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ずっと読みたかった本。しばらく絶版状態だったが、最近になってようやく復刊。待っていてよかった。本作は著者の教養に裏打ちされた何とも言えない美の世界を感じ取れる作品だと思う。「闇」と「光」の反転した物語、たっぷりと堪能させていただきました。
本編の方は完璧なのだが、文庫本の帯、そして裏表紙のあらすじの書き方は絶対いただけない(平成26年11月25日発行版)。悪いのは著者ではなく編集者だけど、あえて星をマイナス1とさせていただいた。角川書店さん、増刷したら直してください。(ついでに他の絶版本の復刊も)
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絶対に自分の好きな世界が広がってる確信があり、年末に表紙買いをしたので初めて読む作家の作品。
文章が、表現が、とても美しくて読み進めるのが勿体ないと感じた序盤。
あれ?なんで?と違和感を感じ始めた中盤。
事の真相が見えた時に、そういうことか!!とそこから最後までは駆け足で読み進めたけど、結末が少し物足りなく感じてしまったので−☆1つ。
久しぶりに美しい文章に出会えた。
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皆川博子さんの解説に惹かれて読み読み。ネタバレ読みやらないように一気読み。
主人公の目が見えないので聴覚・嗅覚・触覚についてたっぷり描写されてる。視覚情報が無いのに耽美な空間だと分かるのにうっとり。
視覚情報があると今度は情報量に驚き。
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盲目のレイアは城に囚われた身でありながら、父の深い愛情によって育てられる。しかしある日突然レイアは城の外に連れ出されてしまい…。
序盤は西洋の昔話のような囚われの身の姫の日常が描かれ、レイアが父によって様々な芸術を知り教養を深めていき、目が見えないながらも美しさを知っていく様子が綺麗で、
また父をレイアが父を心から尊敬し、また愛している様子が心理描写や二人のやり取りから見てとれて、
レイアが不幸な境遇ながらとても美しい世界に生きていることが伝わってきます。
そして後半からが急展開! ミステリとしてのトリックも印象的ですが、それ以上にしっかりと描かれているのが環境が変わってからのレイアの心情です。前半の甘美で醜いものが排除された世界を読んでいるからこそ、その心情が非常に伝わってきます。それは単なる過去への懐かしさという感情ではなく、もっと崇高な美しい世界への郷愁と、失われた世界に対する喪失感をとても美しく描かれいているように思います。
今の社会や生活に疲れている時にこの本を読むと、さらにレイアの感情が伝わってくるのではないでしょうか。
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皆川博子さんが書評をしたためていらっしゃったので購入したが、期待以上の作品だった。そこかしこに謎と美が散りばめられ、明かされるときになってはじめて仰天、というかはっとさせられる作品だ。これ以上は何を書いてもネタバレになってしまうので沈黙するが、あらゆる意味で糸に絡め取られるような作品である。
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幼少時に盲目に見舞われながらも、父王から光の娘と呼ばれ、文学や音楽、絵にまでも想像で触れてきた美しき王女に降り掛かる突然の大どんでん返しに驚き。現実よりも先に美しいものを知ってしまった者の現実に対する見方の変化が新鮮。そして自分が突然平凡であることを突きつけられるとはなんと残酷な。一気読みしてしまったが、宙づりにされた結末がもやっとする。
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めちゃくちゃ懐かしくておもわず購入。新装版です。巻末が皆川博子さんによる解説に替わっていました。(豪華!)叙述トリックの走りというか、これにちょっとしたトラウマを(良い意味で)与えられた人って割といるんじゃないかしら。結局、実は真相がはっきりしてないところが(良い意味で)気持ち悪くて、読み終わっても終わってない気がする。
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二時間ほどで読み終えました。
ネタバレなしで感想は無理なのでご注意。
「感触」と「想像」に満ちたレイア姫の独白で、盲目であることはすぐに伝わってきます。
目が見えない、という表現を使わずに、誰もが察することのできるかたちで描写しているのを読んだとき、この本を買おうと決めました。
あらすじとしては、
森の奥深くで国王である「父」と盲目の「レイア姫」はひっそりと暮らしている。魔女のような「ダフネ」はいつも沈丁花の香をさせ、レイアを叩いたり、殺してやる、と、罵ったりする。
レイアは、誰にも見つからないように閉じ込められている。父親は、国を隣国に奪われた元国王で、ずっとレイアの側にもいられない。暴動を起こそうと企てている。レイアは、文字を覚え、音楽に親しみ、知的好奇心を強く、すくすくと育っていく。五歳から、十三歳まで。
レイアの誕生日―ワルプルギスの夜が訪れると、父はたくさんの贈り物をくれる。薔薇の形のボタンがついたドレス。可愛い犬。そして本。
だが、日々は突然に終わりを告げる。
