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紙の本
角道を止める振り飛車
2011/06/21 23:17
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ココちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
いやはや、何年か前は振り飛車は角道を止めるのが普通で、こんな書き方はしなかったのですけどね(笑)。
著者の西川和宏四段は父も棋士の西川慶二七段で、現役での親子棋士は戦後初だそうです。
お父さんは正統派居飛車党だったと思うので、息子さんが振り飛車党になった理由も興味深いですね。
現在プロ棋界で「角道を止めない」振り飛車が主流になった理由は、
「角道を止める」振り飛車が居飛車穴熊に大苦戦しているからです。
本書は、大苦戦中の「角道を止める」振り飛車での居飛車穴熊対策に絞って書かれています。
西川四段が実際にプロ棋戦で用いている指し方であるため、後手番では千日手をみせてゆさぶる、
急戦の効果が薄い戦法を選ぶことで居飛車穴熊を迎え撃つ、隙をみせなければ相穴熊も恐れない等、
本書の作戦選択はきわめてプロ的であり高度です。
そのため相手の指し手による細かな陣形の違いをきちんと意識する必要があります。
第1章は先手三間飛車編です。
公式HPでも具体的にどのような戦法の紹介かわからないのがまず気になった点ですが、
角を転換し石田流へ組み換える・▲5六銀から角頭を狙う・ダイヤモンド美濃へ組み換える・中央狙いへ変更する、
と、相手の指し方によって巧みに方針を変える、確かにひとつの戦法名で表すには難しい作戦が紹介されていました(笑)。
ただし第1章の居飛車の方針はいくつかのパターンに限定させることが可能なため、
ポイントを押さえて指しこなすのはそれほど難しくはなさそうです。
第2章は後手矢倉流中飛車です。
矢倉六段が得意とする中飛車の戦法であって、矢倉戦での後手急戦矢倉中飛車とは違うという紛らわしいものです(笑)。
本章では矢倉流中飛車+美濃囲いを扱い、第3章では矢倉流中飛車+穴熊が紹介されます。
矢倉流の基本は、△6四銀型で中央を狙う→▲6六銀で対抗する→薄くなった4筋へ転戦というものですが、
もちろん居飛車にも受ける手段はあるので、これのみで攻めて勝つという狙いの戦法ではありません。
6筋で銀対抗し飛車も受けに利かした形の▲居飛車からは仕掛けにくい点を活かします。
具体的には▲居飛車が穴熊を狙って離れ駒が出来たら仕掛ける、千日手をみせてスキを作るなどです。
居飛車にプロレベルの対応をされると仕掛けは難しいので、第3章の相穴熊の登場となります。
アマ将棋では△矢倉流中飛車が積極的に動けるケースも多いのではないかと思います。
第3章は相穴熊編です。前述のとおり△矢倉流中飛車での相穴熊戦です。
パターンごとに仕掛けを解説してあり、それを押さえれば指せた前2章とは違って、
プロレベルのかなり高度な内容で終盤戦まで踏み込んだ解説がされています。
相穴熊戦に抵抗のない方であれば、いくつか紹介されている仕掛けをマスターして面白く指せるでしょう。
なお本章の後半に▲矢倉流中飛車からの相穴熊が紹介されていますが、
こちらはこの形に誘導することは難しくないが先手の得を活かしているといえない戦法だそうで、
第1章の先手三間飛車を含む他戦法よりも相穴熊が大得意であれば、自分の土俵で戦えるため有効でしょう。
第4章は実戦編3局で先手三間飛車1局・後手矢倉流中飛車2局です。
西川四段はデビューして間もないため若手との将棋のみが紹介されていますが、
タイトル戦の挑戦者決定戦に出場したようなトップクラスの若手が相手になっています。
西川四段は文章・解説が上手く、駒組の一手一手にも細かく説明がされています。
狙い筋・方針・注意点等のポイントが頭に入ってきやすく、私でもすぐに指せそうな気になりました。
対居飛車穴熊に限定したのも良かったようで、おかげで内容が濃くなっており、
第1~3章の戦法いずれかに興味があれば満足の出来でしょう。
もともとこれらの戦法を指していた方には待望の定跡書でしょうし、
もう1回角道を止める振り飛車をやってみようかなという方にもオススメです。
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