているのだろう。
例えば、男の子だったら主人公のように立ちションをしたことがあるだろう。
しかしそれを犯罪意識がありながらやっているだろうか?
普段やっていることでも、小さなことでも、犯罪なのだ。
それを改めて考えさせてくれた一作。
第三話の「寿」
これは良い。
花嫁は恋人を裏切って玉の輿にのり、友達は彼女のことを「尻軽女」という。
そして、見た所彼女も自分と同じ“遊んでいる女”なのだと自覚する。
自分だってそうなのに、いざ他人が幸せになるかと思うと祝福できずに嫉妬してしまう。
ようは自分のことは棚に上げて、他人をつっつくのだ。
よくあることだ。だがだからこそ、最後の文章がずっしりくる。
「間違わない人間はいないよ」
そして最後の一文。
幸福だった。死んでしまいたいほど幸福だった。
この一文の重みが、何とも言えない“味”を出している。
第四話「ママ・ドンド・クライ」
この作品は本当に優しい。
親が子供の貯金を盗んだり、子供が親のお金をこっそり盗んだりということはよくあることだろう。
しかし、それだけで終わらないのが作者の素晴らしいところだ。
一見この人が悪いと思っていても、正面から激突しているともう片方の方に非があったりそれに気づかない自分にも非があったり……それもよくあることだろう。
この作品は人の寂しさと弱さが全面にでていて、そして娘と母の爽やかな会話が、温かい印象を与えてくれる。
第五話「少女趣味」
これもずっしりと重い作品だ。
家庭内暴力をテーマにしている。そして、主人公は自分もそれを望んでいることに気づく。
少女趣味で身を固めている彼女に、夫は暴力という形で奥の扉を叩いた。
それが彼女は嬉しかったのだ。
彼女は寂しかったのだ。それと同時に自分を本気で殴ってくれる男に愛情を感じていた。
自分の世界を破ってくれる男が愛しかったのだ。
心の奥まで踏み込んでくれるのが、嬉しくてたまらなかったのだ。
だからこそ、最後の一文。
何だか笑ってしまった。
私はもしかしたら、殺されたいのかもしれない。
悲鳴さえもでなかった。
が何だか悲しく思えてくる。
第六話「誘拐犯」
これも悲しくて重い作品だ。
よか��と思ってしたことが、取り返しのつかない犯罪に繋がることもある。
そんな当たり前で、でもあまり意識していないことを描いていて正直どきっとした。
結局彼は、自分の身勝手な行動で周りの人全部に迷惑がかかっていることに気づく。
そしてそれを庇ってくれる少女に、申し訳なさすら感じる。
よくあることだ。最後の一文は、とりかえしのつかないことをしたことがある人はぐっとくるだろう。
許してなど欲しくない。分かってなど欲しくない。
人の優しさも時には誰かを苦しめることになる、と少女の一言で作者はもう一度読者に語りかけているのだ。何とも言えずに切ない作品だった。
第七話「夏風邪」
不倫。読んでいて痛々しかった。
まだ期待しているのだ。だからこそ、自分を傷つけた彼は天罰にあったのだと思うのだ。
こんなにも好きなのにどうして?
自分はどうなんだ、と問いかけたくなる。
悪いのは彼だけじゃないはず、彼女もそれを自覚しているらしい。けれど、どうしても諦めることができない。
人の弱さと脆さを浮き彫りにし、不倫に埋もれる心理を見事に描ききっている。
第八話「ニワトリ」
この作品が、正直一番好きだ。
忘れっぽくって、人から借りたものを返さない。返してもらっていないということはよくある。
しかし、彼女はそれを一々覚えている友達に恐怖を感じている。
何ともない顔をして、本当は大嫌いな私に合わせている――。
これは誰しもが思ったことがあるだろう。
彼女は昔借りたノートや約束を忘れたことでどれだけ人を傷つけたのか、今さら実感しているのだ。しかし、案の定相手の方も同じようなもので。これも第三話の寿と同じく、自分のことは棚に上げて……という言葉が浮ぶ。
人の心理と恐ろしさを描いているのには驚きだ。
第九話「留守番電話」
これも好きだ。
留守番電話を盗聴するのはストーカーだし、最低だと思うけど、誰しもが好きな人に嫉妬するのだ。そして勝手に傷ついておきながら、誰かにやつあたりする。
自分で自分が止められなくて、いっそのこと地に落としてくれたら、諦めもつくのに……自分で傷ついてはっきり言ってくれない彼女に憎しみすら感じ、あげくの果てには言い寄ってくる女の子に冷たくあたる。
最低だけど、人間の感情が強く出ていてすごくいい。
第十話「水商売」
これはすごい。
人はみんな、大きかろうと小さかろうと何かから逃げている。
それを背負って生きていかなきゃいけない。
そんな強い意思が、何とも言えず心に染みる。
みんな苦しみながらも、彼女はそれを別世界から見ているように、客観的に物事をとらえている。
私も彼女のように、生きてみたいものだ。
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山本文緒さんを大好きになったきっかけがこの本です。
この本との出会いは初めマンガからでした。
読んでいるとまるで自分の事の様に思ってしまいます。
特にニワトリ。
自分ではイイだろうと思いがちな軽犯罪がテーマ。
寿に出てくる旦那さんが自分にもいたなら!!と絶対に思ってしまいます。
好きな本ナンバー1です。
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ちょっと良心がいたむような罪の数々。誰だって、完璧じゃないし、そゆことってある!!と思わず納得してしまいました。
