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住友化学のつくった蚊帳をアフリカでどのように売っていくか。開発から、小売、BOPにいたるまでの壮大なストーリー。ビジネス書としての解説などもあり、おもしろかった。
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1990年代に開発された防虫蚊帳「オリセットネット」。現在ではアフリカなどの発展途上国でマラリア防除などに
年間数千万張り規模で使われています。9・11テロ、WHOからの「全面推奨製品」認定、世界経済フォーラム
「ダボス会議」などの機会を見逃さず、日本企業がアフリカ進出という「フロンティア市場で戦う」様子を追います。
(589 その他の雑工業)
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【目次】
1.オリセット誕生前夜
2.動き始めたオリセット・ビジネス
3.競争と変革への備え
4.新たな事業を「始める」
5.BOP市場へのマーケティング
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日本製の蚊帳がアフリカで普通に使われていることを知っているだろうか。住友化学の防虫蚊帳「オリセットネット」は1990年代の発売以降、アフリカをはじめとする海外でも使われ、現在では現地のスーパーでも売られている。しかし、この人気商品も発売当初は在庫の山だった。日本のビジネスマンの海外戦略を描く。
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本書は、住友化学で発足されたベクターコントロール事業部の事業、
「蚊帳をアフリカで流通させ、トップシェアを取るまで」を描いたドキュメンタリーである。
筆者は、マーケティングコンサルタントとして独立して事業を行う浅枝氏。
本書は、外部スタッフとしてプロジェクトに携わった彼の目線で書かれている。
通常のビジネス書と一線を画す本書の魅力は、以下の2点である。
国を代表する大企業のタレントの豊富さ、
住友化学は、川上メーカーの代表選手のような企業だが、本作を読むと登場する人たちの優秀さ、魅力に惹き付けられる。個人としていかにスキルアップをしサバイブしていけるかが時代の流れになる一方、組織の中でチームプレーを発揮しながら、仕事をしていく醍醐味についても、余すところなく語られている。
加えて、描かれる各人物を著者がよく捉えており、キャラクターが際立っている。読んでいて「こういうひといるなあ!」と実感できることはより物語に没入しやすくなる要素として働いている。
上記の2点を鑑みると、つくづく総力戦を行うビジネスにおいては、餅は餅屋ということを強く実感する。すべてを独力でやることは土台無理な話なので、
いかに味方を増やしながら、目標に向かい前進できるか。その具体例が丁寧に描かれている。
また、主人公神埼=浅枝氏のほかに、物語のキーマンになるのは、事業部長の水野という男である。外資系出身の典型的なやり手ビジネスマンの水野であるが、その視座の高さ、指示のスピード、パワーに有能なマネジメントとしての手腕が際立っている。私も組織に属していたことがあるが、部長より上のレイヤー、事業部長、役員クラスになると、部長にはない特質を備えているケースが多い。
矛盾するかもしれないが、根回しはするものの、空気を読まないという点だ。
水野もそうで、通したい事項については、事前に役員の耳に入れたり周到に用意するものの、現場において意思決定する場合は、部下を信じ(ある意味乱暴に任せ)朝令暮改を恐れず指示を出す。ハレーションを起こす場面もしばしばあるが、目的のためには意に介さない。
敏腕コンサルタントの神埼の考え方やコミュニケーションのとり方、その観察眼を学べる内容でありながら、辣腕マネージャー水野の手腕を見ることができる稀有な1冊である。
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住友化学がアフリカというフロンティアで如何に蚊帳を売っていったかについてリアルな現場の様子をまとめた本。
最初は蚊帳の開発、パブリック向けとしての販売、そして小売販売、とストーリーが展開。
実名が出てくるだけあり本当にリアル、マーケティング、営業視点でもとても勉強になる。
個性が強く、キャラの立った少数精鋭たちが織りなすストーリーに引き込まれます。
以下メモ
蚊帳
・ナンバーワン戦力とオンリーワン戦略
ナンバーワンは最終目標であり戦略ではない。オンリーワン=強みや特徴を最大限に生かすことが結果的にナンバーワンにつながる。
後発で参入すると、市場に存在しない新たな価値を追求したくなるが、自社の強みの源泉でないと成功しない
・デザイン会社が作ってくるものは、斬新で近未来的なものかもしれないが、コストや製造のことまで考えると、最善ではない場合もある。鵜呑みにしないことが大事。
・差別化と区別化は別。
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2019.12「世界地図を読み直す」第2章アフリカ偏から
防虫材を染みこませた蚊帳オリセットネット検索から
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住友化学のマラリア防除に効果のある防虫蚊帳「オリセット」の開発からアフリカでの小売展開までの過程をドキュメンタリー風に解説。
著者もオリセットの小売展開プロジェクトの一員であったとのことで、ここまで詳細に明かしてよいのかと思うくらい臨場感のある内容だった。登場人物のキャラが立っていて、ビジネス小説のような面白さがあった。また、ビジネス上のプロジェクトの良きケーススタディだと感じた。