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人の良さは身を助く。この作品の主人公・ウィザースプーン警部自身は殺人事件が起きてもどこから捜査の手をつけたらいいのかも分からないようなのんき者ですが、有能な使用人達が関係者に聞き込みを行い着々と捜査を進めてくれます。それは、警部がお屋敷を継いだ際にもう必要ないからとクビにされてもおかしくなかったのに、そのまま雇い続けてくれたから。仕事そのものにはイマイチ熱心でない使用人も、家政婦のジェフリーズ夫人の人の使い方と、警部への恩義から捜査には積極的に動きます。面白いのは、警部に気づかれないよう、いかに自然に捜査を誘導するか。あくまでも警部が事件を解決したようにみせなければいけません。特にジェフリーズ夫人は策士ですね~。帰宅した警部をリラックスさせて捜査状況を聞き出したり、推理の欠陥を何気なく指摘したり。その一方で、善人だけどちょっとおとぼけな警部の魅力も欠かせません。使用人の言うことをいい加減に聞いてたら、どんなに彼らが頑張っても事件解決はできなかったはず。特に最後の、警部自身が選んだ行動をみれば、ジェフリーズ夫人でなくてもこの人を支えていこうと思うでしょう。
殺人事件が起きると不謹慎とも思わず気分が盛り上がってしまうのが素人探偵の常ですが、この作品だと恩を返そうという善意も伴う。この前提があるだけで、随分印象が変わってとても爽やかな読み心地でした。
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ネットで見かけて。
タイトルから言って、
家政婦が主人の謎解きを助ける話だろうことは予想がついていたが、
影ながらこっそりと助けるのかと思いきや、
かなりがっつりと、しかも雇い人皆がチームで助けているとは思わなかった。
そして、まったく気づかずに助けられている、ウィザースプーン警部補が何かを彷彿とさせると思ったら、
司馬遼太郎が「項羽と劉邦」で描く劉邦だった。
劉邦は戦闘能力が高いわけでも、美丈夫なわけでもなく、知略に富んでいるわけでもないが、
懐が深くて、周りがほっておけない、助けたくなる人物として描かれていた。
それと、雇い人が一致団結して助けたくなる警部補は似ている気がする。
それにしても、
家政婦ジェフリー夫人を始め、ほほえましい捜査陣の活動が気になって、
謎解きは二の次になってしまう。
それと警部補(その実、ジェフリー夫人)が解決済みのケンジントン・ハイストリートの恐ろしい殺人事件も気になってしょうがない。
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主人に内緒で事件解決のために奮闘する使用人達が微笑ましくて面白い
実際に事件を捜査しているのはJ夫人率いる使用人探偵団なのだが、それも使用人たち皆が主人であるウィザースプーン警部補を慕い、役に立ちたいと考えた結果なので、やはりウィザースプーン警部補も名探偵だと言えるだろう