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絶対に読み返せないです、これはちょっとさすがの私にも無理です。
BL小説としてのできあがりとしては、正直なところ桃色だらけの小説の方が出来が良いと思います。そのくらい、とりあえずBLではないと思いました。
人間が極限状態に追い込まれたときに、どこまで『善』とされる部分を
心に持っていられるか。死ぬかもしれない状況で、本来は『悪』である
ことを正当化できるか。信仰を持つ人間なら、なおさらそうでしょうが、
もうとにかくお話が
重い、痛い、苦しいの3連コンボです。
表題作はともかくとして、続編の『HOPE』に至っては、途中でえづきました。そして終わりも唐突すぎて、なぜそこで切るよっっっ!?
という勢いで中途半端でした。読後感は過去最悪…もやもやどころか
何が伝えたかったのか…。
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あの禁忌の題材でも「面白い」と読者が思ってしまう木原さんはやっぱ凄いや、って。倫理観うんたら、ってとこで読む手を止まらせるような書き方をしない、と言う凄さだ。それは小説と言うものの醍醐味じゃないだろうか。しのぶ、なんて女性にもつけられている名前を持つ身体の大きな子、ってだけで怖いんだけども…女性名でもある名前が付いてるから「心優しい部分がある」と言う布石だと思うんだけど、あの設定で「優しさ」なんで弱点にしかならんのじゃ…と言う怖さもあり…もう、なんか木原さんの術中にハマっていると言うか、ぎりぎりした状態である、と言う仕掛けがメイン二人の名前にも込められている気がする。しのぶの方が身体が大きい方の名前で、亮介が小さい方。BLテンプレの逆。そしてしのぶ=忍ぶじゃなかろうか。うる星やつらで「しのぶ」と言う名前の女は怖い(執念深い・嫉妬深いの意)と言う下りがあった。それが擦り込まれていると言う事もあるが、木原さんは概ね、登場人物の名前を無造作につけている印象だったが(美形=字面が美麗、とかがない)『WELL』のしのぶは名前だけで怖い。書いている木原さん自身が至極冷静なので、小説と言う作品として楽しんで読み切った。読ませてしまうのは木原さんの筆致の凄さだ。やっぱ『ザ・ロード』を読んでいたので、倫理的に受け入れられない部分に気を取られずに読めたのかもしれん。ページを繰る手が止まらない、と言う面白さがあると思うが、私にとってはそう言う種類の作品だった。面白かった!!
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BLではない、と思います。でも私は好きです。
世界観に引きずられて一気に読みました。読後にあれ、ラブは?ってはなりましたが、そういうの抜きで「凄い」作品だと思います。
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レビューを見ていたので読むのが怖かったんですが読むとそうでもなかったです。怖かったけれど。
それよりも自分でもえ?と思うことを登場人物たちが気づかないことにもやもやしました。
木原先生にしてはドタバタな話
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読後は疲労困憊!もはやBLを超越した作品でした。
でも、読んでいる間中、もしこれが自分だったら…?とずーっと自問自答繰り返していたのは確か。
現実的に見てもこれはシビアな話です。他人事とは思えないBLでした。
もしかしたら、こんなことが起こり得るかも…なんて、不安になるほどリアルな描写に迫力があります。
どちらかと言うと、非現実的なロマンスでうっとりしたい方なので、悲惨な悪夢っていうのはどうよ?と思ったりもしましたが。
二人きりというシチュエーションなのに、ロマンのかけらもないBL。しかも、戦慄のシナリオ…
でも、読み始めたら有無を言わされず引き込まれちゃいました。途中で止めることができなくなってイッキ読みです。
おどろおどろしくも生死をかけた究極のサバイバルストーリー。
あなたならどうする?と終始問われ続けているようでした。まあ、♀は絶滅らしいので、どうしようもないwww
そして、このストーリーを、受け入れた編集さんの思い切った判断にも正直驚きました。
人間の根本的な欲望…本能とも言える行為が、果たして善悪どちらなのか、倫理観までも問われるストーリーでした。
それとともに、一人で生きていくことの難しさ、仲間とともに生きていくことの意味なども、深く見つめ直させるものがありました。
ただの興味本位でカニバなどグロテスクなものを見せつけてくる訳じゃないところが、木原作品だなとつくづく思いました。
えげつなさより、寂寥感のほうが強力。ここまでくると哲学です!
