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「if」の常連客たちがなぜこうも三梶恵に翻弄されるのか、なかなか乗り切れなかった。
後半の恭太郎の独白で全てが明らかにされた。皆が「透明カメレオン」を飼っていたとは…。
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インターバル的にさしはさまれるラジオのシーン。
その意味が分かったとき、不覚にも泣きそうになって
しまった。
その上、終盤、さらなる展開。。。
ああ、もう。
だから道尾さんの作品は好きなのだ。
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これは最近の作者の作品としては今一つ、魅力に欠ける感が否めない。残念ながら物語の核をなすヒロインに魅力がないのが、いまひとつ物語にのめり込めない原因だろう。脇役がのエピソードと主人公の最後のネタばらしが物語の肝となる部分で、この辺りは流石にこなれた感があるが、最後の主人公のネタばらしは底が浅いため、いつものように、そうくるかという驚きはない。
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なんとしたことだろう。完全に油断していた。
どこか気を抜いていた。「なんとなく」という軽い気持ちで読んでいい本ではなかったのだ。
物語終盤、私がそれまでにこの小説に抱いていたイメージがガラリと変わることになる。そのせいか、涙が溢れてきた。小説で泣いたのは記憶する限り今回が初めて。自分でも驚いた。
それまでは所々に挟まれるユーモアに笑わされてり、声だけ素敵な冴えないおじさんに苛立ちを覚えたりしていたけど、そういうものがどこかに消えて無くなった。込められている想いがとにかく純粋なことに気づいたからか。過去にどんなトラウマを抱えていようと、それは今の自分たちには全く関係ない。だって過去と現在は別物だから。今を生きる私たちは真っ直ぐ目の前だけを見据えて生きて行こう。こんな単純明快で希望に満ちた言葉が他にある?それを作者は真正面から読者に突きつけてきた。
『透明カメレオン』なるほど、そういことか。
道尾秀介のタイトルのつけ方には相変わらず興味を惹かれる。
改めて思う。小説家は職人だ。こんなにも人の心を揺さぶる物語を「創造」している。いいなぁ、かっこいいなぁ。
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戻せない過去に引きずられて暗く生きるより、
過去を妄想で塗り替えて明るく生きようとする 人たちの話。
星3.5
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こういうの!こういう道尾さんのお話をずっと待ってました!
ラジオのパーソナリティを務める、その見た目とはあまりに不釣り合いな、耳にした人が思わず振り返るような美声の持ち主、桐畑恭太郎が主人公。
そのギャップがキーポイントになって物語がどんどん進行していく。
エンタテイメントがっつりなんだけど、でもそれが楽しい。んなわけあるか!な展開満載、バカバカしくて痛快、可笑しくてでも優しくて、そして切なくてあったかい。
泣けちゃうんです。
道尾さんの書くこういうお話が大好きです。
ちょっと暗いうら悲しいお話ばっかりじゃなくて、もっともっとこんなのを書いてほしいな~。
『カラスの親指』が好きな人は楽しめること請け合い。
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2015.2.26 読了
嘘を信じこむ力ってすごい。前回水の棺を読んだ時、それは現実逃避だーみたいな感想を抱いたけど、きっと道尾さんは、そういう人間の力を尊いと思ってるんだろうなー。そしてそれを認めてる気がした。逃げたままその嘘にとどまるのじゃなくて、ちゃんと事実と向かい合おうとするまでの心の支えにしようとしてる。うーん。ifのみんなの優しさがきらきらしてる。
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こんなにもたくさんの哀しくて優しい嘘のつまった物語を、今まで読んだことがない。
道尾さんの小説には「家族」の物語が多いと思う。本当の家族であったり、まるで本当の家族のような仲間たちであったり。
この小説の中では、本当の家族と家族のような仲間たちが、自分の深い傷を埋めるため、そして誰かを守るため、悲しい嘘をつく。嘘をつきながら、その嘘を信じていこうと、笑う。そして嘘を守ろうとして笑う、その笑顔が心に刺さる。
眼の前の本当の景色があまりにも辛い時、ヒトは嘘をつく。過去を変えられないのなら、いまを変えればいい。笑って嘘を事実にしてしまえばいい。そういう嘘があるから、生きていける。
最後、それぞれの嘘が語られていくとき、やめてやめて、と心が泣いた。お願いだ。最後の嘘は聞きたくない、と。恭太郎の嘘の、あまりの哀しさに心が泣いた。
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電車の中で読んでいたのに、最後は感動して泣いてしまうところだった。まぁ、家に帰ってから最後を読み直してしっかり泣きましたが。物語の様相ががらっと変わる最後が胸に響いてくるのは、言わずもがなそれまでに積み上げてきているものがあるからだと思う。過去を忘れることはできなくても、新しい世界を信じることはできる。そんなことを教えてくれる、繊細な作品。
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新しい趣向を凝らしたエンタメ小説。登場人物のキャラ設定がいい。優しい嘘と残酷な真実に引き込まれる。終盤の伏線の回収はお見事。著者の飽くなき挑戦には脱帽するばかり。
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なかなか面白かった。
なんで、題名が『透明カメレオン』なのか。
最後にやっとわかる。
人にはいろいろな人生があって。
抱える闇とどう向き合うのか…
ifの常連さん達が抱える闇には驚きました。。。
そして、主人公の秘密を最後の最後に知ったとき涙が止まりませんでした。
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ミステリとしては全然物足りないしなんとなく都合主義的というか軽めな展開。
と思いきや最終的にはみんな傷だらけでしたという話でなんだかなぁ。Ifのメンバーがみなキャラだっててあたたかくいい味。
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初期の作品が大好きなので、個人的にはちょっと物足りない感。アクの強さを控えた明るめの作品だと思う。前作の方が著者らしいような気がするというか好き。聞き間違いの件は、『背の眼』にもあったような。
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【ネタバレ注意!】
終盤、止まらず一気に読んでしまう。
優しい嘘の話。
途中で恭太郎が三梶恵についている嘘に気が付いたんだけれど、そうしたら余計に恭太郎の態度とその心情が思いやられて読んでいて辛い。
これは気が付かなくても、小説の最後に驚き、意外性を楽しめると思うけど、気が付いたからといって作者のトリックの失敗ではないんだよね。ていうか、時制とかちゃんと気付くような書き方してる。作者は読者に嘘はついてないんだ。気が付いた時点で最初からの細かな伏線が心に刺さってくるし、透明カメレオンのエピソードも、そういう事か、って。気が付いた上で、 より、恭太郎の言葉や行動を文章で読みながら、書かれていない部分で心情を読まされる。
誰しも、大なり小なり人に言わない何かを抱えてよね。現実に人と接する時忘れがちだけど。
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今回も見事にやられました。いや、予兆はあったし、気づけたかもしれないけれども。気づかないでいたい、気づいていないことにしたい、そんなこともある。やさしい嘘と、やさしい人たちの物語。