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文学部出身じゃなくても楽しめます。
所々に出てくる手塚漫画のようなオーバーリアクションは
想像するだけで笑えました。
人事の話など、こんなことって本当にあるの?と思いながらも
いけないものを覗き見しているようなドキドキ感が味わえます。
ホモ、エイズの描写は不謹慎と思う人もいるかもしれませんが
ブラックジョークが楽しめる人なら問題ないかと。
不謹慎を笑いに変えることが多い筒井先生の作品ならではでした。
小説関係のこぼれ話なども楽しめたので、その辺りも良かったです。
欲を言うなら、次々と唯野教授の前に沸き起こってくる問題や
ラストが無難に着地してしまったのが、ちょっと物足りなかったかな。
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古典教師の薦めで購入
初めての岩波
ストーリー部分と講義部分という構成なのですが、
俺(当時高3)には講義部分は意味不明でした
しばらく「俺ってアホなんだ……」と立ち直れずw
ハイデガー?フッサール?サルトル?フーコー?
現代思想とのエポックメーキングがこの本でした
また近い内にリベンジしたい本でもあります
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これは究極のパロディか、抱腹絶倒のメタフィクションか!大学に内緒で小説を発表している唯野教授は、グロテスクな日常を乗り越えながら、講義では印象批評からポスト構造主義まで壮観な文学理論を展開していくのであったが…。「大学」と「文学」という2つの制度=権力と渡り合う、爆笑と驚愕のスーパー話題騒然小説。
文学批評の歴史も把握しながら、学内政治の事情もわかる。しかもそれがチットモお堅くなく、唯野教授の雄弁さとあいまって、おもしろおかしくわかりやすく展開していく。おもしろくてためになる1冊!
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お世話になった教授にオススメされた本。正直、大学の退屈な講義をボンヤリ聞いてる位ならこの本読んだほうがよっぽど面白いし学べると思う。
わかりやすい文学理論だけじゃなく、大学内部の権力闘争、身分と恋愛に関しても楽しめる奥行きがある。もっと早く読んでいれば…と思える本のうちのひとつ。
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-現代的作品で味わうべきはストーリイじゃありません。テクストに密着し、言語を吟味し、そして遊ぶこと-
古くから人間社会の中で尊重されてきた「宗教」。現代では「宗教」に代わる存在ともなった「科学」。その合間を漂って「肩身の狭い」というか「絶滅寸前?!」なのが「文学」ではないかしら?! 唯野教授自身の物語、および唯野教授が小説内で展開する「文芸批評講義」を読むと、文学を愛する人々の発展・成長のための「闘い」が、と~っても良く伝わってきて、「宗教」や「科学」のように大事にされないけど、「文学」だって凄いじゃない! と思わずにいられない。しかもコメディアンのように、読者をゲタゲタ笑わせながら・・・ なんて凄いことでしょ。「文学」は人間に与えられた最高の「至福」の一つだと改めて実感する。viva 筒井康隆!
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こういう教授いたらウザイなーと思いながら読んだ笑。
授業は確かに面白いけど、喋り方がいちいちウザイ教授、
そんな唯野教授の授業に夢中です。
文芸批評についてこんなに語るべきことがあるとは知りませんでした。
無知なあたしには大変お勉強になる本でした。
講義の所だけ読み返したらかなり勉強になるよ。
読み終った感想は「勉強になったなぁ」という感じ。
あとは「こういうのが書きたかったんだろうなぁ」と思った。
大学の内情がこんなんだったらもうガッカリだよ笑。
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2010/3/30
友達がおすすめで貸してくれた本。
印象批評とか、解釈学とか、構造主義とか。聞いたことだけはある的なところをかいつまんで説明してくれてて、興味が持てた。
それぞれのこと知った上で読み直したらめっちゃ面白いんだろうなぁと思う。
あと、大学の学内政治の話も。唯野教授いいね笑
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唯野教授が個人的にだいすきです。今講義内容の部分でノート作成中。講義内容以外のところもおもしろい。記号論の辺りは思わず笑ってしまいます
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読み返してたら一駅乗り過ごして遅刻した。批評やパロディのエッセンスが詰ってる。若い頃筒井さんの文章に出会ってこういう仕事をするようになった。敵をつくらないようにするというのをしちゃいけないんだと知った
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イーグルトンの「文学とは何か」を読むために「入門書」として購入した。大学関係者を的に回すような内容ばかり。ただ、それは冷静な目で見れば常識外れでパロディーとして置かれ、どう受け取るかは読者の感情移入し第で違うものになる。私は笑ってしまったが、その笑いは最終章で静かな痛みに変わった。人間味溢れる唯野教授の存在を知ることになった。
