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これまでの繋がりからは表面的には離れている感じ。自然との繋がりよりは、人間の内面について書かれているみたい。
それにしても、樺太で日本人が殺されるという歴史があるとは知りませんでした。
少し勉強しなければならないですね。
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「森」シリーズの完結編の主人公はまさかまさかの矢一郎。
第一部でチラっと登場した主人公のお兄さんです。
第二部があまり満足のいく作品ではなかったので今回は大満足!
すべてを凍り付ける極寒の地で、自分自身の心も凍てつかせる矢一郎。彼の心を溶かす朝焼けの空がまぶしい。
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熊谷達也の「森」シリーズの「マタギ」三部作の最終巻。
これまでの『邂逅の森』や『相克の森』も良かったですが、本書もとても良い。
主人公の矢一郎の性格が清々しい。
樺太の自然と彼を取り巻く人物達が魅力的だ。
熊谷達也、恐るべし。
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マタギ三部作の最終話です。
今度は時代を遡って、日露戦争後の樺太です。
その当時は日本の領土になってた南樺太を縦横無尽に駆け巡る冒険小説です。
主人公はマタギだったのですが、日露戦争従軍後に帰還した後、故郷で事件が起こってしまい、故郷を後にします。
主人公を敵として付け狙う人間付で…。
樺太では旅仕事を重ねていき、一つのところには留まりません。
行く先々で、『ここに留まって根をおろせ』みたいなことを言われるのですが、必要以上に親しい人を作ろうとはしません。
その中でも親しくなってしまう人がいます。
食堂のお姉さんと、樺太アイヌの一家です。
主人公はかなり良いヤツで、昔の正統派ハードボイルドってかんじのキャラです。
樺太の国際色豊かな人間関係の中で、マタギで鍛えた銃の腕をついに披露しなければならない状況になってしまいます。
その時、主人公はどのような考えで、どのような行動をとるのか???
日露戦争直後という時代の中で、自分の行動規範で自分で責任を持って行動する。
かなりカッコいい主人公でした。
作者は樺太を体感するために、わざわざ冬の樺太を訪問したそうです。
そのため、樺太の寒さを感じられる文章になっております。
期待して読み始めましたが、期待通りの出来でした。
この人の作品が出たら、即買いですね。
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歴史的事実を背景にして物語を作る。
その時代の文化や国際関係まで調べ上げ、物語を作り上げていく作業は本当に地道で大変な作業なんだろうなと思う。
権謀術数が渦巻く中で、誰よりも真正直に生きる主人公は、魅力にあふれている。
真正直な主人公に振り回される女性の姿も共感を呼ぶ。
どこまで、男と女はわかりあえるのだろう・・・
独占欲。それは必然だと思うけど、それがなければどれだけ楽に生きられるんだろうなぁと思う。自分も含めてだけど。
ストーリー展開も歴史を背景にスリリングに作られていて読んでいて面白い。
なかなかひきつけられる話だなぁと思っていたら、
よく考えたら、この話はドラゴンボールだ!
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マタギ3部作と銘打つからには熊を、マタギを描いて欲しかったのが正直な感想、、、。帝国主義が跋扈する世界で領土の支配が変わる事で、そこで生きる人達が翻弄される物語。個々の人達は国を越え思いやりを持ち付き合う事が出来るのに、国を言う単位になると何故相手を思いやる事が出来ないのか?
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「冬は寒ければ寒いほど良い。冬に全てが凍りつけばそれだけ春や夏が素敵に思える」。九州育ちの私は全く想像がつかない氷点下の世界を物の見事に描く筆致力。大正時代の極寒の地シベリア、サハリンに生きる人々の息吹が胸に染みてくる。 モデルのいない主人公と歴史的事実を無理やり繋げている感じはするが 裏切り、人種差別、戦争、狩、革命、恋愛を通じて当時の生活習慣とともに時代に翻弄されるマタギの矜持の描写が本当にお見事!ミステリ&冒険小説だなこれは。特に真冬の旧間宮海峡を犬ぞりで渡るシーンの描写は圧巻です。作者も実際に渡ったとの事。凄い!