BL的な視点で言うと、萌えが非常に薄味でした。しのぶと亮介の関係は、状況が激変したことで主従関係が崩れていくのですが、思ったほどでもなく、いつもの木原センセより曖昧な印象でした。田村は、かなりマニアックなシーンがこれでもかとあるので、地雷だという人続出でしょうね。
先生の作品は、どれも数日間頭の中に残像となって貼りついてしまうのですが、これはその中でも強力ですね。あれこれ考えまくってしまったのでした。
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面白かったです。
死にたい田村さんの気持ちはとてもよく分かります。もう何も考えたくない苦しい辛い楽になりたい。
しのぶ達を助けるとき「次は彼らが自分を助けてくれるかも知れない」と言っていて、事実しのぶは田村の命を何度も助けたけど(伊吹を殺したけど)その度に苦しみが終わらず続いていくから、助けるって何なんだろうと思いました。
命が続くと、苦しみも続く。
感情と折り合いをつけてあきらめるか、麻痺して慣れてしまうまで続く苦しみから救われないで、しのぶのように狂ってしまうのを待てばいいのかなぁ。
しのぶ優しいから、世界が狂ってしまって何より大好きな亮ちゃんが自分を置いて死んでしまうかもしれないと3日間一人で恐怖におびえているうちに一番はじめに狂ってしまっていたのは、しのぶなんだなと思いました。
怖い怖いとずっと泣いて、きっと今でも夜眠れなくて。
亮ちゃんに持っていくパンを奪うために人を殺して、亮ちゃんを殺そうとした人を殺して、亮ちゃんを殺すかもしれない人を殺す。
人のものを命も含め奪っちゃいけないのは事実だと思う。けど、実際私たち日本人は多くの命を何も考えず、見向きもせず奪って、必要以上のものを搾取して使いもせずゴミにして生きているわけだからなんかなー。
生きるのって重いはずなのに何も考えていないのか、生きるのが重いと考えるのは当てられているだけなのか。
原罪って責任転嫁をしたことを責めてるわけで、過去に犯した行いを責めてるわけではないんですよね。
「罪」とは法律的・道徳的・宗教的な規範に反する行為。それに対して負うべき責任。また科される制裁。
って書いてあったから、追うべき責任って生きることなのかな。規範に反する行為なんてないのかなー。
食べるものに困ってないから人を食べたいなんて思ったことないし食べたくないけど、人を食べてはいけないなんて言えない。
私たちの先祖のどこかできっと人を食べて生き延びた人の血が混ざってるだろうし、人を殺した先祖の血が通ってないわけがない。それを否定すれば今生きている人たちの存在を否定することになるの?
田村の信じてやまない神様は、きっとどんな人殺しでも許す。
人殺しにいい人殺しも悪い人殺しもなくて、人間が勝手に意味づけするだけ。
人殺しはいけないことだとは思うけど、人を殺すな=人を食うな=食わずに死ねってことになっちゃうと
それこそが凶器を持たぬ殺人なの?
でも地下の子達はきっと仲間を殺してまでは人肉を食べないとは思う。
ただ死んだ仲間の肉をどうするのかわからない。
しのぶは亮ちゃんに自分の肉を食べて欲しいだろうな。
田村じゃないけど、自分の手で人を殺さず、奪わずにすむ今に感謝しようー。
このお話の結論は「生きましょう」でしたね。そうですねとしか言いようがない。
人間として生きるのではなく、動物としてでもって所がぐるぐるしたー!
ラブがないこともないけど、愛の形が原始的でした。
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ある日、地上の物体がすべて白い砂と化し、世界が砂漠化する。地下にいて潰されなかったわずかな人間たちが、食糧を分け合い、奪い合いながら生きているお話。
この物語ではBLが完全におまけ要素。もっと別のことがこの本のテーマ。そんな申し訳程度のBL要素だけど、閉塞感のある雰囲気と、下剋上カップルという好き要素が合わさって結構はまりました。
もうちょっとラブがあると良かったんだけど、、、きっちりないところが木原音瀬さんのいいところか。愛もないし希望もない。最初の目見えない人も、あの子が殺しちゃったんだよね。
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小学生の頃に児童館で読んだ漂流教室がこわくてこわくて、今でもその恐怖が身体の中に残ってる私にはとてもキツい一冊でございました…思わずボーイズラブとは何かね…と遠い目をして考え込んでしまったけど、ここに描かれているのは生々しい性であり生であり…と一生懸命理解しようとしても怖いものはやっぱり怖い。
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すごかった…ものすごく引きずられた。根こそぎHP奪われる感じで、読みたくなくて、でも読まずにはいられなくて、不穏で、不安で、ずっと胸の中で不協和音が鳴り響く。
BL小説なんだけど、いや、これは…そうなのか?
すごかった。面白かった、ではなくて、すごかった。このラスト、希望が絶望だという、このラストに、震えてしまう。