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紙の本
次の展開への伏線がいっぱい
2009/05/19 15:27
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投稿者:DSK - この投稿者のレビュー一覧を見る
今回は人形の『薫ちゃん』ラヴな松川淳とその妹、そして「兄弟岬」にまつわる切ない物語を軸に、次章とも言うべき新たな展開への伏線がいろいろと張り巡らされた第3巻だった。真吾の能力はますますパワーUP(?)してしまい、まるで『モーゼの十戒』がごときあり得なさを見せ付けている。淳の妹と『薫ちゃん』、そして「兄弟岬」の由来となった出来事が十重二重に織り重なるストーリー展開は相変わらずの上手さで、それまで散らかっていたピースが最後の最後ではまっていく流れが巧みである。
実は、序盤で真吾達の世界の神様の名前が唐突気味に説明されて「おや?」と思ったのだが、どうやらこの神様は何かを企んでいるらしく、穂香の中にいる【グランディオーソ】もその一翼を担っているようである。以前よりリーナの口から出ていた異世界の神様との関係も見え隠れしており、世界の危機というものがどういうものなのかを読み手に想像させる楽しみを与えている。つまりは次巻以降のお楽しみな訳だが、場合によっては何かしら強力な能力を有した存在なのかもしれない真吾と穂香が真逆な立場になりそうな気配もあって気掛かりではある。ただ、今後さらに面白くなりそうなのは、この神様達は実はそれぞれ穂香とリーナのすぐそばに居て、互いに真吾との関係を後押しするような動きを見せる可能性もありそうなことである。これもまた世界の危機を救うことに繋がる何かだとは思うが、何だか真吾を巡る恋の争奪戦の応援団のようなパトロンのような存在にもなりそうで楽しみが増えた。とは言うものの、穂香の想いはまだまだ拙いものだし、リーナもお子ちゃま過ぎて恋の自覚さえままならない中で、最も大胆かつストレートに求愛しているのは清美というのが皮肉である。
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