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内容は誰でも犯してしまう小さな罪というのをテーマにした十篇。よって、読んでいくと過去に自分が犯してしまった罪や過ち、嘘などが思い出されていく。だからこそ、各主人公達にも共感できる。おそらく、誰もがあっという間に読めてしまうだろうと思う。
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またまた短編集
個人的にはブラックティーと百年の恋がすき
多分いるんだろうな〜
目的は色々にしても山手線ずっと乗ってる人。
あたしも結構逆周りとかすきだけどw
多分誰もがやったことのある軽犯罪
ドキッとさせられる本
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この短篇集で、山本さんに落ちました。軽犯罪といわれるものの重み、それを感じられなくなったらお終いだと思います。
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生きていると、きっとたくさんの罪を犯してしまう。それが人間というもの。犯さないようにすることが大事なのかな?それとも罪を罪だときづければいいのかな?いちいち謝罪したり償ったりすればいいのかな?よく分からないけれど、無神経に生きたくはないと思った。
「ニワトリ」が一番好き。 20006.11
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こういった類の、ささやかなワンシーンに人生の一片を映してみました小説を量産する作家は多い。山本文緒はとくに好ましく感じられるひとり。文章は端整で、作劇は容赦ないようでそこはかとなく甘い。
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心あったまるねぇ。
自分のことを認められなくても、
人とふれあって、心が素直になる時がある。そんなとき、泣きたくなるんだよ。
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軽犯罪にまつわる短編集。
一つ一つの話が本当に短いのだけれど、だからといってさらりと流せてしまう程軽くもない。
適度な重みを持った物語たち。
「ニワトリ」という話が、印象深かった。
本人に悪気はないが、ないからこそ腹立たしい。そんな女の典型。
妹とのやり取りが、妙に面白い。
全体的に、なかなか◎。
終わり方もそれぞれに良い。
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いろんな「罪」についてつづった短編集。
日常生活に罪は必ずあるもので、法的のものではない罪などあふれているのかもしれない。
罪と罪でないの境がふとわからなくなった。
個人的には「ニワトリ」がよかった。
これは、身の回りに、人のものがいっぱいあることを発覚する姉の物語。その自己嫌悪の様子がまざまざと思い浮かんだ。
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短編集。第二話『百年の恋』は同棲してる男女の話。彼女は、彼には清潔感があると思っていたのに清潔じゃないから嫌だ、百年の恋も冷めたと言う、しかし彼女はキセルをしてしまい、彼にそのことがばれる、泣いて謝る彼女、それをなぐさめる彼。第四話『ママ・ドント・クライ』は、久しぶりに手をにぎってもらったというだけで、演歌歌手のとりこになるママ、ついには娘の貯金にまで手をつけておっかけをして、家にいなくなる。ママを見つけ、一緒に、2人で住もうという娘。父親のお世話にはなりたくないという。第五話『少女趣味』はDVの話。第八話『ニワトリ』はニワトリ並みに?物忘れの激しい女の子の話。延滞しててレンタルビデオ屋に怒られ、そのことをいうと、一緒に住む妹にそれも当然だといい、過去に貸して姉に返してもらってないものの話をしだす。彼との付き合った記念日は忘れ、別れを切り出される。そして、妹に謝り、彼と別れたことを言うと、あの男のためにこういうことをやってきた、こういうことされた、と妹は自分のように怒ってくれた。すべて軽犯罪の話。
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山本文緒さんにはまったきっかけだったような。
大分むかしむかしによんだ。もう一度よみたい。
とにかくすき。
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誰でも、一つや二つは必ず“やましいこと”を持ってる。
そのことにライトを当てて、少しずつ書いている作品。
あ〜、わかるかも… って思ってしまうのは、
登場人物達の抱えるやましいことそのものに対してではなくて、
彼らがそれに対してどういう気持ちを持っているか、って部分。
二話目の『百年の恋』に出てくる彼女とかね。
まったくちがうけど、共感できるかも。
眠りにつく彼女の横でギターを弾いて歌ってあげる、
っていうのも、なんだか場面がきれいでいいなぁ、って思った。
山本文緒は初めてなんだけど、
どうしても読みたくなって、ためしに何冊か買ってみた。
最初の1冊。なかなかよかった。