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息子エイドリアンが、ヘスキス・ピアソンの伝記(『コナン・ドイル : シャーロック・ホームズの代理人』)がきにいらなかったためにカーにすべての未公開文書を見せて書かせたという伝記。ジョセフ・ベルがシャーロック・ホームズのモデルかもしれないとしつつも、一番ホームズに反映されているのはドイル自身なのだとしているあたりに、遺族から依頼されて書かれた伝記というところがにじんでいる。
とはいえ、捕鯨船に乗りこんで航海したり、ホームズで成功をおさめたのちにボーア戦争に軍医として従軍し、腸チフスでバタバタと人々が倒れる修羅場のなかで医療班を統率したりと、そのすさまじいまでのダイナミックさには圧倒されるものがある。
シャーロック・ホームズに支配されるのがいやで、ライヘンバッハでホームズを殺してしまい、どんなに懇願されてもなかなか再開にうんといわなかったこと、それでも何年かしていよいよホームズが帰ってきたとき、「ストランド」誌がたいへんな売れ行きを見せたことなどやはりおもしろい。『ロストワールド』や『毒ガス帯』は、はるか昔に読んだきりで忘れてしまったので、また読んでみたくなった。