投稿元:
レビューを見る
日本人の安全保障への理解が乏しいと、だからかつて制服のトップを務めた人間として止むに止まれず筆をとったとのこと。
自衛隊の歴史、対テロ戦争、日中関係、極東のパワーバランス、自衛隊の今後、日米同盟など、日本の安全保障について基本的なところを網羅してる。
でも個人的には、それって他の研究者が書く本と変わりなくって。タイトルにある国を守る責任、統幕長を経験した人間だから書けることがもっと盛り込まれてればなと思った。
投稿元:
レビューを見る
安全保障に関する解説は、他の書籍や報道以上に得るものはあまりないと感じた。タイトルから勝手に、統幕長としての経験から色々国防に対する思いを語ったりするのかと思ったけど、安全保障に関して自分なりに解説するから、あとはそれを参考にして自分で考えてくださいってスタンスなのかな。安全保障に関する国民の理解が低いことに危機感を覚える元自衛官の責任として、国民の本来の責任であり国を守るにあたって不可欠な、国民自らが安全保障について考えるということの思考材料の提供みたいな。つまり、タイトルの「国を守る責任」ってこの元統幕長の責任ってだけじゃなくて、一般国民の責任っていう意味だったのかもなー、と思った。
著者が述べている、国際情勢を読み解くに当たって相手の立場に立って考えるということは、当たり前のように思えて実は結構忘れがちで、日本にとって厄介な国々も、何も邪悪な思想に則っているとかいうわけではなくて、それぞれが国家の生存と繁栄を志向した結果、国家間の対立に向かってしまうということを理性的に理解して相手の意図を読み解くことが、衝突回避の方策としてあるんだと思った。日本と問題を抱える国についても、日本にとって嫌な国だ、悪い国だっていうだけの認識を超えることの必要性は、怠りがちだけど意識しておきたい。
投稿元:
レビューを見る
最悪の事態に備えるため、安全保障体制の流れを変えていく重要性を、最前線にいる自衛隊の元統幕長の視点から知ることはできた。その事態を起こさないためにはどうすればよいのか、その力をいかにコントロール可能なものにするか、それは政治家や政府、私たちが真剣に考えなければならないのに、そのための情報や準備がいかに足りないかという不安を感じる。
投稿元:
レビューを見る
●引用
●アメリカを日本の国益に”巻き込む”という戦略を練る意味でも、日本に国家安全保障会議(NSC)が創設されたことは大きいでしょう。(略)ここで情勢見積もりをするにあたって不足しているのが、じつはアメリカの専門家ではないでしょうか。日米安保とそれ以前のGHQによる占領時代を合わせて戦後70年間、日本はアメリカと歩調を揃えてきたこともあり、主体的に何かを考えようとする場合においても、アメリカは正しい、アメリカとは敵対しない。ということが、そもそも所与の条件になってしまっていることがあると思います。そうしたなかで得られる情報や政情判断では、本当に必要な対米戦略の立案が行えません。一方そうでないグループの人たちは、いわばイデオロギー的に反米で、アメリカのやることなすことにすべて反対ですから、ここからもあまりよい知見は得られません。(略)60年ものあいだ同盟を組んで、おそらくこれからもこの関係は続くわけですから、その相手こそ詳細に研究し、強みも弱みも熟知しておくべきであるにもかかわらず、それができていない。アメリカが本音で何を考えているかを読み取れないから、主体的に対米戦略をつくることができない、という部分もあるでしょう
投稿元:
レビューを見る
超雑感メモ
存立危機事態の説明にしばし出てくる「機雷掃海」は防衛出動なのか、武力行使なのか?
武力行使の中でもっとも防衛的で、国民感情面で反発の少なそうな例なのではないだろうか。この初歩的な疑問はまず私が勉強すべきところである。
こうした疑問が出た際に短絡的に「政府は騙そうとしている!」「軍国主義化だ!」と否定するのは誤りであろう。
国民としてそうした点も含めて冷静な判断が求められるとともに、政府にはビジョンに基づく一貫した政策を通すための努力と説明責任」が、そしてメディアにも「正しく伝える責任」が求められている。
投稿元:
レビューを見る
元自衛隊最高幹部による安全保障論。東日本大震災対応の経験のみならず、現在の国内外の情勢、自衛隊の成り立ちからの歴史など、深い洞察に基づくわかりやすい安全保障論となっており、参考になることが多かった。