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なんと奇抜な表紙だろう、目がショボショボしちゃった。大人気シリーズ、第三弾で連続ドラマ化(2017年4月放映)ドラマを見てはいないが、ブクログでの評価が高かったので読んでみた。文末の書店員さんの解説によると、本作品は傑作であると激押ししている。
私的にちょっと腑に落ちないのは、症候群って病名ですよね、題名からそんな精神を病んだ異常者(例えば、貴志裕介著 「悪の教典」の先生とか・・・)が登場するのかと期待したが、いたって、平凡な内容になっている。殺人は非日常でエキサイトするはずが、最後まで心拍数は上がらず残念。
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大きな事件は二つある。
法の処罰を免れて、ろくに罪も償わないで社会復帰した者たちが次々に殺される事件。
環敬吾のチームは、見えない殺人者の姿を追う。
もう一つの事件。
心臓移植をしなければいつ命を失ってしまうかわからない息子のために、心臓の提供者をつくるために殺人を犯す母。
証拠のない事件の真相を追う刑事。
二つの事件は交互に語られ、それぞれ追う者追われる者と、視点が切り替わる。
全く接点のない二つの事件が、交差し始めたのが300ページを迎えるころ。
それは、ミステリを読みなれた人にはわかりやすい展開ではないかと思う。
そして、ふつうはこのあたりから終焉に向かって急速に話が進んでいくのだが、この本では300ページはまだ半分にも満たない。
キーパーソンの正体がわかったところで、どうもこれは幸せな結末にはならないような気がしてくる。
彼にも彼女にも。
特に、息子のために殺人を犯した小島和子の章は、時に読み進めるのがつらいほどの描写が続く。
読みながら立てるいくつもの予想。
ことごとく最悪へ進んでいく。
人の命は、喪われてしまったら二度と戻らない。
その喪失感を、どうやって埋めたらいいのか。
せめて反省する姿を見せてほしいと思うのは、そんなに無理なことなのか。
本もテーマもずっしりと重い。
「症候群三部作」の構成の妙。
そして巻が進むにつれて、確実に面白くなっている
実は最初の「失踪症候群」があまり面白いとは思えなかったのだけど、この「殺人症候群」は面白い、というのとは違うか。上手い。
「失踪症候群」「誘拐症候群」「殺人症候群」と、確実に上手くなっている。
ひとつだけ不満があるとすれば、環敬吾の造形。
最後まで謎に包まれたままで、冷静で有能。彼は神なの?
人間味の片りんを見せることのなかった彼が、一体どうしてこのような陰の存在になったのか。
彼があんまり完璧すぎるので、正解対最適解の話にならなかったのが残念。
被害者が救われるための最適解。
倉持は倉持でそれを考えていたのだと思う。
実践した鏑木。阻止する環。武藤の思い。
私の中でもまだ正解は見つからない。
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3部作の最後と知らずに読んだ。どうりで登場人物のキャラクター把握に苦労した。
一瞬母親殺しの犯人の心臓移植されるのか!と思ってドキドキしたが違った。
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症候群シリーズ第3作目。文庫で700ページを超える大作のテーマは「殺人」。正義の殺人はあり得るのか?復讐のための殺人、誰かを救うための殺人は?論理的、社会学的には自明なこの命題に対して、ではこのようなケースは?と感情に訴える。1作目、2作目を読んでおくことでより感情に訴えるように仕掛けられているシリーズ最終作はシリーズ一番の作品でした。
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四つの視点から綴られる物語がクライマックスに向けて一つに収束していくこの感じ!!!たまらん!!!!
どの視点もそれぞれバラバラだったのに、まさか、この人がこれでこうやって!!!!!!!!
