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この手の本は著者が佐々淳行的である場合もあり、完全に信じるのも…だが、大本営にてばんばん情報を取りまくった参謀による主義。一般的参謀は絶望的なものの、1人の天才がいて登用されれば意外と戦えたのかなあと思うが、そういう個人によらざるを得ないから負けたともあり、なんとも… ただ、まだ隠してるのかな、という感じもある(紙幅によるものもあろうけど)。
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[目隠し剣術の災]さっぱりの素人ながら、太平洋戦争中に大本営の情報参謀として情報戦のまっただ中に放り込まれた著者は、そこで日本の情報力の無さと対峙する。その際の個人的経験を回顧しながら、情報とは何か、そして学ぶべき教訓について思いを馳せた作品です。著者は、戦後には自衛隊統幕情報室長となった堀栄三。
様々な観点から批判されてきた日本の情報力の無さを、内側から鋭くえぐった作品として高く評価できるのではないでしょうか。実際に堀氏が目にしてきた構造的欠陥を反目教師として、改めて情報の重要さとその扱い方の要諦に目を見開かされた思いがします。著者も本書冒頭で記しているように、国家を企業に置き換えても得るところの多い一冊だと感じましたので、幅広い方にオススメです。
大本営の情報参謀という位置から眺めた太平洋戦争の一端を読者が共有できるというのも本書の魅力の1つ。情報の扱いを誤ることにより、いかなる破綻と犠牲が生じることになるのかを間近で見る思いがし、何とも痛ましい限りでした。また、情報という観点からの組織の在り方にも筆が進んでいますので、一種の組織論としても非常に勉強するところが大きい作品でした。
〜情報は常に作戦に先行しなければならない。〜
著者の無念さがひしひしと伝わってきました☆5つ
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太平洋戦争の末期に敗色濃厚の日本軍の中で、まっカーサの次の上陸地点はどこか?それはいつか?を正確に的中させてきた堀参謀の本。
台湾沖航空戦での戦果確認を一人おこなったこと、フィリピンの最終局面での山下大将との逸話が印象的。
「われわれは比島でやろうと考えていたことを何一つやらせてもらえなかった。そうして、とうとう竹槍になってしまった。戦略はいったん失敗すると戦術で取り戻すことは至難というか不可能だ。」(232)
その上で、クラウゼヴィッツを引用し「戦略的勝利をつかむために一番大事なことは制高点の確保。かつては山、いまは制空権」。
地理的制高点から技術的制高点へ。
現代社会における制高点とはなにか?をかんがえさせられる逸話。
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先輩に薦められて読んだけど、面白かった。
情報の重要さを改めて認識するとともに、その難しさを痛感。
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太平洋戦争で大本営情報参謀として米軍の作戦を次々と予測的中させ、戦後は自衛隊情報室長を務めた著者の作品。日本が敗戦した理由が、情報分析を怠ったことからきたことが経験を元に記されており、それは現代の日本の課題であることも分かる。
堀氏が参謀に就任前に恩師から学んだことは「情報は枝葉末節にとらわれないで、ほんしつを見ることだ。文字や形の奥のほうには本当の哲理のようなものがある。表層の文字や形を覚えないで、その奥にある深層の本質を見ることだ。世の中には似たようなものがあるが、みんなどこかが違うのだ。形だけ見ていると、これがみんな同じに見えてしまう。それだけ覚えていれば、ものを考える力ができる」。
これは現代の情報収集・解析にも言えることだと思う。深層の奥にあるものを見極める意志を持ち続ける必要がある。
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本書は太平洋戦争時、情報参謀であった著者が、情報という観点から我が国が敗北を喫っするに至った要因を分析した本である。
実体験を元にした分析は非常に生々しく、文中に頻出する著者の悔恨の念は戦後70年を経てもなお胸を打つ。
