紙の本
親子でぶつかるあたりからの話はおもしろかった。
2002/11/29 04:47
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投稿者:由良 博英 - この投稿者のレビュー一覧を見る
政治関係に著述の多い渡部昇一さんと、ご子息であるチェリストの玄一さんとのリレーエッセー。音楽に関わる生活暦のような話に始まるが、「ワルツが踊れなくて、なんでドイツの音楽が演奏できるのか」「こうしなければ、これはわかるまい、といわれることは多い」と親子でぶつかるあたりからの話はおもしろかった。昇一さんの音楽観には、不可解なところが多い。ロマン派やソ連の作曲家に対しての評価が、ネガティヴすぎると思う。
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クラシックは、理解できるか?でなく、楽しめるか?
音楽は無限の富を相手にする仕事。
クラシックをスコア見ながら楽しむ。新たな世界!?
うまく生きるには、時々異質の空間に…コンサートへ行こう。
モーツァルト、バッハにはホワイトノイズ効果。
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音楽のない時代に生まれ育った父と音楽があふれる時代に生まれ育った息子。
音楽にまつわるエピソードを通して、家族の姿を考える父子リレーエッセイです。
この渡辺昇一さんは、「知的生活の方法」の著者。つまり作家です。
息子の玄一さんは読売交響楽団のチェリスト。
昇一さんはもともと音楽に造詣が深かったわけではなく、音楽家の奥様と結婚されたことにより音楽と関わっていった。
玄一さんは、生まれたときから音楽があった。
この違い。
2人の音楽に対する掛け合いはすごく面白いです!。
例えば、コンサートについての話。
これの前に昇一さんが、「私はコンサートは寝るところだと思う」というのを語っています。(寝てしまうではなく、はっきりと寝るところだ!と正当化してます)
それに対する玄一さんのエッセイ。そのまま抜粋。
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父がコンサートへ足を運ぶ効用を述べてくれたのは大変嬉しい。
しかし、わるいけど、演奏家にとって「よく眠れたよ」というのは、
どう転んでも褒め言葉には聞こえない。
ぼくの友人のコンサートへ父を連れて行ったときのことである。
素晴らしい演奏で、会場は久しぶりに魂の触れ合うような演奏会だったという
興奮に包まれていた。
父も感激したらしく、珍しく「楽屋へ挨拶に行こう」と言い出した。
楽屋へ行ってみると大勢の人たちが、今味わったばかりの感動を口々に述べている。
ぼくの番が来て、ぼくがお祝いの言葉を述べようとすると、その友人に父が言ってしまったのである。
「いやー、よかった。久しぶりによく眠れたよ。あははは」
あはははじゃねえぞ、おやじ、と思いながら、ほうほうの体で楽屋から去ったのを憶えている。
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こんなふうに、考え方はことなるものの、
音楽というものが家族の関係を密接にし、
互いに尊重しあい、
生活を豊かにしている様子が全般を通してうかがえます。
音楽はただ鑑賞するものではなく
人の人生に大きな影響を与えるもの。そして、豊かな人生を送るために重要な役割をする要素であることが、よく分かる本です。
オススメ。