一番印象的だったのは、唯野教授の優秀さのせいで逆に痛々しく感じらていたものが、段々と、他の教授陣にはない強い人間味に変わり、それが最終章で締めくくられた「キャラクター性」とその変化の「過程」かな。それを可能にさせたのは語り手の位置と、皮肉のこもった描写有りき。
講義部分は文学部生にとって非常に助けるものばかりだった。イーグルトンを読みながらまた読むつもり。
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イーグルトンの「文学とは何か」を読むために「入門書」として購入した。大学関係者を的に回すような内容ばかり。ただ、それは冷静な目で見れば常識外れでパロディーとして置かれ、どう受け取るかは読者の感情移入し第で全く違うものになる。私は笑ってしまったが、その笑いは最終章で静かな痛みと温かさに変わった。人間味溢れる唯野教授の存在を知ることになった。
一番印象的だったのは、唯野教授の優秀さによって浮き上がり、現実と摩擦を起こした痛々しい彼の描写が、段々と、他の教授陣にはない強い人間味に変わり、それが最終章で締めくくられた「キャラクター性」の大きさとその変化の「過程」。この2つかな。それを可能にさせたのは語り手の位置と、皮肉のこもった描写だね。
講義部分は文学部生にとって非常に助けるものばかりだった。イーグルトンを読みながらまた読むつもり。
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文学部のまねごとをしたくて、独学で文学論入門をするには、と友人に尋ねたところ、すすめられた本。すすめられた理由が大変によく分かる。
文学部の教授である唯野が文学論を講義する、という「そのまま」の小説。実は唯野は大学教授としては忌むべき小説稼業を営み、美しく教養高い女生徒と恋におち、同僚の出世のために駆け回り、学内のヘンテコ教授どもと闘いともカウントされない戦いを繰り広げる。各講義の前半は唯野の日々を記す小説、後半が唯野が大学で行う講義となっている。この講義の部分が、入門者としては大変重宝した。
作者はこれを読んで満足してほしくはないんだろうなあ。
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2010年6月末購入。
ある日ブックオフに行くと、くたびれた啓蒙図書が陳列されたコーナーにやけに硬質な背表紙をこしらえた本を見つけた。以前どこかで名前の聞いたことのある本だった。「大学の内情を滑稽に記した本」ということで、興味を掻き立てられた覚えがある。しかし、初めて名前を聞いたその当時は本屋を何件か回って見つけることができなかったので、購入をすっかり諦めていたのである。それが、こんな出会い方をするとは。
立ち止まって読むに、これは普通の小説ではなかった。自我を持った小説、メタフィクションであった。舞城王太郎のメタメタメタ・・・フィクションを読んだことがある私には、そのジャンルこそ目新しくはなかったが、目次にはおよそ小説に相応しくないラングが散見された。印象批評、新批評、ロシアフォルマリズム、現象学、解釈学、受容理論、記号論、構造主義、ポスト構造主義―。全9章での構成。文学理論を話し言葉で解説した本である、と侮るなかれ。主人公が自分の役割をメタ認識しながら、「自分の世界を検証していく」文学作品であることに、この本の価値がある。それは、本書で文学理論講義とパラレルに進む「早治大学政治のストーリー」が崩壊の一途をたどっていく様にも似ている。記号論からポスト構造主義までの流れは、実際の思想上でも事件であったが、本書の歴史の上でも、蟇目の暴走、牧口教授昇格の危機、大学政治の変容、と物語のクライマックスが詰まった事件簿である。今後、思想がどういう道筋をたどるかも気になるが、榎本美奈子と唯野の進展も気になるのだ。
現代思想をこじらせている私にとって、構造主義、ポスト構造主義は聞きなれた言葉だったが、文学理論は廣野由美子氏の「批評理論入門」を購入して以来(未読)なかなか身に付けたくても敷居の高そうで食指が伸びなかったが、本書はわかりやすく飽きさせることなく私に文学理論の基礎の基礎を叩き込んでくれた。注釈の入れ方や、表紙の受け付けない感じは、本書のメタフィクション要素を増幅させる良い仕掛け。筒井康隆の徹底ぶりには感心する。
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大学では評論家も学者とは認めないの。ほら。マルクスやらポスト・モダニズム批判やらやってる空桶谷弁人って文芸評論家がいるでしょ、あのひと文壇であれだけ認められていて、しかも売れっ子でありながらさあ、大学じゃいまだに一般教養の、英語の教授だもんね。ヴィルヘルム・ケンプがバイエル教みたいなもんですよ。[・・・・・・]ただし、空桶谷さんの名誉のために言っておきますがね、彼の英語の授業は抜群ですよ。学生の信頼度100パーセント。変な本いっぱい使って教科書にして、文法のテクノロジイ教えるんだよね。
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なんと感想を述べればいいのかわからない。読中は唯野教授の語り口や講義内容、大学内でのしょうもない争いに引きこまれていったのだけど、読み終わった瞬間にストンと何か抜け落ちてしまった気になって、「うーん」と唸ってしまった。
だからといって、それにより面白い面白くないと批評することが出来るほどの素養が自分にあるとも思ってないし、そうすることが危険な作品であるということは何となく感じているので大変参っている。うわあああああああああ