投稿元:
レビューを見る
全体的にはとても面白かったです。
ただ、率直な感想を言うと―。
私的には大きな疑問点が二つありました。
まず一つは、王位継承権を持つ王族の男子が精子ドナーと
して精子バンクに登録したりできるのかなという点です。
もし、仮に提供先の女性が妊娠したら、その子どもは立派な王族、しかも男児なら継承権を持つことなります。
無駄なお家騒動の元になるような原因を作ることが許されるはずもなく、この点は話の展開上、仕方ない設定だったのかもしれないけれど、大きな矛盾のように感じられました。
制度上、あり得ないことで、不自然すぎます。
二つ目は終わり方です。
長い間、王子がヒロインに自分が彼女の子どもの実の父親(提供者)であることを内密にしていて、その秘密がいつ、どういう形でバレるのかと読者は興味とスリルをもって読みすすめることでしょう。なのに、なかなかその瞬間が訪れず、最後の10数ページでやっと明らかになり、ヒロインがどれだけ失望し王子に抵抗するかと思いきや、ショックは受けるものの、あまりにもあっさりと騙されていたという事実を受け容れてしまうのも何か腑に落ちないというか納得できないというか。
また、ラストシーンでいきなり王子と結婚するはすであった他国のリリ王女が登場して終わるのも納得できない終わり方でした。
ストーリー展開が面白くて、一挙に読めたのは確かなんですが、ちょっと構成上どうかなぁと首を傾げる部分があったのが気になりました。
しかし、小説ですから、面白く読めて読者をぐいぐいと引っ張り込んでゆければ良いのでしょうか。