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時は2028年。コンピュータと人間の未来を探るべく、宇宙ステーションにて壮大なシミュレーションが開始する。
1979年発表、日本では1983年に翻訳された、ホーガンの代表作のひとつ。2022年の今、これを読んでまず思ったのは、当時作者が未来予測的に描いたコンピュータにまつわるデバイスやインフラなどが、かなりの打率で実用化されているなぁということ。スマホやタブレットっぽい情報端末などは言うに及ばず、ほとんどの書類が電子化されていたり、対戦型ネットゲームがあったり、ドローンが現在のイメージまんまで出てきたり。そんな中で、本作が掲げる人工知能の進化と人間との共存というようなテーマは古典的ではあるけれど、今だからこそ間近に迫っている問題としてリアリティを感じながら読んだ。展開はベタだが、その経過を彩るハードSFとしてのディテールと、ホーガンらしい発想の着地点がありふれたものではなく、本作には40年を超えて今もって古びない感動と示唆がある。シンギュラリティと人間の未来や如何に。