ダフネに連れられ、レイアは外に連れて行かれる。墓地で発見されて、本当の両親だという人たちが迎えに来る。手術をして、目が見えるようになった。美しいものばかりに囲まれて夢想の世界に生きていたレイア、玲は、現実の世界の醜さに辟易とする―――。
夢物語のような前半部から、レイアが現実世界に連れ出される落差はなかなかの見もの。
誘拐のあたりまでは想定内でしたが、レイアが男の子だとは予想外でした。
最後の二章くらいの展開は、犯人らしき人物の独白の章(レイア2)、そしてその次の章で「レイア2は玲による物語だ」と明かされます。
最後に玲と対峙する「父」は、それは玲の誘拐されたという実体験と、その人物を繋げて描いた妄想にすぎない、と悠然と言います。
そして玲は、絶対に彼が自分の父だと主張する。
「善」と「悪」を両方持ち合わせているアブラクサスのように、「虚」と「実」もまた入り乱れているこの物語。
幻想的で、耽美で、緻密に練られた美しい物語です。
物語の中に出てくる文学や音楽もきれい。
ゴシックやミステリと呼ぶのが正しいのかは微妙ですが、面白かったです。
ただ、後半の展開が怒涛で余韻が残らないことが難点かも。
前半が美しく濃密なだけに、後半入れ込んで読めないですよね。(たぶん、そこのギャップを狙って書いてるんでしょうけど)
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これってもしかして????と疑いながら読んでいたので、ああやっぱり、と思ったけれど、ええーーー!?と騙されたところもあり。
個人的には、ラストがちょっと消化不良な感じ。
前半、闇の中で感じる世界はいろんな想像が出来て楽しかった。
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盲目の王女レイアは、父王の愛と美しいドレスや花に囲まれて育てられていたがある日一変してしまう。混乱の中、驚愕の真実が・・・
一見ファンタジーと思えるのに、後半からガラリと変わっていった。読んでる私も、どういうこと!?ってなりながら読んでたなぁ・・・
幻想と現実が混ざった不思議な作品だった。
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前半のどこか異国な感じから、中盤でいきなり現実に戻されて驚き、
そうきたか〜と読み進めていると、また最後で、え、はっきり謎解きさせない訳?と、ちょっともやもや。
それにしても、幼少期の影響って大事なのねと。
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いろいろと想像をかき立てられる本。
森の奥、父の愛情と柔らかな絹のドレスに包まれて暮らす盲目の姫。
ゴシックの香りが濃密に漂う文体、言葉選び。
そして、そんな生活が突然変化を遂げる。
ゴシックが好きじゃないという人にもお勧めの1冊。
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素晴らしいの一言に尽きる作品。前半に散りばめられた伏線と、後半につれて明かになっていく事実。久々に一気読みしてしまった。
だがしかし、欠点がなかったかと言えばそうでもなく、なんだか凄そうなミステリーかと思いきや、ラストはあっさり目で、途中から何となく解ってしまい、そのまま予想通りの展開に落ち着いてしまった。
それでも文体や雰囲気は極上で、魅力的な作品。作者は既に他界しているのが残念でならないです。
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世界観に引き込まれます。前半と後半で異なる世界が描かれています。子どもだった主人公が、残酷なまでに唐突に、現実を突きつけられ大人になる過程が、スッと頭に入る文章で語られていて一気に読了しました。
真ん中から謎がどんどん解かれていくので、ラストはもっと大きな返しがあるのかと思っていましたが…しかしあえてぼやかす終わり方も含め、美しい世界観に耽らせてもらえたので、評価は☆5つです。
★再読 2021.8.22
あまりネタバレしたくないので語れないのですが、目の見えない闇の世界でイメージしていた極上の美、光……それはもしかしたら、ほんとうに幻想だったのかもしれません。実在しない夢物語だったのか。あるいは本文がしめすように、何から何まで「おとうさま」が仕掛けた罠だったのか?
私はあまり古典や絵画に詳しくないのですが、作中には有名な物語や絵画も多数登場し、またそれぞれわかりやすく説明されているので、読むにあたって混乱はせず、世界観は伝わってきました。その方面の専門知識があれば、もっとおもしろく読めるのかもしれない。
盲目の世界を描写する表現力はさすが。
読後感がなんともいえず耽美。
おもしろくて一気に読みました。
何回読んでも評価は☆5つ!
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前半の盲目のレイア姫と国王である父、ダフネや兵士といった登場人物とのやりとりや、異国情緒の雰囲気を漂わせる内容から、後編の日本現代にいきなり行き戻されるのはそうきたかとハッとさせられた。
前半の盲目のレイア姫主体からなるストーリーは人間の触覚や聴覚からなる描写が多い中、題名の光と闇という、視覚からなる描写も含まれていて、読んでいてレイアがとても繊細な感性を持っている事が伝わってきた。
途中までは全てレイアの妄想かと思っていたが中々斜め上の展開で良かった。