えーーーーーー
っていうね。
その手のひら返したまらんです。はい。
そして題材が子供を殺された親。しかも、未成年者や精神異常での判定で服役すらしなかった犯人たちを許せなくて、苦しんで苦しんで苦しみぬく被害者の親や周りの人間。
そんな内容なだけに、ひと事では済まされないような葛藤を抱きながら読みました。こんな思いになるだろうな、、、と。殺してやりたいほどに憎むだろうなと。精神的に息も詰まるほどの事件の数々でした、、、、
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【ネタバレ】失踪症候群を読んだあと2冊目をとばしてこの作品を読んでしまったため、なぜ環と武藤の関係が少しギクシャクしているのか分からなかったのだが、さらに、少し好感をもっていた倉持の行動に困惑させられた。
今までにも少年法と私刑を扱う小説をいくつか読んだが、中でもこの作品はかなり過激な表現も多く、読者に課題を突きつける内容となっている。
被害者の私刑(復讐)に対する様々な考え方が示されており、結末も私にとっては複雑に苦いものであった。
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かなりの厚さのシリーズ最終作。
てっきり4部作かと思っていて、最終話で環が主人公になるかも思いきや。
この作品の最後を見たら、続編は無理だなというのは納得。
倉持がフォーカスされた作品。
少年犯罪や精神疾患で裁きをのがれた犯罪者に対し、遺族はどう考えるのか。
個人的には少年犯罪や性犯罪者など、罪に見合った裁きを受けていない人には同じ目に合わせてもいいのではと考えてしまう(あくまで加害者本人に対してであり、加害者家族は除く)。
本当に反省する人もいるのだろうけど、人の痛みがわからない人があまりにも多すぎる。
法はあくまで規制を作るもので、被害者家族を何も守ってくれない。
被害者が立ち直って生きていくためには、復讐にはしるしかないと考えてしまうことも肯けるくらい、あまりにも被害者に冷たい社会なのでは。
とも考えていたけど、復讐殺人の罪深さと虚しさも浮き彫りになり、やるせない気持ちでいっぱいになった。
被害者にとって優しい世界とはどういったものなのか。
答えが出ず重い気持ちで★3つ...
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タイトルだけ見て猟奇殺人を連想しましたが、犯罪遺族の復讐を買って出る職業殺人の話。復讐じゃ幸せは戻ってこないのだな、と思うけど、自分が遺族だったら犯人を殺したい気持ちも出てくる気もする…。
そしてこれが◯◯症候群シリーズ三部作の最終作だったことを解説を読んで知りました。これから読んでも十分楽しめます。他シリーズも読んでみたいです。
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ドラマにハマって原作購入。
まず、設定がかなり違う。特に鏑木の背負っている背景は職業殺人者へと至る動機の点で決定的な違いがあったと思う。
原作の「純粋に響子のため」は多少無理があると思った。現職の警察官が、たとえ愛しているといえども純粋に女のためにあそこまでできるかな・・
しかも鏑木自身は正義のための殺人はあり得ないと思っているわけで。
この点ドラマ版では鏑木自身も少年犯罪の被害者遺族なので、その心はより複雑で闇は深く、説得力があった。
ドラマ版のこの鏑木の苦悩の描き方に惹き込まれたので原作は物足りないと感じた。
まるでプロポーズのように言い放った「殺してやろうか。俺が代わりに」、
同一事件の被害者遺族として境界線を超えてしまった鏑木と踏みとどまった武藤を象徴するセリフ「復讐しても地獄、復讐しなくても地獄、いずれも地獄だ」、
まだ鏑木の正体を知らない武藤が、いずれ対峙することとなる彼を前に本音を語る「私は鏑木さんのように強くないから、復讐を乗り越えて、真っ当な道を歩けない」・・・
印象に残ったセリフも全てドラマオリジナルだと知って残念。
もっとも、ストーリー展開や小説ならではのトリックはとても面白く楽しめた。
主に鏑木、武藤、原田、響子、小島の目線で章が切り替わりストーリーが進行していく。各章がそんなに長くないので先が気になって長編にもかかわらずスラスラ読めた。
原作はストーリー重視、ドラマ版は鏑木・武藤の内面重視。
ドラマ版を知らなければもっと評価上げたと思う。
