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「箱の中」「檻の外」通して最高によかった。
喜多川の人生が見事に書かれてます。たしかに喜多川は長い間不幸な人生を送ってきたけど、刑務所で堂野に出会ったことでいろんな感情を教わり、夢をかなえて、涙が出るくらい幸せな人生を送ることができた。彼はこの上なく幸せだったんだと思う。
久々に大当たりの作品でした!
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いやぁ…前作を読んでから、いてもたってもいられずに手を出しました。
翌日仕事で眠くても、眠さなんて吹っ飛ぶくらい引き込まれます。
心をごっそり持ってかれてしまって、真夜中に放心状態です。
心をね、抉られてしまう。
結局はハッピーエンドなんですが、これは家族愛に恵まれなかった喜多川の生涯の物語だったと思います。堂野が喜多川にむけた愛は、恋愛感情での愛ではなく、家族に向ける愛に近かったのではないかと思う。
『死ぬまで一緒にいてくれ』と、そう願った喜多川の言葉の通り、堂野は
最後まで、それこそ、喜多川が息を引き取るそのときまで側にいた。
喜多川は本当に幸せだったんだとうな、と。
堂野の元妻の子供、尚の視点で書かれた『なつやすみ』に至っては、もう
涙がだらだら流れっぱなしで、堪らなかったです。
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木原さんは特殊な世界ではなくて、誰もが目にしている日常の中にある、「嫌な奴だけど世間から弾き飛ばされるほど阻害されるほどではないありがちな自分勝手」な人間を原寸大で描かれる。どこにでもいそうなくらいなので、いわゆる「悪人」ではない。悪人ではないが、もし身近にいたら、多分接点は持ちたくないな、と言う程度の、どこにでもいそうな感じの…。堂野の妻の言動は「極悪人」のそれに値するが、子供を失った母親、と言う部分で同情する人も多々いるだろう、と言う点で相殺して考える人もいるだろう。けど、こう言う、自分勝手だけどそれが直接誰かに危害を加えている訳じゃないんじゃないかな、とはぐらかされる様な感じのする人間が、実は一番性質が悪いのだ。この部分がドラマCDになると突出してしまう気がする。
喜多川の感情起伏の少なさは、その生い立ちにより、母親に構われずに育った子供だった、と言う部分が大きいだろうが、元々とてもシンプルな精神構造の男だったんじゃなかろうか。だからこそ、家族愛の希薄さに全てを原因つけて、それの性にして責任逃れする様な卑屈さがないじゃないだろうか。シンプルな精神構造の男が、生まれて初めて唯一執着を覚えたものが「堂野」と言う存在で、唯一の望みが「堂野の傍にいる事」であり、それ以外は自分の身さえどうなっても構わない男の一生がきっと素晴らしい結末を迎えるまでを「一代記」と言う大仰さではなく描き切ってあるこの物語が愛おしいと思えて仕方ない読後感だった。読んだ直後に既にもう一度『箱の中』から読み返したいと思った。
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箱の中、続編。箱の中だけで終わってもよかったのかもしれないけれど、続編で描かれた二人の関係の変化、そして最後まで寄り添って生きた二人がたまらなく切なくて愛しかった。
愛について自問する堂野、ただひたむきに堂野を愛する喜多川。そして二人が並んで年を重ねていくさま。
尚の視点で描かれる「なつやすみ」の喜多川は堂野にたくさんの言葉や感情、とても大切なものを貰った印象を受けた。
そして、きっと幸せだった喜多川の人生。言葉ではいいつくせない感情で胸がいっぱいになった。
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講談社文庫の『箱の中』を読んで、これは続きを読まねばと購入。
堂野の、普通に生きることを知っている人間の強さを目にし、特別なことばを必要としない人生の貴重さを噛みしめた。どの人間もそもそも特別だということと、その人生の慈しみ方を喜多川とともに教わったような気分。服役を機に方向を変えた人生は普通ではないのだろうけれど、それならば“愛とは何なのだろう”と考える堂野のように“普通とは何なのだろう”と考えざるを得なくなる。
悲しいあの出来事は受け入れがたいが、それでも。幸せだと泣く喜多川につよく強く胸を打たれるのだ。
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喜多川の堂野への想いは切なく、胸がしめつけられるものであった。
ただ、罪のない子どもを殺す必要性が見えなかった。展開上、殺さなくても話問題がなかったのではないかと思うと後味が悪かった。
事件後の堂野の反応にも違和感を感じてしまった。果たして、子どもを殺された父親はこんなに冷静だろうか…そのあたりがどうしても納得出来なかったので★3!
