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みんなのレビュー73件

みんなの評価4.0

評価内訳

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69 件中 1 件~ 15 件を表示

紙の本

佐々木譲といえばいまでこそ警察小説の第一人者として知られるが、その初期には第二次大戦を背景にした軍事・冒険・諜報を描いた名作があった。(『ベルリン飛行指令』『エトロフ発緊急電』『ストックホルムの密使』 当時第二次大戦三部作と言われた)手嶋龍一『ウルトラ・ダラー』を読んだ直後だからだろう、これぞ日本を代表する第1級のスパイ小説だと『エトロフ発緊急電』を再読したくなった。

2010/09/03 23:14

4人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:よっちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

1994年に読んだ時にまず面食らったのは真珠湾攻撃の部隊がハワイのはるか遠方、エトロフ島から出撃したという事実だった。どうしてそんなところから?と、話にのめりこませる仕掛けはそれだけでも著者の構想の鋭さをうかがわせるものだ。

日本海軍機動部隊(空母6隻基幹)は、飛行機353機をもって1941年12月8日(日本時間。アメリカ時間では7日)朝、ハワイのオアフ島にある真珠湾に在泊中のアメリカ太平洋艦隊主力および同島の航空基地を奇襲し、大損害を与えた。
この作戦は連合艦隊司令長官山本五十六の発案によるもので、日本海軍が永年にわたり練り上げた要撃作戦計画とはまったく方針を異にし、完全な奇襲攻撃であった。飛んで火にいる夏の虫になりかねない、常識では無謀と思える作戦行動である。つまりこの作戦が成功するには、9月まで延々とした帝国内の合意形成プロセス、エトロフ島・単冠湾(ヒトカップ)への大艦隊の集結、6000キロに及ぶ太平洋の南下進攻など攻撃の直前まで機密秘匿が絶対の条件だったのだ。
奇襲は成功した。だが日本海軍が最重要撃破目標とした航空母艦2隻は外洋にあってこの難を逃れることができた。さらに宣戦布告が遅れたこともあり、「真珠湾を忘れるな」とアメリカ国民の戦意を高揚させたのである。

この太平洋戦争勃発前夜の諜報戦については最近では西木正明の『ウェルカムトゥパールハーバー』があって、真珠湾攻撃をイギリスによる謀略説として小説化している。この『エトロフ発緊急電』は西木流ノンフィクションノベルとは趣が違う。歴史的事実に小説家らしい新解釈を加え、常識をくつがえすことの面白さ意図したものではない。面白さのポイントは完璧なサスペンスにある。

物語はこの年(1941年)の1月、山本五十六の発案に対する論議から始まる。アメリカ海軍情報部は在日諜報組織・宣教師スレンセンを通じて、日本軍によるハワイ攻撃の可能性をつかむ。ただし、「可能性」であって虚報かもしれない。そしてアメリカ国籍の日系二世・斉藤賢一郎の素質を買い、訓練し、第一級の諜報員として9月、日本へ潜入させる。

エトロフになにかあるという情報を得るまでの東京における諜報活動。在日諜報員のスレンセンや朝鮮人・金森の必死のバックアップ。畳み込まれる危機また危機ののち侵入不可能の要塞と化したエトロフ島に孤立無縁で立ち向かう賢一郎。そして防諜活動に優れた東京憲兵隊・磯田軍曹の冷静で徹底した追跡。読者は知っているが、賢一郎も磯田ですらもエトロフでなにが起ころうとしているのか、ラストまで知らないのだ。この設定は斬新である。酷寒の海、豪雪の荒地に飢えと寒さで死線をさまよう賢一郎は単冠湾(ヒトカップ)へ潜入できるのだろうか。賢一郎の痕跡をたどり着実に迫る磯田軍曹の存在を賢一郎はしらない。読者は著者が幾重にも用意した不確実性に翻弄される。この特異なマンハントチェイスの緊迫感はまさに第一級のエンタテインメントである。

だがこの作品の真価はもうひとつのところにある。極限状況にあるものたちの愛と連帯の人間ドラマを見逃すことはできない。物語の前半で主要登場人物の人物像を生い立ちにさかのぼって見事に描出する。それぞれが印象的である。
佐藤賢一郎 日系であるがゆえにアメリカ社会から拒否された流浪のニヒリスト
宣教師スレンセン 南京占領で最愛の女性が日本軍人に陵辱されたうえ虐殺された男。在日の米側スパイ。
朝鮮人金森・金東仁 祖国から強制連行された元炭鉱労働者。脱走して日本を憎悪する在日の米側スパイ。
岡谷ゆき エトロフ駅逓の女主。ロシア漁民との混血で差別されてきた美しい女性。本編のヒロイン。
宣造 ゆきの店の下働き。千島列島最北端の占守島から明治政府によって強制移住させられたクリル人の子。

彼らはすべて戦争の被害者である。彼らはこの世界のどこにも自分の居場所がないと絶望を確信した人たちである。にもかかわらず自分の気づかない心の奥ではなにかを求めている切なさ。そして孤立の中にあるからこそうまれる強い絆はむしろ哀感を誘う。それぞれの重たい半生を背景にした彼らそれぞれの深い思いに共鳴しながら、絶望から希望、そして究極の絶望とこの人たちの織りなす悲劇と感動のドラマに私は胸を打たれる。

戦局の帰趨を決定的にする賢一郎のエトロフ発緊急情報は打電できるのか?
磯田はそれを妨害できるのか?
さらに賢一郎とゆきの愛のゆくえは?
賢一郎と宣造が交わした男の約束は?
いくつもの道筋で高まった緊張が凝縮し、一点で炸裂するラストの盛り上がりは圧巻だ。

そして諜報戦としては史実に謎を残し、人間ドラマとしてはおそらく爽やかな余韻を味わうことができる最終幕があるから、この作品は日本の戦時スパイ小説史上屈指の傑作だと思うのである。

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紙の本

いわゆる三部作

2015/12/07 10:08

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:かとう - この投稿者のレビュー一覧を見る

2作品目です、歴史の中に創作された人物をうまくはめ込んで良い内容となっています。

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2004/11/15 06:23

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