紙の本
肉食屋敷
2002/02/15 02:29
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投稿者:akizawa - この投稿者のレビュー一覧を見る
肉食屋敷
☆☆☆☆
蘇らせてはいけないものを甦らせてしまったものがたり。ある建物の中で、行われていた実験とは? その屋敷に、眠るものとは…。
ジャンク
☆☆☆☆☆
荒涼とした世界。人が造った「人造馬」を移動手段に、人体が活躍します。生ける屍とは? 主人公の正体は…。悲しく切ないものがたり。
妻への三通の告白
☆☆☆☆
思想。幸福を決めるのは…。
内容
恐怖の回想。あるとき、鈍感な変質者が、不意に表れます。姿を現した、その人物は、不可解な行動を起こしてしまう。妻に対する一途な愛のものがたり。
獣の記憶
☆☆☆☆
究極の嫌がらせ。今日も現れました。
電子書籍
きょわい
2021/10/09 16:52
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投稿者:ちーかま - この投稿者のレビュー一覧を見る
おどろおどろしい表現力がすばらしい。一話目からやられました。ホラー小説ってやっぱ情景描写で震え上がらせることが基本なんだなと実感させられる一冊。
紙の本
気づかない恐怖
2002/05/30 05:59
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投稿者:くゅずにえ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ゴミ廃棄苦情のある屋敷を訪れた主人公。
屋敷は特徴あるディテールで怪しく、生物的に
描かれている。そして、屋敷の主と出会い、その主が
抱える恐るべき怪物「肉食屋敷」の存在を知る。その実態は
読者の想像を遥かに越えていると断言していいものだった。
驚愕はそれだけに留まらず、結末では、生理的、逃避的な
恐怖が襲ってくることは間違いない。
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やはり氏の頭は計り知れない!!引き込まれる。。その世界が恐ろしい分入り込む。しかも後味がいいのがよい。
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グッド。
表題作「肉食屋敷」は圧巻。
だけど印象深いのは「獣の記憶」。
作者はホラー、SF、に加えミステリまでも書くのかと。
しかもただのミステリではなく、奇妙にひん曲がったミステリなんですよ。
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恐竜時代に隕石とともにやってきた地球外生命体を復活させてしまった小戸博士。表現のグロテスクさもすばらしいが、自分が殺されていることに最初は気づかないという結末部分が面白い。そのために、その生命体を殺すシーンがリアルに描かれる。
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このひとの頭はどうなってるんだ…奇想天外だわ、ほんと。
「妻への三通の告白」、これが一番印象に残った。人が壊れていく様が怖かったなぁ。
モンスター/迫りくる恐怖ならば、表題作。
色んな怖さを描いてくるなぁ。それでいて「海をみる人」にあげられるように切ないSFものもある…幅があるなぁ。
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気持ち悪かった。。忍び寄る恐怖と言うよりは、何これ?見たいな想像力を必要とするみたいな。。。
小林さんの本は初めて読みましたが、読みやすく、どんどん展開する。でもそこに想像力が必要となる。
主人公の公務員がなんとなく生きててなんとなく行った幽霊屋敷。そこで遭遇した何かのせいで逃亡の日々を余儀なくされる。。
そういうところは怖かった。。。。
いきなり自分の知らない世界を見せられてそしてもう自分の世界へは戻れない。。。そうなったらと考えるととても怖かった。。
その後、主人公は?人類は?と本なのに心配してしまった。(笑)
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表題作はスタンダードなホラーだが、理路整然としている点でSFとしても読める。「ジャンク」はグロテスクな世界観だが、叙述トリックとでも言おうか、意外な秘密が隠されている。「妻への三通の告白」も読み進めるにつれてぞわぞわと来るホラーだが、これも叙述トリックと呼べる代物が仕込まれている。最後の「獣の記憶」は、勘のいい人はすぐ真相に気付くと思うが、これも叙述トリック系のミステリーでありホラーだ。「妻への三通の告白」は初めて読む人には結構インパクトが強いのではないかと思う。
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ミステリ読みとしては、ひねりのきいた『獣の記憶』も好みですが、『ジャンク』、『妻への三通の告白』も良かった。(ジャンルはホラーなんでしょうが、ミステリとしても楽しめますね)
表題作『肉食屋敷』はクトゥルフ神話好きならニヤリって感じで、これはホラー作品としてかなりお気に入り。オチも素晴らしい。
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肉食屋敷 / 初出 S-Fマガジン 1998年9月号 (「脈打つ壁」 改題)
ジャンク / 初出 『異形コレクションⅥ 屍者の行進』 廣済堂文庫 (1998.9)
妻への3通の告白 / 初出 小説NON 1998年5月号
獣の記憶 / 初出 小説現代 1998年5月号増刊 メフィスト
単行本あとがき
解説 「小林泰三はぐふふふ……と笑う」 (田中啓文)
『肉食屋敷』 1998.11 角川書店刊 文庫化
photo/Barros&Barros -The Image Bank
P.LOBO amana images
口絵 村上光延
装幀 田島照久
カバー印刷 暁印刷
印刷 暁印刷
製本 千曲堂
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とても読みやすかった。
「肉食屋敷」はニヤッとさせられた。
「ジャンク」は設定が斬新でニヤッと。
「妻への三通の告白」は時系列さえ把握すればなかなか。
「獣の記憶」内容自体はすごく面白かったんだけど、オチがイマイチ把握できない?