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9/19読了。
すごく考えさせられた。
殺人が犯罪でいけないことと誰もが単純に分かり切っていることなのに被害者になってみないと分からない感情がすごくリアルで、登場する少年たちには嫌悪しかなく殺されて当然という思いで読んでた。
時代はどんどん変化していくので「将来ある、更生の余地ある未成年」ていう考え方だけなら少年法も時代に沿って変えていくべきとは思う。更生できて真面目にやり直せる可能性があるのかは逮捕してから見極めるしかないのでは。極悪な事件を平気で起こすなら未成年のうちはすぐに元の生活戻れるしとか、学校行きたくないからとかの理由で犯罪に対して抵抗のない若者が増えているのは確実だと思う。
あと継治くんのことが心配なままで泣きそうになる
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復讐はやはり良くない。
だからこそ法で裁かないといけない。
人を殺めた以上例え未成年だろうか精神異常者だろうが、自分の命で精算すべきだ。
どの登場人物にも同意も同情もできなかった。
それは私がそういう経験者じゃないからかもしれないが…
母親が脳死しその心臓を息子に移植できたらまた救われたのにな〜
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犯罪を犯した未成年者が死んでいる
おそらく誰かが手を下していると考えた環は原田、武藤、倉持を集めるが、倉持は仕事を断る
ドラマで見ていたので話の流れはわかっていました。
小説ならではの見せ方だなぁと
小説では苗字と名前と書き分けると別人のようにみえるってところがいいですよね
ドラマだとその点は難しくなる
犯沢さんみたいにはしにくいし
ドラマはドラマでよかったけれど、小説もよかった
。だだ話の内容とか重さがわかっているだけに読むのが大変だった
最初の2件の事件が起きた時点で、やりきれなくなりページをめくる手が止まってしまいました
大切な人を理不尽に奪われるのは辛すぎる
刑法39条なんてものがあるから弁護士はそっちに持っていこうとする
大体、普通の人だって心神耗弱や心神喪失な状態にならないと人なんか殺してしまわないよ
理不尽な殺人がこんなにも増えたのだから見直してほしい
もちろん情状酌量は必要だと思う
全く国民のためにはたらかない議員の方たちはめんどくさがりそうですが
この本が出た2014年から今までも理不尽な事件が次々起こる
彼らの正義もわからなくない
難しい問題だと思う
でも当事者なら頼んでしまうんじゃないかと思うと恐ろしくもある
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長かった割に読めた。
虚ろな十字架とテーマが似てて、そのテーマに対する点だけで言うと虚ろな十字架の勝ちかな…
文体とか登場人物は貫井さんのがすき。
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ドラマを観てから読んだので、犯人もわかってしまっている状態で、楽しみ半減... ただただ、被害者遺族は復讐してはいけないのか?という重いテーマだけと向き合うことになってしまった。読み進めるのが辛かった。ドラマより結末はさらに悲惨だ。因果応報なんだけどね。
あまり重要でない登場人物の唐突な背景語りが何人か分あり、少々辟易した。
ラスト、倉持は生きていたのかなぁ?
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症候群シリーズ完結編にあたる本作は700ページほどの読み応え十分のボリューム。そして、内容もシリーズ史上最大の重たさとなっている。いわゆる法で裁けない人に対する復讐殺人がテーマ。同じような題材を扱っている作品も多いと思うが、印象に残るのは江戸川乱歩賞を受賞した薬丸岳「天使のナイフ」や同じく薬丸岳「虚夢」だろうか。話の根源は似たようなところだが、当たり前だが展開がまるで異なる。読み比べてみるのも面白いかもしれない。ただ、これだけ様々な作品で取り上げられているテーマということは、それだけ結論も出ず、ただ現状として納得できない部分があるからなのかもしれない。
本作は様々な登場人物の視点から全く異なった内容と思われる記述からスタートするが、それが徐々に一つの点に集結されていく面白さがある。そして、驚愕の展開が待っているところが面白い。