日本軍の敗因は国力判断の誤り、制空権の喪失、組織の不統一、作戦第一・情報軽視、精神主義の誇張の5つだ。
対中対ソを重視するあまり対米情報収集を怠り、いざ開戦となれば制空権を奪われて戦場での情報収集が出来ない。最前線の兵士の犠牲を元に得た情報も軍部内で組織的に運用する仕組みが無く活用出来ていない。それどころか精神主義に染まった軍では情報を軽視し、その活動を阻害することになってしまっていた。
恐ろしいのはこれは過去のことではなく、今の日本社会でも感じ取れることだ。本書を参考に「情報こそ最高の戦力」という言葉を胸に刻もうと思う。
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アマゾンセールで電子版購入。情報が軽視されていた日本陸軍において、米軍の作戦を次々と的中させ、マッカーサー参謀と呼ばれた堀栄三氏の情報戦記。なぜ敵を知ることが大事なのか、我々が陥りやすい罠は何なのか、身につまされる事柄の連続であった。様々な教訓が溢れている。
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名著です。
情報を戦時中上手く活かせなかったという話は幾つかありますが、その中でも特に台湾沖航空戦の話は有名です。組織全体がバイアスにかかっていく中、正しく情報を読み取ろうと意見しますが結局握りつぶされました。情報を上手く扱えない悲劇を感じます。
戦後の話だったと思うが諜報活動は決して派手でなく、新聞を念入りに読み、コンテクストを読み取るのが仕事であると明確に書かれていて目からウロコです。
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なるほど、これは名著中の名著。文章もこなれていて読みやすく、それでいて日本の組織が陥りがちな情報軽視を初めとした諸々の陥穽が、著者の旧日本軍そして戦後の自衛隊、駐在武官としての生々しい体験談として描かれている。
大井篤氏の著書『海上護衛戦』とともに戦史から学ぶ日本組織論として…今更言うまでもないが…必読書といって間違いない。
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「たまに当たるから弾丸(たま)」と言った中隊長が無防備すぎる。やっぱり現実はこうなんだと絶望する。たった一回当たっただけで命が終わることもあるのに。
読んでいるうちに、勝つための思考・負けるのは不服という気持ちが出てくる。平和を愛していてもこんな思考が出てくるのだ、戦争とは罪深く残酷なものだ。
武器や物資の補充も、情報もないのに後退を許されないのはあまりに非情で、そうやって亡くなっていった第一線の人々の事を思うと本当に悲しくなる。
団体の中で自分だけは違う捉え方をしたといった方向の表現が多いので、後半なんとなく読むのが億劫になった。堀氏の父親の言葉に同意してしまう自分がいる。
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台湾沖航空戦、誤った戦果を鵜呑みにしてそのままレイテ決戦に導いてしまった。
⚫いかなる場合も、結果(戦果)を定性、定量的に測定できるようにしなければならない。結果を測れない場合は誤解へと導く
⚫プロの感というものは、複数の情報の交差点のなかに生まれるものである。情報の中には現場へといかない限り分からないものがある。
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大本営の情報参謀による、日本軍が先の大戦中に情報面で何をやっていたのかを中心に、敗戦までの絶望的な流れやその後の自衛隊入隊後のエピソード(ドイツの大使館付武官としてのくだりは圧巻!)が描かれています。
太平洋戦争中のエピソードは、後から振り返る本だからこそ余計に、そりゃ負けるわ的な面がクローズアップされている感。
序盤は少々退屈に感じたところもありましたが、中盤の山下方面軍の情報参謀になるあたりからは一気読みでした。
専門的教育も受けていない(日本陸軍の参謀教育には情報の収集・分析はそもそも含まれていないとか)著者が、体制が整っている訳でもないフィリピンで、無茶な命令を出す大本営作戦部にも振り回されながら、それでも米軍がいつ・どこに来るのかを予想し当てていく様や、大本営に帰任してからも米軍の本土上陸地点・時期・兵力を推定していく様は非常に興味深く読めました。