分かるけど理解できないみたいな。うーん。
たぶん先入観が邪魔をしているのかな。
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ジャンルの違う4種類の短編小説が詰まっています。
1つ目は表題の「肉食屋敷」で、SFホラーというかコズミックホラー。
ジュラシックパーク的に古代生物を復活させたつもりが、宇宙人を復活させていたいう話です。
宇宙人というか、旧支配者ですね。
「千の仔をはらんでいる」というセリフがあるので、シュブ=ニグラスが元ネタかと。
最後のオチも良かったです。
2つ目は「ジャンク」で西部劇
ゾンビ話ですね。
ライトノベル的展開にも思えますが、一筋縄でいかないのがこの作者の面白いところ。
人体をリサイクルするっていう世界システムは面白いデス。
そして主人公は実は…っていう、作者定番のオチではあるんですが、結構やられました。
3つ目は「妻への三通の告白」で、サイコホラーです。
タイトルからある程度の話の枠は検討がついていましたが、でもやられたっていうところでしょうか。
現在から過去に進んでいるはずなのに、すでに過去に壊れていたとかなんとか。
4つ目は「獣の記憶」でミステリー・ホラーというところでしょうか。
多重人格の殺人者の話…っぽいけど、そうでは無いのが面白い。
最初の「マスキング効果」がオチにはられた伏線だとは思いもよらなかった。
これは本当にやられたと思いました。
殺人事件が発生した時に、12時に家を出て、1時を過ぎて病院に居たのに、1時に大騒ぎしているという大家のクレームからちょっと違和感を感じて居たら、やっぱりそこはおかしいということで、犯人の穴になってたみたいです。
ただ、犯人の想定はさっぱり出来ませんでした。
ある意味、叙述トリックに近いのかな?
東野圭吾の「ある閉ざされた雪の山荘で」みたいな感じで。
ともかく面白かったです。
引きこまれて先を先をという感じで読んでいきました。
オチで一気にひっくり返すというパターンは非常に大好きです。
やられた!っていうのが、爽快というかなんというか、読後感をスッキリさせてくれます。
非常に堪能出来ました。
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“わたしは歪みに足をひっかけないよう注意しながら、ゆっくり奥へと進んだ。
二、三メートル進んだところで、壁に絵がかかっていることに気がついた。表面に盛り上がりがあるため、油絵だということはわかったが、まるで水墨画のようにモノトーンの濃淡だけで表現されている。現代美術の一種なのだろうか?題材はおそらくムンクの「叫び」のパロディーだ。苦痛に苛まれている男が描かれている。全体に流れるように歪んだ構図もムンクそのままだ。ただ、変形の度合いはムンクよりも激しい。右目の位置は額の真ん中近くなのに対し、左目は頬の辺りまで下がっている。左耳はなんとか判別がつくが、右目の下にあるのは鼻なのか右耳なのかもわからない。ほとんど縦になった唇から覗く歯は全部尖っており、明らかに本数が多すぎた。それどころか、顔のあちこちから、歯が無造作に生えている。指の数は右手に三本、左手に二本だが、それぞれ肘や二の腕にも何本か指がある。服は着ていない。背骨は筆記体のWのような形に折れ曲がっている。生殖器と脚の区別はうまくつかない。全身のあちらこちらに瘤があるが、顔のようにも見えるので、人面疽のつもりかもしれない。「叫び」の場合、人物の背景は橋のようなものと流れる空もしくは川だったが、この絵の背景は何が何だかよくわからない。顔を近づけ、じっと見て初めて、男の身体の各部分が何重にも重ね描きされ、流れるような高価を生み出していることがわかる。”[P.13_肉食屋敷]
「肉食屋敷」
「ジャンク」
「妻への三通の告白」
「獣の記憶」
ぐちょねちょ。
怖いのに面白いから止まらない。
乾ききった地面の上に放置されたまだピンクのみえる肉の固まりから得体の知れない液体がじわじわと染入る感じ。
“さて、私が、小林泰三がすごいと思うのは、彼が「二足の草鞋」の人だからである。会社員と作家の、という意味ではない。ハードSFとホラーの、である。
彼はSF専門誌(といっても一誌しかないが)には、一般人が逆立ちしてもわからないような難解な、最先端の科学知識をもとにした、マニアックなSFを書く。また、SF作家の集まりでも、「シュレディンガーの猫」がどうしたとか「ラグランジュ点」がどうしたとか「何とかの何とか軌道が何とか」とか、同業者である私すら理解できないような科学の話を滔々と語ってやまない。つまり、かなりハードコアのSF者なのである。ところが、一般文芸誌やアンソロジーなどに書くとき、彼の作風は一変する。日常の些細なできごとからはじまり、それが変容し、ついには自分自身の存在が信じられなくなり、現実と虚構の別がなくなっていく……というような、誰もが共感でき、恐怖と戦慄を覚える物語を書くのである。そこには、彼が日頃好んで口にする先端科学はまるで登場しないか、もしくは形を変えてどこかに忍び込ませてある。要するに彼は新のエンターティナーであり、小林泰三がカルトな作家ではなく、広く一般の支持を受けている理由はそこにあると思う。そのことは、私はくどくど言わなくても、この短編集に収録されている各編を読めば明らかである。”[P.214_解説 小林泰三は、ぐふふふ……と笑う 田中啓文]
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「ジャンク」人体をロボット的な扱いで書くとこういう事になるんだろうか.たぶんロボットが「ロボットのパーツを単なる部品として扱う物語」見るとこういう気持ち悪さを感じるに違いない「妻への三通の告白」"ぼくはじんせいにかった"でゾッとした