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この作品はなんだかよく分からない。てこじいの秘密も母の秘密もはっきり明らかにされたような気がしない。まるで、前もって知っていることを前提の、誰かの人生を読んでいるかのような雰囲気。そもそもお母さんて妊娠してたん? あれだけの描写で読者に気づかせるにはちょっと無理があるような……。
解説のなだいなださんは、「芥川賞の選考委員たちはこの作品を選ばなかったことを後悔するときがくるだろう」と言っているけど、私個人としては、いい作品だけど芥川賞を取るほどではないかなぁという気はしました。
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せつなくて、でも少し心温まる話。
人間関係の微妙さ、人間同士の距離感。そういったものがすごくいい。
てこじい、という祖父の存在。母子家庭に育つ「僕」に、どんな変化が?
大人の人間関係の複雑さと、子供心の複雑さ。そういったものがぎゅっとつまった小説。
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ゴールデンスランバーがなかなか進まないので手を出してみた。(^^;)
この方の作品「夏の庭」も読んだけど、老人の出てくる話が多いね。
登場人物の心情を文章で書くわけではないんだけれど、それぞれのちょっとした行動やしぐさで、それぞれの気持ちを推し測って読ませるタイプの作者さんなのかな?
「夏の庭」よりはその行間の気持ちがわかりやすかったと思う。
何かの片手間ではなく、ずっぽりその世界に入って読んだ方が感動できる作者さんなのかも知れないですね。
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情報科教員MTのBlog(『西日の町』を読了!!)
https://willpwr.blog.jp/archives/51187960.html
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私の読んだこの人の本はすべて老人と子供のかかわりが軸になっている。
その老人たちの中でもてこじいが一番変だ。
でも、娘への不器用な愛には涙せずにいられなかった。
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この作品は生活を描きつつ死香りが常にしていると思います。例えば夜爪を切るエピソードがそれを象徴している気がします。父と娘、母と子、祖父と孫、その関係が子供の視線で描かれます。基本的には祖父と孫なんだろうけど、僕には父と娘の話だと思ってます。父と娘の意地の張り合いのような・・・、憎くて、でも許している複雑な思いが、ちょっとした場面から見られます。心情を描くより分りやすく、そして印象的であると思います。
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ゼミの先生の研究室の本棚を見ていたら、場違いののようにポツンとあったので、先生に借りて読んでみた。
たんたんと読んでいたのだけど、最後ちょっと泣きそうになった。
で、久しぶりにお父さんに電話してみた。
家族って、いいなって、改めて思わしてくれた本。
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染み渡る文体というのだろうか。心地良い世界に浸かれました。図書館で借りたけど、買って手元にずっと置いておきたくなりました。湯本さんの他の作品も読んでみたい!
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てこじいも母も僕も生きるのに不器用で、お互いを思いやるのに、素直になれなくて。登場人物の心情が十分に伝わってきました。ココロ豊かになれる一冊。
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「西日の町」湯本香樹実
児童「のための」文学 とはくくれない、児童「をモチーフとした」文学でしょうか。イメージカラーはオフホワイト。
湯本さんの文章は、読むときりりと締められる感覚があってそれでいて包容力のある雰囲気が好きです。
良い意味でとても女性的な作品です。その分若干「僕」という一人称視点に違和感を感じてしまったのも事実。中性的な主人公である気がします。
それと、何故かてこじいのキャラクターがそれほど印象深くない。
ちょっと考えてもよく分からないのですが、うまく作品のなかにとけ込んで役割を担っている、と思っていいのかな。
渾身の作品!とは全く感じさせないタッチが読む側にも脱力して頭に文章を流しこめる。BGMのような感じですね。
正直なところ帯の惹句は的はずれだと思いますが(笑)(4)
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この人の作品は、いつも胸に刺さる。
優しくて切ない情景を見させてくれる。
今回の作品は、他よりも一層寂しさが漂っているように感じた。
短編小説ということもあって、一気に読み終えることができたが、少し物足りない印象が残った。
短編小説(ヌーヴェル)は長編小説(ロマン)よりも、詩(ポエジー)に近いと、解説にあった。
多くは語らず、少ない言葉で物語を深める。
語られない物語を想像するのもこの物語の楽しみ方なのかもしれない。
ん〜でも、もう少し語って欲しかったかな。
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なめらかにまっすぐには向き合えない、てこじいと母。
それを見つめる僕。
せつなさやいらだちを抱えながらも、深いところでつながっている家族。
トゲトゲしいはずの場面でも、そこには寂しさやきつくなりきれない優しさが漂い、
やわらかで静かな気持ちで読み終えることができました。
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夏の庭、ポプラの秋に続き読みました。でも最初の2冊ほどのインパクトはありませんでした。前の2作品は登場人物にそれぞれキャラクターがありましたが、今回は「てこじい」という主人公の祖父にしかキャラクターがたっていなくて、うーんと思いながらたんたんと読みました。物語の行き先も少しだけ解かりづらかった。前2作品は少年少女も読んで理解できるかもしれないけど、これは大人の物語かもしれません。行間を読むという感じ。期待が大きかっただけに、ちょっとがっかりでした。
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『夏の庭』であまりにも有名な湯本香樹美氏の作品。娘がくれた本。
現在は医者となった主人公が、十歳の頃、母と、母の父であるてこじいと過ごした日々を回想する物語。
回想場面が中心で、そこは描写、物語の運びともうまいのだが、現在の場面ではやや不十分な感じが残った。
勤務医として単身赴任しているのだが、大学で教え子に母の面影を見たりする場面では、教え子との今後の展開を感じさせるが、何も書かれず、尻切れとんぼだったりする。
文庫版あとがきでは、なだいなだ氏が絶賛しているのだが、そうも思えず、なんだか腑に落ちない。
うまいことはうまいんだけど…。中途半端に古い感じがした。
『夏の庭』を輩出している人だけに、後世にまで評価される作品を書くのは難しいことなんだと、つくづく思った。
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記憶の引き出しが突然開いて、ずっと忘れていた思い出がよみがえることがある。この本はそんな引き出しの鍵かもしれない。
引き出しの中には嬉しかったことや楽しかったことがあったり、それよりちょっとだけ多く、悲しかったことや辛かったことが入ってたりする。