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「箱の中」を文庫で読んで、続編「なつやすみ」が秀逸だというので、友人に借りて読んだ。
確かに!一連の物語の中で一番「なつやすみ」が良かった。
「檻の外」までも、確かに感動はあるし、読み応えはあったけど、どこかもやっと残るというか、微かな不快感・違和感があった。
けど「なつやすみ」は、心にすとんと馴染むような暖かさや切なさが心地よい。
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『箱の中』の続編。『箱の中』は刑務所のお話ということで、読んでみたらBLでした。
ちょっとびっくりしましたが、人を好きになる理由に、「自分に意味づけしてくれたから」というのはアリで、それに性別は関係ないなあと。
で、続編の『檻の外』も読んじゃいました。
案外フラットな気持ちで読めたのは、キャラの良さと
少女漫画的な世界観と、作者さんの描き方がきれいだったからかな?
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講談社文庫『箱の中』(レビューは一般書アカtegetegejinseiの方に)を読んで、解説の三浦女史がぜひ『なつやすみ』を読めと訓辞していたので読んだ。
夜に読みはじめたせいで、日付が変わった頃には泣きそうになっていた。
他人の感情を推し量れなかった喜多川が、愛を知り、愛を与えられ、愛を与えるようになった。
尚視点の喜多川は、おおらかでおもしろくて優しい、よく笑うおじさんだった。喜多川がそうなれたことこそが、堂野の優しさのあかしなのだが……もどかしさとせつなさの複雑な感情が、涙を禁じ得ない。
『雨の日』の甘い二人もよかったけど、絵を描く喜多川の傍で本を読みながら些細な会話をする二人のシーンが好きだと思った。
喜多川が死ぬまで堂野と居られてよかった。そこまで書いてくださっていて嬉しい。
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な、泣ける…読んでよかった。
喜多川自身が本当に真っ直ぐで、堂野のような真摯に自分を愛してくれる相手に出会えて幸せだったろうな。
『なつやすみ』では尚視点。
尚も喜多川、堂野に愛されて、素敵な大人になって…さらに繋がっていくんだなと思わせる終わりでよかったなぁ。
同性同士の描写がストレートな部分ありだけど、それでもやっぱり泣ける…!
『箱の中』からここまで読まねば得られない感動ありですね。
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講談社文庫版「箱の中」を読んだら続きが気になったので購入。
草間さんが挿絵ということでイメージどおりだな!と思っていましたが、挿絵見て一安心。
書き下ろしを見て何となく文庫版に載らなかった理由が分かったような…うん、BL小説という感じ。
文庫版にあった「(まだ)万人に勧められる雰囲気」が抜けたような気がします。
勿論その後が知りたい方には太鼓判だと思います。
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自称BL門外漢のレビュアーさんが絶賛していたので、大変期待して図書館から借りてきましたが、恥をかいて借りるほどでもなかったと落胆致しました。
ネットで無料で読ませていただける作品の方が、なんぼもおもしろい。
子供ネタをああいう風に扱うなんて、嫌です。
嫁の人物像もあんまりです。普通過ぎて残念です。
ミステリー要素もすんごい中途半端だし、お色気シーンも定型文だし、恋愛模様としても未消化で物足りないし。
色々残念でした。
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「箱の中」では収録しきれていない短編2話を含んだもので、もう「箱の中」を読んだ方には、ぜひこっちまで必ず読んで欲しい。
「箱の中」でも泣かされたんだけれども、この2編で、最期まで喜多川を書ききってくれてありがとうございますと作者にお礼をいいたくなる。
その後の二人が描かれているのだけれども、喜多川の変わり様から、どれだけ彼がその後幸せで、愛されて晩年を生きたのがわかって、その愛溢れる想いに泣けてくる。
本当に素晴らしかった!
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講談社文庫を読んで、続きの短編が読みたくなってすぐに購入。
『なつやすみ』は、本編で堂野の離婚の原因となった、妻と浮気相手の子、尚の二十年ほどを描いた話。
喜多川がどれだけ幸せに生きたかよく分かる、それゆえボロボロ泣いてしまうラストでした。
喜多川は30歳近くなって堂野に出会うまで、愛も善悪も自由も知らない子供だった。初めてそれらを教えてくれた堂野をかけがえのない人だと信じて、命を削るほど苦労して捜して、妻子がいても諦めなかった。
失ったものもたくさんあったけど、最後まで見たら、これほど幸せな人生もないんじゃないかと思う。喜多川が信じたことを大事にしてきたからだと思う。
で、でももうちょっと長生きしてもよかったんじゃないかな…(ブワッ)
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借り物。
ああああ……ああああああああ喜多川あああああ………
久々にガッと小説読んだけど喪失感が……
BLで死まで書く作品ってなかなか少ないと思う。大体老後までいってご想像にお任せします(BLって基本的には悲しさとか切なさとかより幸せとかよかったね!っていうのを求められてる気がする)な感じが多い気が。
後日談が全く別のキャラクター目線で書かれるのって多いね。夏の塩思い出しただけだけど。
尚がどんどん成長してくからエッエッどこまでいくのって思ったら…そこまでいっちゃったか……
すっかり人間らしくなった喜多川がまた愛しくて仕方ない。
「…一緒に死にたかったな」でピーク。泣きかけた。
最後は堂野が死ぬところまで書かれるのかと思ってた。でも堂野は最後まで生きるんだね。
はーいとしい。