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常に最善を尽くす男、矢一郎。合理的な思考を持ち、勇敢で義理堅く硬派である。恨みを買って追われていたり、それによっていろんな事件を誘発した。いろいろがなければ、彼は何を目指したのか?多分普通の暮らしがしたかったのだろう。しかし、すごい奴だ。
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ヒーローは死なない。
(以下抜粋。○:完全抜粋、●:簡略抜粋)
○必要以上に獣を獲りすぎてはならない。(P.204)
○敵側の人間と見れば、民間人の女を見境なく犯す。
子どもまで平気で殺す。
普段の大人しいきみたちからは、想像もつかない豹変ぶりだと思うのだが。(P.379)
○銃を撃つときだけは見える。(P.469)
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場所や時代や獲物が変わっても、山で生きるマタギの生命力、その凄まじさはだけは絶対的に変わらない!
強すぎ!カッコよすぎ!
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またぎ三部作のひとつ。今回は、元またぎで戦争で活躍して帰ってきた男が、人を殺したことをトラウマに感じながら、死んだ元嫁の弟から命を狙われて北海道でひっそりと暮らす話。
だんだんと舞台は樺太にまで及び、国をまたいでいるあたりが今までで一番壮大な話かもしれない。 ただ、あまり他の2部とつながりはなかった気がする。
それにしても、高倉健的というか、この本に出てくる主人公のありえないまっすぐさとか不器用さとか、本性を隠している日本男児の美しさ!みたいなの全然素直じゃなくて好きじゃない
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3部作の完結というよりは別な物ととらえた方が入り込めると思う。時代設定を含めた背景の描写が緻密で物語をイメージしやすい。波瀾万丈の人生!主人公の精神力に感銘!
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マタギ三部作の3作目。元猟師で日露戦争従軍兵だった男の逃亡劇と女たちとのロマンスを描いたハードボイルド。三部作のなかで最もカッコいいマタギが、ゴルゴ13ばりのライフルさばきを見せる。おすすめ。
舞台は異なるが、映画『八甲田山』を先に見ておくと物語のイメージがグッと深まります。
しかし、これも映画化されたらおもしろそうだが、現在日本の近辺諸国(ロシア、中国、韓国、北朝鮮)との情勢を考えると難しいかな。
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「邂逅の森」を読んだのは5~6年前のことであり、森3部作なるものの存在は知っていたが手が出ないでいた。
順番でいけば、相克→邂逅→氷結となっているようで…完全に順番間違えているし!しかしながら今作も中々の佳作であると思う。
マタギを主人公に据えるのが3部作においての不文律のようである、そこには人と獣と自然のバランスがひとつのテーマとなっており「邂逅~」においては顕著に感じられた。今回主人公は元マタギであるが、さらに重い十字架を背負っていた。日露戦争に従軍しておりスナイパーとして活躍していたという、さらに故郷を離れる原因と相まって主人公弥一郎の生き様、未来を見ようとしない諦観が独特のハードボイルドタッチで描かれている。
前半は樺太の漁業、林業、己を敵とする亡き妻の弟からの逃避行が極寒の地を背景に描かれる。厳しいゆえに美しい自然が登場人物以上の迫力で読者に迫ってくる、しかしながら物語の中盤にかかると一転して別の物語となっていた。
「尼港事件」なるものを自分は全く知らなかった。大正期に革命の只中であったロシアで発生した邦人虐殺事件である。アムール川流域の港湾都市ニコラフエスクで起こった、国際的事件の顛末が架空のキャラクターを通して語られる。様々な陣営の思惑が錯綜し、裏切りと血風の世界がそこにあった。いつのまにか西村寿行か大薮春彦か?の世界がそこにあった。最初からのハードボイルドが一挙に炸裂して市街戦にまで発展してしまう。なんとも皮肉な結末も用意されていたが、彼に残された大切な者との未来を予想させる終幕が、読者を安心させてくれた。
物語より自然の圧倒的美に翻弄され心奪われる、命を賭けなければ目にすることができない美。経験はできないだろうけど経験してみたい…
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敵も味方も、その懐に入ってしまうと、ただ見えるのは生きた人間。戦争は、ただそれが戦争だから殺しあう、悲しいことだ。矢一郎がカッコ良過ぎて惚れてしまう。無敵な上に硬派で優しかったら、モテるのは無理もない。マタギの研ぎ澄まされた感覚、空気感を邂逅の森で味わってから読んで良かった。相剋の森も読まなければ!