しかし、結局情報だけで戦争に勝てることはなく、戦略的な失敗や物量の圧倒的な差、能率の悪さ、精神論等々、無理ゲー感満載のまま終戦を迎えてしまう訳です。
こういう仕事のプロジェクト、今でもあるよなぁ。。
特に現場の戦果報告を鵜呑みにして確認もしない空気を作ってしまい、誤った情報を元に次の作戦が立てられてしまうあたりは、読んでいてゾッとしました。
著者は本著の終盤で、「米ソの情報部はとうに宇宙へ引っ越してしまった」と言っていたけれど、今はもはやサイバー空間が戦場になっている状況。
本著で書かれていたような、過去に諜報や航空といったトレンドの変化と本質的に向き合わず、中途半端な環境や戦術での対応にとどまってしまったのと同じことが、今起きていないことを祈るばかりです。
学ぶべきことが体系化されている訳ではないのですが、日本人がやってしまいがちな失敗例が詰まっているような感があり、非常に参考になりました。
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大本営参謀といえば随筆家半藤一利氏が「絶対悪」と評した辻政信氏や戦後政財界の重鎮として活躍した瀬島龍三氏といった高い能力ながら曲者揃いの印象が強い。しかし堀栄三氏は表舞台に登場する「大本営参謀」とは異なる。あくまで自身は「情報分析」が生業であり、実直に参謀の役目を果たそうとする姿が印象的だ。自己の至らなさを棚に上げるでもなく、他方で日本のインテリジェンスに対する理解不足を剔抉する。その分析力の正確性から「マッカーサー参謀」とあだ名され、真の情報分析のプロとは何かを感じさせられる。
堀氏自身望んでというより結果的に表舞台に駆り出され恰好だが、秋山真之のようにまだまだ隠れた日本史の英雄はいるのだなと思った。
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今では戦略というのはすっかり「ビジネス上の」という文脈で使われるようになったが、もともとは戦争(というか国家間の取り組み)で勝利を得るための考え方であり、僕はこちらのほうが戦略が好きでそういった内容に関係のありそうな本を見つけたらとりあえず手に取るようにしている。とはいえ、ハズレも多いのだが。
こういった類の本がハズレになる理由はだいたいは、
自分のことを大きく書きすぎる(俺はこうやった)
浅い考察が延々と並べられる(○○に勝つためのXX)
神の視点からの考察(あの時、こうやってれば買った)
の3つで、いずれも当時の手触りがまったくなくなってしまっている。
一方でこの本はまったく反対で、自分が実際の仕事や体験から感じたこと、学んだこと、考えたことを中心に記述が進められていて、それでいた示唆に飛んだメッセージが多い。例えば、以下の部分。
戦後沢山の戦史家や軍事評論家と称する人々が、「日本は飛び石作戦でやられた」と書いているが、米軍の飛び石作戦は占領空域の推進であり、日本軍の飛行場守備は、米海軍艦隊の攻撃が主目的であって、空域の占領は念頭になかったことを記述しているものは少い。挙句の果てに、日本の作った沢山の飛行場は、まるで米軍のために作ってやったような形になってしまった。
太平洋戦争において、日本軍の戦線が押し下げられて個々の拠点が玉砕していった理由と、米軍の意図を極めてシンプルに記述している。
全体を通じては著者は声だかには言わないものの、現代日本の情報への感度、もっと言えば「外の世界のへの関心の低さ」に対してかなり悲観的なメッセージを発している。ただ、個人的には戦争期間中でさえ変えることができなかった国民性というのは、そう簡単には変わらないわけで、こういった特性というのは今後も変わらないという前提において、個人がどのようにsurviveするのかを考える方がいいのではないか・・と、そんなことを考えた。
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情報収集の大切さを学びたい人は、これが大切。
情報は知っているほうが強い。それは、どういうことなのか?
それは歴史が証明しています。
歴史から学び、いま知るべき情報は何かを考えるために最適な一冊です。